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集英社文庫の夏の一冊、ナツイチ。
今年は初めての、中山七里さん作品。
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舞台は東日本大震災直後の福島。
そこで起こった殺人事件が題材。
最後、どうなるのかと最終章はぐんぐん読めた。
『アポロンの嘲笑』っていう題名はどういう意味なのかなぁ?と思いながら読み続けていたので、最後分かって良かった。
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中山七里さんは『カエル男』と『さよならドビュッシー』のイメージなんだけど(未読ですが…)、最初同じ方が書いてる作品だとは思いもしなかった。
全然、イメージ違う作品書かれてるのね〜。
しかも、解説を読むまで女性だと思っていたよ…!
ダブルびっくり。
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最初は、非常に特殊な状況で起こる事件か…はい設定設定と思っていたら、突然の脱走劇。
え!このまま最後まで脱走劇なの?と、思っていたら、次々と明かされる登場人物の生い立ちや事件の背景。
気づいたら、陳腐な殺人犯が英雄に。その時には薄汚れた殺人犯が、アポロンのごとく輝いていた。
震災版走るメロスのように走る邦ちゃんだが、メロスとの違いは一切の迷いがない所。読んでるうちに、いつのまにか邦ちゃんを応援してしまう。「滅私奉公」なのに…理不尽にも負けずに走り続ける邦ちゃん。
普通なら逃げ出す所で、義理を果たす邦ちゃん。それだけ彼にとって地震の爪痕は大きく、金城家で感じていた家族の暖かさ、大切な人を守りたい気持ちが強かったのだろう。
邦ちゃんの生き様は、神話のごとく広く語り継がれるわけではないが、邦ちゃんに関わった仁科達の暗い心に明日を見つめる勇気の光を与えてくれた。
最後、残念ながら邦ちゃんは死んでしまうわけだが、年なのか誰かが死ぬシーンになるとお約束だとわかっていても涙が止まらない私だが、一滴も涙は出なかった。泣くのは邦ちゃんに失礼だと思った。
邦ちゃんが最後まで走りきった、やりきった、生きたからだと思う。
泣いて忘れるのは許さない、そんな邦ちゃんの生き様だった。
そして、読後、福島の原子力発電所は実際どうなってるんだろう…と、思わずググってしまった。
この小説は、地震に対する描写も非常に生々しく、筆者の地震を決して風化させない、そんな意気込みも感じられた。
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東日本大震災を題材にしたミステリー。ノンフィクションと書いてますが、震災についてはほぼフィクションです。震災(特に原発)にトラウマがある方は、否応無く当時の状況が呼び起こされますのでお気をつけ下さい。全く震災に関係ない地域に住んでいる方には、むしろ読んで欲しいです。何度も言いますが、殺人事件以外は、ほぼ実際にあったことです。
ちなみに、小説の中で東電と当時の官邸を酷評してますが、原発作業員の方々が頑張っていたように、他の東電の人たちも公務員たちも、未曾有の大震災の対応に追われて、必死に日常を取り戻そうと頑張っていたんですよ。一部を除いて、かもしれませんが。警察や消防や自衛隊や病院ほど目立ちませんが、そういう裏方の人たちを忘れないでください。
内容は…他の方も書いてましたが、大丈夫なのかなこれ?と心配になってしまいました。何もないことを祈ります。
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一気に読了。
どんでん返しを期待して手に取ったわけではないが、「何これ?」「えっ?」「どうなるの?」とのめりこむような感覚を味わった。
実際に起きた災害を取り入れた作品を他にもいくつか読んだが、当時のニュース報道でも知り得なかったような出来事が次々描かれていて、それだけでも頭がいっぱいになった。
命をかけても守りたいものを改めて大切にしたいとつくづく思う。
この作家さん、もう何作か購入済み。
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カエル男と同じ作者だったので中身は知らずに購入。
311をテーマにした… でもノンフィクションじゃなくて事件モノだとは…
面白い面白くないを別にして、東電とか政府の批判が山ほど出てきて、そういう表現方法もあるのか、というかこの人はなんかこう、マークされたりしないのかと無駄な心配してしまっていたらそのまま夜中までかかって一気に読み終えてしまった。
一気に読んだということはそれなりに面白かったわけだが、あんまり充実した読後感ではなかった。
テーマのせいか、後半の主人公可哀想だろうがんばってるだろう感が強すぎたのか…
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アポロンの嘲笑。中山七里先生の著書。東日本大震災、原子力発電所を舞台にしたサスペンスストーリー。登場人物たちの心の葛藤が伝わってくるような臨場感あふれるストーリー展開が素敵。それと同時に日本社会の不条理や問題点が浮かび上がってくる内容。中山七里先生の日本社会に対する問題提起がこめられた作品なのかもしれません。
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うううん・・・中山七里さんの作品にしては微妙。
アポロンがまったくしっくりこない。
そして規模が大きいわりになんとなく小さく収まっている感じがしました。
しかしキャラのかっこよさはさすが。
最後はかっこよさ炸裂でした。
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図書館で借りた本。
東日本大震災のあと、行方不明者の捜索などで猫の手も借りたい警察署へ、殺人事件の一報が。自身も息子の行方が分からない仁科は、容疑者護送中に逃走されてしまう。この容疑者の生い立ちが悲しい。阪神淡路の震災で両親に守られて生還するが、両親は助からず叔父のところで生活することになるが、この叔父が意地悪で・・・。容疑者邦彦には幸せになってほしい!
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Value standards are standardized in a closed society.
閉鎖的な社会の中では価値基準が画一化する。
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震災の余韻が残る中、輸送していたある殺人事件の犯人に逃げられてしまう。主人公は、追う側の刑事、仁科と、追われる側の邦彦。邦彦は子供の時、阪神大震災で両親を失うという悲しい過去を追い、そこからは不幸の連鎖。
仁科が邦彦の過去、生い立ち、人物像を追ううちに、邦彦が何を目的に、どこへ逃げたのか、やがて明らかになっていく。
悲しく、やりきれない想いになる一冊。
原発のことも詳しく書かれており、七里先生の取材の熱量を感じた。お見事。
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東日本大震災直後の福島が舞台。原発問題についての作者の考えがにじむ。東日本大震災に某国の陰謀を絡めて悲劇のヒーローを描いているようで今イチ楽しめなかった。
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東日本大震災を舞台にした慟哭のミステリー。
なぜ、太陽神アポロンは、かの地で嘲笑したのか?
人間の奢り、不遜を諫めるためか?
巨大地震の後、余震が続く福島県で発生した殺人事件。
容疑者は酒に酔った被害者と口論になり、誤って包丁を刺してしまったという。当初、正当防衛も成り立つ単純な事件と思われた。しかし、...
被害者は、金城純一、加害者は加瀬邦彦。共に福島原発で働く同僚であった。そして、加瀬は、純一の妹・裕未との婚約を想定していた。
加瀬を現場から警察署に移送するため、人手が不足している中、刑事・仁科忠臣が任命される。
しかし、加瀬は、移送中に、余震のどさくさに紛れ、逃走してしまう。ここから、逃げる加瀬と追う仁科の逃走劇が始まる...
いったい、彼はどこへ向かおうとしているのか?
更に、警察庁警備局(公安)の姿も見え隠れし、単純に見えた事件が、驚愕の様相を見せ始める。
彼が命をかけて守りたかったのは、いったい何であったのか?
最後は、感動のウルウルです。
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中山七里さんの小説が読みたくて買った一冊。
本の裏表紙にも書いてあるが、社会派サスペンスの話だった。
殺人を犯した加害者が、あまりにも不運な男だった。
子供の頃から大人になるまで、大人になって働くようになって、逃亡している最中も不運
自分だったら途中で人生を投げ出しているかも
ちょっと気になったのは、殺人で捕まり地震のおかげで逃亡する事ができたが、地震がなかったらどうしたのか?
なにかしら隙をみて逃亡したのかもしれないけど
年月が経ちだんだん薄れていく原発や放射線、あと津波、地震の恐怖が改めてわかった小説でした。
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311の話だから重い。影のヒーローの話。
311後の殺人事件。犯人は逃走。
犯人は阪神淡路大震災の被災者でもある。両親をなくし、叔父にひきとられ、苦難を経ているが、心がまっすぐなままなんだよね。
そんな犯人が親友を殺してしまったのは何か事情があるんだろうなーと読み進め、思わぬ展開へ。
コロナ騒動の今に読むのは重いな。
護りたいと思う人に出会えてありがとう。 正しすぎる― 放射能浴びながら、やりとげて頭蓋骨やられて死に。
幸せは本人が決めるもの。「病院で念仏をとなえないでください」で言ってた。
アポロンは太陽神。太陽のかわりに原子力を手に入れたと思っている人間に鉄槌をくだし、嗤っているのでは、と犯人は思う。
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再読。相変わらずスピード感にあふれていて面白かった。最後、バイクで通過するふたりを警官達が敬礼で送るところにじーんとした。