紙の本
抱腹絶倒の何度でも読みたい書評
2010/03/07 23:55
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:rindajones - この投稿者のレビュー一覧を見る
何気に手にした本書。表紙裏の紹介文によると「49冊のベストセラー書評」のようだ。この手の本はそれほど興味はない、特にベストセラーと呼ばれる本には更に興味がない。
しかしながら、著者近影を見てその「ふてぶてしい(失礼、これでも褒めてます...)」様子に何故か興味を抱いたので読んでみた。
前書きをざっと読んだだけで、紹介文にもあった「抱腹絶倒」した。面白いかも...。
はい、ムチャクチャ面白かったです、抱腹絶倒しました、確かに。この著者のことは全く知らなかったが、今まで読んだ書評と呼ばれるものの中で断然面白かった。彼女のベストセラーに対する考え方が私と同様だからではなく、その指摘が鋭いのです。
ベストセラーというものは本当に良い本なのか?
読むべき本なのか?
更に言えば、これはかなり穿った見方だが
本当に読んでるのか?
これらの疑問が完全にとはいかないまでも解決した。本書のおかげ。
ここまで書いて、多分こう誤解している方は多いかと思う
「単に天邪鬼で、ヒガミ批評じゃないの?」
それは全く違う。
著者の本に対する愛情、更には出版業界への愛は十分に感じた。そしてこの国を憂う気持ち...。だからこそこのような書評が書けるのかもしれない。そして、彼女が女性だから(変な日本語...)こそ書けた点もある。石原慎太郎、大橋巨泉、等の大物本への指摘は「あっぱれ」としか言いようがない。こんな指摘が一般化しないのはやはり日本は「オトコ社会」なのでしょうか?
1999年7月から2002年10月までのベストセラー本が対象だが、全く古さを感じさせない。巻末の解説で数人の読者の座談会で指摘されているように、その後の社会情勢(トレンド)を「予言」しているかのような、彼女の指摘には脱帽する。
私には「ベストセラーだから読んでみようか」という感覚は、「ヒット曲だから聴いてみようか」「大ヒットした映画だから観てみようか」という感覚が全くないのと同様に完全に無い。おかげさまで、私個人にとっては充実した読書の時間を持てていると思っている。それを確信させて頂いた点でも本書には感謝したい。
ちなみに、本書で取り上げられている本で、私が読んでいた本は3冊。彼女の書評は「その通りです」と頷くしかなかったし、新たな発見も多々あった。
これらベストセラー本を読んだ人で、彼女の書評に怒り狂う人もいるかもしれないが、そんな人はこれがある一つの読み方を指南しているに過ぎないということを分かっていない。彼女は「こんな本は読むな」とは主張していない。むしろ彼女の書評への反論を聞いてみたいものだ。それも新たな良い書評になるかもしれない。
ちなみに、「私の趣味は読書です。」とはいつの頃からか言えなくなっていた。「本を読むのが好きです」とは言うが、「趣味」というのは違和感を感じていた。同様に「沢山本を読んでますね。」と言われるのにも違和感を持つ。絶対に「はい、読んでますよ」なんて応えない。沢山は読んでないからです。そういや、「趣味は読書です。」と言う人はもう少ないのかもしれない。履歴書に書くぐらいですかね ^^;
抜粋したい書評は沢山あり、「抱腹絶倒」なものもテンコ盛りですが、この瞬間に思い出した奴を一つ。
【「世界がもし100人の村だったら」の書評から抜粋】
この本の読者を100人の村に縮めるとどうなるでしょう。8人が自らの豊かな生活を反省し、5人が悲惨な国の人々に胸を痛め、4人が反戦メッセージと受け取り、3人が反感を覚えました。残る80人は心を癒され、「私はまだまだ幸せだ」「日本人に生まれてよかった」「小さいことにくよくよせずに生きていこう」と思いました。
単純化されたメッセージから受け取れるのは、単純な感想だけだ。これがテロ後の米国から発信され、ネット上を巡り巡って、日本で本になって感動を呼ぶ。いまの地球の姿が暗示されているようである。
抜粋ここまで(強調文字にした箇所は僕の判断)
この書評をまねて本書「趣味は読書。」に対する読者の反応を勝手に想像してみる。
8人が本書の内容を不当だと訴えて怒り狂い
5人が「所詮オンナの戯言、オシャベリだ」と差別し
4人が「こういう意見もあるよね」という中庸な意見を述べ
3人が大絶賛して
残る80人が読まない...
あはは...、事実っぽくて、笑えないぞ...。
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上手だなー、物事を斜でみて、文章におこすのが。ミステリーが苦手と書いてあっただけに、確かにノンフィクションのようなキレはなかったナ。
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烏兎の庭 第一部 書評 3.7.03
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto01/yoko/shumidokuy.html
烏兎の庭 第三部 箱庭 9.29.07
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto03/diary/d0709.html#0929
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激オモロ。くだけた口調もいいがけっして二の次になっている訳ではないのだ。批判の姿勢が浮き彫りになってよい。「なぞるのけ?この文字を。」
そして、こういう読み方ができるようになりたい。こういう視点で物を考えられるようになりたい。批判的、大局的。私個人はミクロな視点で感動してしまう、スポンジのような読み方しかできてないと思うので・・・。
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著者がベストセラーを私たちにかわって読んでくれたもの。
読んでると気の合う友人と居酒屋で談笑しているような楽しさをおぼえます。
「そうそう!そうだよね!」って。
奇をてらった読みをするあまり、ちょっとやりすぎかなーって感じもあり。
しかし著者のいう売れる本の要素は事実をついてますよね。本だけでなく広く社会をみて、笑いもからめて上手くまとめる力量はさすが!
この人の他の本も読んでみたいと思いました。
この本は「善良な読者」には読まれないでしょうね。(苦笑)
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ほんとにね斉藤さんの言うとおりなんだよ。不肖Rも善良な読者になるべく精進したいと思っております。冒頭のデータにはまじで震えたね。。
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文芸評論家、斎藤美奈子さんの「ベストセラー批評」本。
ベストセラー本の内容批評のみにとどまらず、
この本は何部売れたか、という数字(実売というより刷部数、推定含む)を提示し
この本は何故売れたか、を社会と結びつけて論じているところが面白い。
「物事をみる目の養い方」のヒントにもなった。
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斎藤美奈子氏の評論、というだけで買ってしまう私のような読者のことだろうか。『趣味は読書』な読者って。
読めば読むほど、自分が「悪い読者」だという自覚が生まれる本書。だがきっと、世の中の本を買う人々の大半は「よい読者」なのだろう。
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ベストセラーはなぜベストセラー足りうるのか?
この本を読んだからには著者の意見を鵜呑みにすることができないが(書き損だね)、
それでも乱暴と言っても差し支えない痛快な切り口はいたく気に入りました。
残念ながら私は「趣味は読書」とうそぶいておきながら
半分ぐらいしか理解していない洋書をぼつぼつ読む読者なのですが
宮部さんは好きなので、ディープだったり邪悪だったり。
で、ベストセラーには見向きもしないのですが
これを読んだらどれだけ今の本が薄っぺらいかわかります。
なんとか君が100ページほど悩んだ「会社の目的とは何か?」の問いは、
さすがに高校で政治・経済を学んだ身として一瞬でわかりました。
よかった。まだ教養の一部を失っていない。
純粋な気持ちで本を楽しむことと、
こう斜に構えて楽しむのと、
両方は一気にできないのでしょうか?
てか
もっと本を読まなきゃなぁ、と。
食わず嫌いしてる場合じゃないね。
でもこの本を読んだらとりあえずいっぱい読んだ気分になれるからお得。
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本好きを称する人は、
実はたいがいベストセラーを読んでいない。
だって、売れてる本なんてドウセたいしたことないでしょ。
ああ、あの本って●●なんでしょ。ああゆうのは、なってないよね。読んでないけど。
と、読んでいないのに、語る。
ならば、代わりに読みましょう!
というコンセプト。
そんなに、言っちゃっていいの?と思えるほど、言いたい放題。
おもしろいです。
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こんな本がなぜベストセラーに……という疑問について、かなり鋭い考察をしている。そして、それだけでは終わらないのがこの本の魅力。ひねくれた読書家のみなさん(僕も含めて)にとっては、かなり笑える一冊でもある。ちょと前までの「ケータイ小説」の隆盛は、さしずめ純愛ブームの反動といったところか。
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長い間人に貸しっぱなしだったのが戻ってきたので、おお、そうだ、ともう一度目を通した。
いやぁ、爆笑脱腹ものであります。
世の「大作家」「先生」の権威もなんのその。
ばったばったと言いたい放題!
読んでいるうちに彼女やっつけるところの「インテリよがり中年じじい系」って結構私にもあてはまるでないの、と震えちゃいますね。
一応、本を読む人はこれに目をとおし、世の書評がいかに「権威主義」「金太郎あめ」かよく認識してもらいたいものである。
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ふだん本を読まない人が読むからベストセラーになる。
だからいわゆる「本読み」はベストセラーを読まずに批判する。
が、それでいいのか?(ちょっと裏カバーから文章拝借。)
そう思った著者が49冊を取り上げて批評した本。
最初はいろんなタイプの「読書人」の解説。
「読書依存症」「読書原理主義者」「偏食型の読者」「善良な読者」。
鋭い分析に基づいた分類だけど、まるで占いか心理テストの結果みたいだ。
私は「読書依存症」かな。
新刊情報はチェックしてるし、自分のためだけど読書日記もついに
ネット公開してしまったし、実際、本の置き場所がなくて困っている。
私の本好きはもう趣味なんてカワイイもんじゃなくて、ほとんど中毒だ。
ごはんと同じ。
そのわりには近現代の名作だけ見事に避けて読んできてるので読み込む力が甘い。
本題に戻って。
最初の§は「人生訓本」を集めたもの。
『大河の一滴』とか『老いてこそ人生』とか。
その中でも、『頭がいい人、悪い人の話し方』は、出版当時、私自身タイトルからしてくだらないと思いつつも手に取ってみた本だ。
売れてるんだから何かあるのかもしれない(私がベストセラーを読むときはたいがいこういう理由)と思って、とりあえず目次をチェック。
そしてぱらぱら拾い読みし、1,2ページで見切りをつけた。
今更説く必要もないような、ありふれたこと、当たり前のことばかり書いてあって、新発見が何もなさそうだったのだ。
斎藤さんもおもしろいところは皆無だったと書いているし、時間を無駄にしなくて良かったと思う。
次。
『「みにくいあひるの子」だった私』梅宮アンナ
出版されたときからタイトルが嫌でめくってみる気すらなかった。
だから『趣味は読書。』であらすじと解説が読めるってラッキーだと思ったんだけれど、梅宮アンナ、甘えすぎなんじゃないの?
元JJモデル、勉強嫌いが高じて高校進学拒否ってあんた・・・。
それじゃただのわがまま娘だ。
いくらハーフで外人と言われようが、親が厳しかろうが、人それぞれ悩みはあるのが当たり前。
悩みのない人生って、どんだけお気楽やねん。
斎藤さんは、アンナこそパラサイトシングルの見本だ、と言っている。
彼女のファンもそんな女の子が多いし、でなければその予備軍なのだそうだ。
何だか長くなってきたので急ぎ足で。
『市販本 新しい歴史教科書』。
けっこう面白いらしい。読んでみたい。
ものすごく売れる本は、ユルイ、との章で。
『五体不満足』『世界がもし百人の村だったら』『ハリーポッター』など。
『世界は~』は、存在は知っていたけれど、タイトルから胡散臭いものを感じたので読んでなかった。
『趣味は読書。』を読んで、内容を知り、そのアイディアには感心したものの、本当に世界が100人だったら、こんな本ができることもなかっただろうと思う。
『ハリーポッター』は、悪いけど、『趣味は読書。』にとりあげる意味がない。
斎藤さんも書いていたし、私も読んで感じたがまるきり現実逃避のためだけの本なのだ。
取り入れてもいいけれど、ファンタジーに問題意識なんか要らない。
必要なのは、想像をよりリアルにしてくれるディティールと、ダラダラにならない展開だけだ。
その展開すらも、後半のハリーポッターには欠けている。
炎のゴブレットからちょっとおかしくなってきて、収拾がつかなくなった気がする。
1巻を出した直後に、7巻の最終章はもう書き終わっていると宣言していたにもかかわらず、最後が近づくにつれ書き直さざるをえなくなったと言っているのを読んで、ますますその感が強まった。
『だからあなたも生き抜いて』大平光代 について。
極妻から弁護士になった人、と言えば誰でも知ってる本だ。
私が読んだのは中学生のときで、著者のプロフィールに惹かれて買った。
ミーハーなもんで。
確かにその凄まじい過去には驚いたけど、それだけだった。
あとは、人間やればできるもんやな(でも私には無理)、
というきわめてシンプルな感想を抱くのみ。
斎藤さんと私の共通の突っ込みどころは「極妻になった」部分のあまりのサラっとぶり。
一番濃い時代だったはずなのに、たった1章しか割り当てられてなくて、
「気付いたときには極妻になっていた」との記述には本当にあっけにとられた。
斎藤さん曰く、「気付いたときには、って、それはないんじゃないでしょうか。」
そうやんねー。そうやんねー。
いろいろあるでしょうに、いろいろ。
そこを教えてよ。
強引にまとめてしまうと『趣味は読書。』は、いろんな視点でベストセラーを見られて面白い本だ。
この先本を読む姿勢が少し変わるかもしれない。
ただし、冒頭に述べてある「善良な読者」さんは読まないほうがいい。
今まで抱いてた感想を斜め目線で、スパッと切り落とされる。
その切れ味は小気味良いほど。
恐れ入りました。
これからも、こういう本を出してくれればいいのにと思う。
読む気になれない、でも一般常識的ベストセラーを読む手間が省けるんだけど。
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よく売れている本は読みたいけどつい後回しにしてしまうし、
評判が先に立つのでだんだん興味がうせてくる。
それに高いお金をだして一度だけしか読まないであろう本を買うのは気が引ける。
タレント本はちょっと気になるけれど、
買う気はさらさらないし、
買ってしまったが最後後悔するのは目に見えている。
でも、内容くらいは知っていて損はないのでは?
そう思うような本がじゃんじゃんネタばれありで
評されている。
すぐ読み終わるのに、読んだ後は100冊くらい本を読んだような気分になれる。
お得。
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おおおおおおおお。
著者がベストセラーを(読む気がない人たちのために)読み漁り、斬りまくった本。
「冷静と情熱のあいだ」も「海辺のカフカ」も「国家の品格」も「声に出して読みたい日本語」もみんなばっさばっさ斬っていく。
斎藤美奈子節も健在。痛快!!
何がすごいって、「この本のターゲットはどの層か」などと出版社の視点からきちんと分析していることなのだ。
「本の内容にどういう構造があって、だからどの層に受けるのか」という点がしっかり書かれてあり、単に「この本は良い本です」とか「くだらない本です」と書いておしまいではない。商売としての出版業、というのをきちんと意識している。
「出版業界で働きたい/働いている」、「ベストセラーは買いたくも読みたくもないけどなんか気になる」方におすすめ。