紙の本
万能薬のような本
2018/01/31 11:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じょーじぁ - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名は凡庸で、またその手の本か、と思いがちだが、本当に医者には絶対書けないのかという少し意地悪な気持ちで読み始めた。
想像は心地よく裏切られた。
これだけ丁寧に、合理的に、必要な情報が網羅され、しかも妙な味付けなどはなく、淡々と事実を積み上げていく筆者の態度にまず感服した。
「死に方」とあるが、死ぬときだけの話ではなく、今の時代、人生の後半をどう生き延びられるかという「生き方」を教えてくれる。
終末医療のことだけでなく、介護保険や介護施設、認知症、老後資金、葬儀や墓、歳を取ってからの住み替え術、最後は自殺の方法まで言及していて、こんなに真面目に生と死について考察した本は珍しい。
新書のコンパクトさの中にこれだけの内容が詰め込まれているとは、読む前には想像できなかった。
また、小説家でもある著者の交友関係(『ぼくが医者を辞めた理由』の永井明氏や、野村秋介拳銃自殺事件当時の週刊朝日編集長だった穴吹史士氏など)や、その人たちの死に方、死に対する哲学なども知ることができ、読み物としても大変興味深かった。
中高年にはもちろんのこと、若い世代の人たちにも勧めたい1冊である。
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終末医療や死に方、葬式、お墓などは、しっかりしているときにちゃんと決めておいた方がいいでしょうね。
なんだかんだ、いろんなことが永遠と続くと思っている人が多いのかもしれません。
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人はいずれ必ず死ぬ。
では自分に取ってより良い死とはどんなものなのだろうか。
自分の意思が尊重されない死ねない医療行為は出来れば避けたいです。
終活という言葉もあるが、自分の人生の幕は自分自身の意思で降ろしたいものです(もちろん自殺という意味ではなくて)。
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老後と終末について、作家の立場で、多方面から自分の考え方と作者の近親者(おば、母、父)の事例を書いている。情報源としては、必ずしも信頼できるとは限らないし、汎用性は中途半端。一つの事例を知ることができる資料という程度。
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病院死が8割を超える現代日本。そのほとんどの人が終末医療を経て亡くなる。じつはこの終末医療、死にゆく人にとっては、「拷問」に等しい苦しみということはご存じだろうか。人は死ぬ間際になると、栄養をほとんど必要としなくなり、枯れるように亡くなる。いわゆる餓死のような状態が自然で楽な死に方。しかし終末医療では、そうした状態の人に延命と称して、チューブで無理矢理栄養や水分を送り込む「処置」が行われる。そうやって死ぬに死ねない状態で、苦しみながらベッドの上で数ヵ月生き続けることになる。それが本人にとって、家族にとって幸せな死に方なのだろうか?いまでは「ムダな延命措置を拒否する」ことを希望する人も増えてきたが、
それでも一度、状態が悪化してチューブを取り付けられたら最後、それを途中から外すことは、いまの日本ではきわめて難しい。そのような状態にならないためにはどうすればいいのか。
家族を相次いで介護することになった著者が、自らの体験をベースに、本人にとって、家族にとってベストの選択とはなにか、どうすればそのベストの選択ができるのかを明らかにしていく。医者との付き合い方、介護施設の見つけ方、どのくらいカネがかかるのかなどなど。
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最近亡くなった祖父の死に方は幸せだったのか?それが気になり読んでみた。内容は著者の実体験の話だけに生々しく、説得力がある。何を持って自分らしく生きていると言えるのか?とても考えさせられる。呼吸してるだけ、認知症で自分が認知できない、歩けない、食べられないどこまでなら生きてる意味を見いだせるか?どう死にたいか生前に考え方を周囲に示しておく、家族なら聞いておくべきだ。途中で著者の個人的な愚痴みたいなものが書き綴られてるのが違和感があるが、著者の強烈に不運な境遇を思えば仕方ないとも思える。