紙の本
以前は小川さんのファンでしたが
2018/05/02 13:20
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まこと - この投稿者のレビュー一覧を見る
「かわいそうなこと」この小説は感覚がおかしいと思いました。ライトの彼はかわいそうではないです。語り手の僕が病んでいるのか。
ライトの彼は野球が上手くなるように練習すればいいのです。
また「亡き王女のための刺繍」。中に出てくる「亡き王女のためのパヴァーヌ」というピアノ曲はごく普通の子供が発表会で簡単に弾くような易しい曲ではありません。作者が単に語呂合わせの為に使っただけでしょう。小川洋子さんはデビュー作から天性の何かをもっていらっしゃる、真の作家と呼ぶにふさわしい方だと思ってファンでしたが、この短編集はネタ切れかんをかんじてしまい、短編集だったので、途中まで読んで図書館に返却してしまいました。ごめんなさい。
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面白かったです。令和最初の読了。
今回もひっそりと奇妙な世界でした。
「かわいそうなこと」「一つの歌を分け合う」「乳歯」が好きでした。
「亡き王女のための刺繍」は穏やかに読んでいたら最後の私の台詞にやられました。どんな背景があるのか想像がふくらみます。
「一つの歌を分け合う」はレ・ミゼラブルが観たくなりました。
今回は子どもモチーフのお話たちでした。子どもたちにもそれぞれの世界があって、小川さんが子どもを見つめる眼差しは不思議です。
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短編8作。
日常の片隅や、少し外れたところに佇んでいる風景を、なんてことなく切りとるのがうまい。
探せばあるよう。
表題作が心に堪える。
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小川洋子の最新作。
ファンタジックさの影に隠れた『毒』がとても気持ち良い。読んでいて幸せな気分になる。
これぞ小川洋子、という短編集になっていた。
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今回も小川洋子さん独特の雰囲気を味わせて頂きました。
揺さぶられるような気分で読み終えた気がします。
「亡き王女のための刺繍」は特に色々想いをはせて読みました。
冥界の花?どうして新生児にそんな花を?と思いながら読みました。
「乳歯」「仮名の作家」はこれぞ小川洋子さん!と思える作品でした。なんだか怖くて先に進めないような、でも怖い物見たさに進んでいく・・・そんなイメージです。
「先回りローバ」と「かわいそうなこと」は特に気に入っています。
もちろん全部面白かったです。
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きれいな装丁に魅かれる。
小川さんの作品は静かで怖くて優しくて悲しい。
じっとりした感じにただ浸りたくて読む。
8つの物語がおさめられた短編集。
先回りローバ、は吃音を持つ男の子に見えた小さな老婆との物語。子どもが主役の物語は、こんな感覚あったなぁと感じる部分があって好き。原体験のような、現実とファンタジーが交わる部分。
一つの歌を分け合う、は無くなった息子とレ・ミゼラブルの舞台を重ねて観る母の物語。甥の目線で語られ、切なさと強さを感じた。
仮名の作家、は作家を追いかける女性の物語。その強すぎる思いが狂気に変わっていく様が怖かった。
表題作は銭湯で赤ちゃんを預かる小母さんの物語。赤ちゃんの可愛さと小母さんの寂しさが心に残った。
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小川洋子らしいなぁと思える話もあるし、「えっ?ちょっと違う感じ」と驚くような話もある。
まぁ読んでみてください。
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ここ数年の小川洋子さんは本当に名作連発で凄い。
この短編集も本当にどれも素晴らしいです。
現実と幻想、生と死の間を彷徨う感覚がたまりません。
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現代のような軸のずれた世界の、手のひらから零れ落ちた人たちを掬い上げるような短編の数々。大人のための童話のように、少し残酷であったり向こうの世界だったり。でも明らかに線引きの見えるので、迷うことなく浸ることができました。ちょっと切ない美しい物語世界を堪能♪
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主人公は皆それぞれに独特の個性を持ち合わせている。現代の社会では大多数から隔離されてしまいそうな少数。理解出来る範疇もあるし、理解を超えるものも。自分の心の状況や、読み手によって変わって来るのだろう。
行間に真のストーリーが散りばめられている気がする。読むたびに新しい発見がありそうな8つのお話。
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どこかに紛れて、
古びたり、ホコリにまみれてしまったなにか。
懐かしい気持ちがあるのに
今はちょっと眉をひそめてしまうような…
そんな人たちがたくさんでてきます。
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表題作含め8篇を収めた短編集。
どれも、静謐で穏やかで、秘密めいて、不思議さがあって。そしてとても優しい。
この空気は小川洋子さんの本でしか味わえない。
時々無性に浸りたくなる。
『盲腸線の秘密』が好みだった。
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『先回りローバ』★★★
『亡き王女のための刺繍』★★★★★
『かわいそうなこと』★★★
『一つの歌を分け合う』★★★★★
『乳歯』★★★
『仮名の作家』★★★★★
『盲腸線の秘密』★★★★
『口笛の上手な白雪姫』★★★★★
どの短編もとても良かったけど、無理やり差をつけて決めるならこんな感じ。
ある人の生活や人生のほんの一部分のことが描かれているのだけど、小川さんが描くとすごい世界になる。
静かで、不思議な印象があるけど何かを象徴し、人の心の中のどっかの引き出しがスッと開いて、涙が出てくる。
こんな絶妙な感触は小川さんにしか描けないのでは。
子供の成長、母性、私だけが知っていたらそれでいい。
そういう遠慮がちな気持ち。秘密のようなもの。
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たとえ世界中が敵にまわっても、僕だけは味方だ。
公衆浴場で赤ん坊を預かるのが仕事の小母さん、
死んだ息子と劇場で再会した母親、
敬愛する作家の本を方々に置いて歩く受付嬢、
ひ孫とスパイ大作戦を立てる曽祖父——。
不器用で愛おしい人々の、ひたむきな歩みが深く胸をうつ。
あなただけの〈友〉が必ず見つかる。静謐で美しい傑作短編集!
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表題作のほか、「先回りローバ」 「亡き王女のための刺繍」 「かわいそうなこと」 「一つの歌を分け合う」 「乳歯」 「仮名の作家」 「盲腸線の秘密」
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どの物語も、世界の端っこの隅っこに、ともすれば打ち捨てられ、人々から忘れ去られてしまいそうな事々を、興味津々に見つめる目線が見えてくるような印象である。ほんの狭い一画を切り取っていながら、想像の世界は果てしなく広がり、どこへでも行ける気分にさせられる。そして必ず、胸のどこかをチクリと刺され、ハッとするのである。しあわせに暮らしましたとさ、の先の白雪姫のことなど、想ってもみなかったが、胸にすとんと落ちてくる。いままで見えていなかったことが、ほんの少し哀しくなるような一冊でもある。
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初出 2015〜16年の「GINGRE L」及び2016〜17年の「小説幻冬」
吃音の少年が発しなかった音を掃き集める少年にしか見えない小さな”老婆”の「先回りローバ」のような不思議系の物語もあれば、少年がかわいそうと感じるマッコウクジラやツチブタ、写真のキャプションで名前を飛ばされる出演者や少年野球の大勢の決した試合の最後にライトの守備に出てくる少年について、ノートにリスト化する「かわいそうなこと」のような物語もあって、小川ワールドを感じさせてくれる。
特に良かったのは、海外で迷子になった少年が聖堂に迷い込み、彫刻に惹かれてそれが動くのを幻視する「乳歯」と、ある作家を恋人と自称し、全作品を暗記して、セミナーのような場で作家に作品にないことを質問して答えてもらって有頂天になる痛い女性の物語「仮名の作家」。