「現在も文庫で読める」という本
2018/07/01 21:23
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
死海文書が「偽書」だという論点が希薄だったり、「古事記偽書説」がイマイチなのは、今まで殆ど論じていない事を書いたからだろうが、この著者が何回も書いているはずの「ショスタコーヴィチの証言」についてが一番ひどかった。
この本は「世紀末」に1回、復刊したが、それっきり絶版になって久しいのに「現在も文庫で読める」はないだろう?古書店かオークションサイトで買って「読める」という意味なのだろうか?
「ソ連時代も崩壊後も家族も友人たちは一貫しているのだ」とあるが、この本が出てから邦訳が出た当のヴォルコフの「ショスタコーヴィチとスターリン」を読めば、みっともない事を書いている。娘のガリーナ・ドミートリエヴナと亡命した直後に「証言」の偽書説を唱えていたはずのマクシム・ドミートリエヴィチがロシア語版の序文を書いているそうだ。偽書説自体は定説であっても、偽書の著者でも交友関係は別という事なのだろうか?ヴォルコフは「バービーヤール」の詩人のエフトゥシェンコとも交友関係があって、番組まで作っている。著者が社長だった会社で出したショスタコーヴィチ伝の著者名を「ローレル・ファーイ」と書いているが、何でも「フェイ」が正しい読みとの事。ソロモン・ヴォルコフがブロツキーと親交を持っていて、彼を見いだした晩年のアフマートヴァと面識があったからか、フェイの伝記の人名紹介で彼女の本名を間違えた読みになっている、と思ってしまう。
国外追放になったトロツキーとソルジェニーツィンを「亡命した」とある。「収容所群島」が出たのは1973年で、「証言」が出たのは1979年なのに「まもなく」はないだろう。
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古今東西の有名な偽書の紹介本、入門書。
文書、・書籍の他、書簡や作曲、戯曲、インタビューまで含む。
また、古史古伝についても解説されている。
「古事記」や「死海文書」についての考察もある。
偽書とは何か?何故作成されたか?その及ぼす影響とは?
多くの人が騙され、または信じる・・・それが偽書の面白さであり、
危険性でもあります。
政治や戦争にも繋がってしまう恐れすらあるのだから。
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文章は神代文字で書かれ、神武天皇の前には72代の天皇が存在し、
キリストもモーゼも日本に来たことがあり、天皇に仕えていた。
日本は全世界の中心で、ある代の天皇の係累が世界中に散らばり、
天皇は空飛ぶ船で世界各地を文字通り飛び回っていた。
すげぇ、日本。安倍晋三が言う「世界の中心で輝く日本」は実際に
あったのかよっ!
とは、思わない。これ、偽書として名高い「竹内文書」の内容だから。
でも、偽書と分かった上で読むと面白いのだ。「ほほぅ、こんなこと
があったのか」「文明、めっちゃ進んでるじゃん。超古代なのに」と
かね。
一方で明らかに整合性に欠ける記述があっても信じてしまう人たちが
いるのも確か。時には真贋論争の的になり、時には歴史を変えてしまっ
たりした29の偽書を紹介しているのが本書だ。
250ページ少々で29の偽書を扱っているので、かなり駆け足的なのは
仕方ないとしても、「死海文書」や「古事記」、朝日新聞痛恨の捏造
記事「伊藤律インタビュー」をも含めてしまうのはどうなのだろう。
対象を絞って、それぞれをもっと掘り下げた方が良かった気がする。
「東日流外三郡誌」なんて、偽書であることを検証した過程を1冊の
作品として発行されているのだから。
まぁ、ブックガイドの類として参考程度に読むにはいいかも。紹介され
ている偽書については巻末に参考文献が掲載されているので、「もっと
知りたい」と感じたら、改めて参考文献の方を読むのがいいかな。
私には少し食い足りなかった。
しかし、古今東西、捏造・偽造は後を絶たないんだな。あ、公文書の
改竄ってやっぱり偽書扱いになるのかしらね。
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世界を動かした「偽書」というものの、特に世界を動かしてはいないものも多い気がする。後半は偽書っていうかトンデモ本ですよね、みたいなのも多くなってくる。まあ、いろんな偽書を紹介してほしかったのでこれはこれでいいんですが。
ちなみに『鼻行類』だけは持ってたのでちょっとうれしい。
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古今東西の怪しげな本を紹介する。名前だけなら知っているが、その内容、成立過程を知ることができた。クライスラーが「発見」した曲を聴いてみたいと思う。しかし、日本に竹内文書あれば、西欧にはウラ=リンダ年代記あり、か。
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古今東西の有名無名の偽書を紹介。
鼻行類はぜひいつか読んでみたい。嘘は無害なものがいい。
最後までそれなりに楽しく読めたが、あとがきの30番目のフェイク話にはモヤモヤしてしまった。
そこの前フリだとしたら。。。
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ユダヤ人大量虐殺の根拠は、一冊の「偽書」だった―かくも人間は騙し、騙される。フェイクニュース時代にメディアリテラシーを高めるための必須教養。(アマゾン紹介文)