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紙の本
経済のグローバル化を理解するための一冊。
2002/06/08 02:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:宇羅道彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済のグローバル化を理解するための一冊。
優れた分析ですが、問題の解決が容易でないことも教えてくれます。
盛んにテレビ出演などで活躍している著者だが、アダムスミス以来の経済学を
鳥瞰する中で、現代を説明する独自の視点は十分な説得力に満ちている。
共同体と共同体の間の交換から成立した市場が、やがて共同体自体を侵食しつ
つ、ついにはそれを解体に導く。
「都市は人を自由にする。」とかつては希望を持って語られた都市生活者の共
同体の束縛からの解放は、市場原理の貫徹によりいまや耐え難い孤立まで人々
を追い込んできた。
一方で市場はさまざまな位相の共同体を侵食する過程においてのみ成立する。
資本は差異を利益機会として運動する存在であるからだ。
著者は市場と共同体の共存を政策的妥協により夢見ているが、それを担う具体
の政治勢力を見出せてはいない。
もちろん原理的な解決を提示する経済思想は今のところ世界のどこにもない。
市場と共同体に引き裂かれた近代人は、市場社会のきわみで共同体の再建に赴
くことが予想される。
経済のグローバル化が世界のナショナリズムに火をつけてしまった様相がすで
に見え始めているではないか。
思えば市場は経済学の不可能性を日々主張してきたと考えることもできよう。
この著者がいうように矛盾が人間自身にあるとき、歴史はその悲惨の規模を科
学技術の進歩に従って拡大しつつ繰り返すばかりだろう。
「神は死んだ」とするなら永劫回帰があるばかりだ。
紙の本
社会哲学における現実感覚とアクチュアリティの回復
2002/04/04 22:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
自立性(自分らしく生きること)への要求と共同性(一人では生きていけない)への要求という、近代的人間が抱え込んだ「分裂」を見据え、ありふれた人間が抱える問題を「弱い個人の仮定」を出発点として解決する政策構想力を提唱する。
グローバリズムという名のアメリカンスタンダード、市場原理主義という名の全体主義への対抗戦略として著者が示す方向(コミュニティへのセーフティネットの張り替え、市場では提供できないものを送り出す社会的交換のネットワークや独自の第三者評価機関の創出など)や視点(企業組織における「自己なるもの」の制度化、労働・土地・貨幣的資本という本源的生産要素を「所有することの限界」など)は、いまだ抽象的なものにとどまる。
だが、本書の主眼と魅力は、主流派経済学の市場理論やマルクス経済学に対するラディカルな批判にある。この理論的な抽象化の徹底を通じてこそ、いいかえれば普遍と特殊を同時に説明する論理の一貫性の追究においてこそ「社会哲学における現実感覚とアクチュアリティの回復」(104頁)がもたらされるのであって、近代的人間の分裂はまことにパラドキシカルで根が深いのである。
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