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冒頭の2話、調律師になるきっかけの板鳥さんとの出会い、調律師になって初めて訪れた双子の話で、もう次のページが気になってしかたない。
調律ってギターのチューニングなんかと同じイメージを持ってたけど、深い森に引きずり込まれた。
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物語の底で、ずっとピアノが鳴っているような作品でありながら、静かであたたか。不思議なほどに深く感じ入った。
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友人が調律師でした。
さらに彼は大きな夢を見て
パイプオルガンビルダーを目指しました。
彼はそのどちらも目指すところに届かず
今はアンティークオルゴールの
販売とメンテナンスの職に就いています。
演奏者であることと そうでないことは
表現者として生きたい人間にとっては
天と地ほども差のあることで
ピアノを弾けなくなった由仁が
演奏者として生きようとしている和音の
ピアノを調律師として支えるというのは
設定に無理を感じます。
表現者を目指していた由仁にとっては
その選択の先にある未来は 地獄です。
表現したいのにできない。
ステージでライトを浴びることは
この先一度もない。
なのにステージのそばで
和音のピアノが喝采をうけるのを
常に見続ける。
容赦ない地獄です。
表現者として生きたかった者の
表現したいという想いを
この物語は描けていないと思います。
由仁が どのような経緯をたどり
苦悩と曲折の中で そんな選択に
たどり着いたのか…それを
描いてくれない限り やはり納得できません。
外村くんは 違います。
彼は 表現者ではないからです。
彼の人生は幸せです。
素晴らしい音楽の世界を
何のこだわりも 嫉妬も 苦悩もなく
心から味わうことができるから。
調律師になることが 彼の宿命だったとしか
思えません。彼は調律師として生まれたのです。
外村くんのくっきりとした輪郭の描かれ方に比べ
他の方の生き方とその背景は 薄ぼんやりしていて
共感できませんでした。
前述の友人は もともと表現者でした。
表現したいという想いを 一度でも胸に抱いた者は
どんな手段を選んだとしても
表現者として生きることでしか
人生を全うできないのではないか。。
そう感じて 私も苦しみつつ生きています。
まだまだ描きこめる余地のある物語ではないかと
僭越ながら感じました。
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久々に心の底から素晴らしい!と思える本に出会った気持ち。
とても綺麗な言葉、表現が出てくる美しい一冊だった。
心に響く文、留めておきたいと思う文章がたくさんあり、読み進めるうちに頭の中に情景が浮かぶ。主人公と同じように鳥肌が立つ。
調律師という仕事、こんなにも繊細で深いものなのか…
羊と鋼の森というタイトルの意味が読み進めて初めてわかった。
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すごく綺麗で静かで澄みきった(だからちょっと怖い)お話でした。森の中をひたすらゆっくりコツコツ歩いていく。歩き続けていく。それがどういうことなのか、ぜひ本書を読んで確かめてもらいたいです。羊と鋼の森。タイトルだけ見てもそれがどんな森からわからないけれど、読み進めていくうちにいつのまにかその森の中を自分が歩いているような感覚です。
美も善も羊から生まれ、それはもともとピアノの中にある。最後の北川さんの言葉はなるほど、と腑に落ちました。
外村がどんな調律師になるのか、和音がどんなピアニストになるのか、いつかまた彼らに会ってみたいものです。
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ピアノの世界は全く知らないので、調律師の仕事が垣間見れてよかった。
彼の育って来た環境と、一人前になる過程の中にある自然の森の素晴らしさが美しい。
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はじめから終わりまで、澄んだ空気に包まれている、
美しい物語。
主人公の外村くんが、体育館でピアノと出逢うシーン
大好きです。
事務所のメンバーも、双子も、
それぞれにとても素敵なキャラクター。
途中で外村くんが調律に行ったお客様、子犬のワルツを弾いた男の子も印象に残っています。
音楽との関わり方は、一人一人違うのだと思う。
読み進めるごとに、羊と鋼の森 というタイトルがしっくりきます。
音楽という森に迷い込んだピアニストや調律師たち。
気持ちは焦るものの、何を頑張ればいいのかわからない。
誰も教えてくれない。ただ、やるだけ。
とても孤独な世界だと思う。
でも、とても尊い世界だとも思うのです。
【印象に残ったセリフなど】
「お祝いです」「なんとなく、外村くんの顔を見ていたらね。きっとここから始まるんですよ。」(P.63)
「和音さんはちゃんと和音さんのピアノが弾けている。それなら、かまわないじゃない?」(P.79)
何ひとつ無駄なことなどないような気がすることもあれば、何もかもが壮大な無駄のような気もする。(P.134)
「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。」「俺はそう思うことにしてるよ」(P.139)
「あの子は小さい頃から森が好きで、迷っても必ずひとりで帰ってきたから、きっとだいじょうぶ」(P.169)
「今でもはっきり覚えてる。最後は高い山の屋根にいた。これはいつもの夢だって気づいたから、風も雨も来る前に自分から飛び降りた」「あきらめるってそういうこと」(P.181)
ピアノを食べて生きていく(P.193)
つまり、外村の実力だ(P.221)
ただ増えたのは、少しの技術と、少しの経験、あとは絶対になんとかしようという覚悟だけ(P.256)
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文庫化を待ってた。宮下さんの著書は初めてだったけれど、一気に好きになってしまった。
しっとりと、じわっと来る感じ。
彼がどんな調律師になるのかもっと見てみたい、和音とどんな世界に羽ばたくのか、もっともっとみたい。
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すごーく、ピアノが弾きたくなった。
ピアニストではなく調律師視点の話。
調律さんは、こんなふうにピアノに関わってるのか、、。
調律ひとつで、ピアノをハーレーにも50ccのバイクにもできる。
自分でよく、いいピアノはギアの段階がすごくたくさんある!と思ってたけど似てるかも。
フォルテと思って家で練習しても、違うピアノだとどのフォルテ?これ?これ?となる気がして途方にくれる。
これが、弾ききれないよ、ということなのか。。
なんか悔しい。
ちゃんと、調律してもらおう。ピアノの音と向き合おう。
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『太陽のパスタ〜』に続き、奈都作品二作目。本屋大賞受賞作。いや〜、大変素晴らしい作品でした。“調律師”という仕事を初めて知り、また違う世界を体験させてくれました^^ 今秋、ピアノのコンサートに行こうっ!そう、決めました。星五つ。
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とても素敵なお話でした☆
ほぼ通勤中に読んだので、何回かに分けて読んだという感じだったのですが、
今度、時間をたっぷり取れるときに、じっくり一気読みしたい♪ その方が、このお話を、より楽しめる気がします。
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とてもよかった。静かに、詩的に、美しく言葉が紡がれているお話でした。心が洗われて温かくなりました。いいもの読んだなぁ。
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タイトルの付け方からして美しい。
一生をかけて取り組みたいと思えるものに出会えた人は幸いだな。自分の目指すものにはなれないのかもしれないという恐怖と向き合いつつ、でも好きだから諦めるということはできないのは苦しみでもあるだろうけど。
北国の風景とか空気とか森の気配が伝わる文面が綺麗で、気持ちの良い読了感だった。
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やっぱり本屋大賞はハズれない♡
ピアノの調律師さんという、あまり馴染みのない職業。
お仕事小説としてももちろん楽しめるけど
主人公の外村のちょっとした言葉や気持ちの変化から
外村の成長が感じられるのがまたうれしい。
大きな盛り上がりはなく(良い意味で)、たんたんと外村と
調律師としての毎日が過ぎていく。
その中で、端々に感じられる外村や先輩の
秋野さんの情熱。
ピアノに触れている人も触れていない人も、
きっと心に響くだろうなぁ。
双子の高校生のエピソードもよかった。
最後の柳の結婚式のシーンは感動。
大げさな話は1つもないのに、胸が熱くなったり
つい外村を応援している自分がいるのが不思議。
エピソードの重ね方がさりげなくて、上手。
未来の外村や双子ちゃんたちを見て見たい!
映画化がたのしみだ♡
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ピアノの調律師を目指し努力する若者を描いたお仕事小説。
ピアノの音色を文字で表現するのは難しいが、見事に繊細で美しい文章に溢れている。主人公の外村はこれといった特徴はなく、本人のエピソードにも乏しい。でも、職場の先輩や調律しに行く家庭の双子少女との関係や会話がそれを補う魅力を作り出している。
調律師としてまだまだな状態で物語は終わっていくのもモヤモヤするが、未来を感じて読後感は悪くない。