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倫理学の本。
東洋から西洋・イスラム思想まで、セネカから新海誠まで(特にスピノザに重きを置き)、縦横無尽に行来しながら「目的」「目標」に追い詰められない生き方について考える。
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新聞書評欄によると
生きる目的や悪に対峙(たいじ)する正義などを求めがちな私たちの心性は、どこかへエスカレートしていく危うさを秘めている。がんばらず、ぐずぐずに生きるのもありではないか。〈人生は意味だらけだと考えることが、足元をつまずきの石だらけにする〉〈「目的のなさ」とは、欠如や空虚ということよりも、むしろ自由な空間ということであり、器の大きさでもある〉と著者は説いているらしい。
人生にやたら生き甲斐を求める風潮に対し、ただ「ここに居る」という存在だけで充分であるということか。在ることは奇跡に近いのかも・・・。
硬く読みにくいのが難点。
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前作の「小さな倫理学」が良くて、手を出した本。こちらの方がやや込み入っているが、基本同じ考え方。なるほど、そう言う見方もあるかと思うところが多数。同感というところも、多数。
TVのお笑い番組は権力を学ぶ為の家庭内学習、宿題みたいなもの。集団の中で1番大きな声で笑う者は1番権力を持っている者。
今ここにいて歩いている「私」は何者かの社、容器なのだろうか。社である以上、豪勢で威風を払うような容器であることを人は求める。人間は一人一人が神社みたいなもの。
目が利くが故に見誤る人が人生において少なくない。顕微鏡や望遠鏡の様に倍率を誤ると見えるモノも見えなくなってしまう。
人生の目的は何か?1つしか目的がなければ、多くの個体をこの世に増殖させる必要はない。次々と新しい個体がこの世に現れ出てくることだけで目的が1つしかないことを否定するし、目的がないということを論理的に含蓄している。
人生において目的は分散し、迷い、見失う者が多くいなければならない。人生の答えはありそうだが、ないという形でしか存在し得ない。多様性というのが唯一の答え。
人間とは過つ者。失敗して価値が減るのはある特定の「役割」に関してであって、人間としてではない。
言葉は人間が世界と関わるための粗雑な道具。世界そのものをありのままに表現する道具ではない。そこが利点であり長所でもある。
p141悪意を醜くぶつけてくる人、自己と言う深遠の底からヘドロのように湧き上がってくる悪意をぶつける前にすると、心よりも肉体の方が先に反応する。言葉を武器として使う人々は、激しい言葉を使ってできるだけ深く心に傷をつけようと切り込んでくる言葉と刃物とどちらが鋭いのだろう。海馬は似たような記憶を取り出してきて他社の攻撃性に面した場合の心と体の構え方、つまり臨戦態勢を取るように体に命じる。言葉が傷として肉体に残る。しかし存在は傷の中に定着するのではなく、流れとして重く漂い続ける。
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人生に目的はない、というより目的は後から付いてくる、根底にあるのは欲望、ということだと思うのだけど、判然としない書き方で読むのが辛かった
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人生に目的は無いと唱える倫理学者の話。
ま、確かにそうなんだけど、だからどうする?とかどう生きる?とかの参考になるわけもなく。同い年の学者さんがどういう話を書くのかな?と思って読んだが、まあ期待する方が間違い。
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この本は新書の形式をとってはいるけれど,哲学書。決して読みやすいとは言えない。だけれども,だからこそ丁寧に読むことで得られるものが多い気が薄る。。ちょっとふと疲れた時に自分を見直すきっかけになる。
最近,本は目的を決めて読むことが多い。だけれども,目的外のことで思わぬ収穫が得られることがある。そのスコープの広さこそは集中とは反対の目的の無さ。自分はどちらかということ目的のないまま生きてきた。上手く行っていないことも多い。それは裏返せば器の広さと思えればまた悪いものではないのではないかと思う。
時々,物語の先を見たいんだけど,見たら終わってしまうというジレンマに陥ってしまうことがある。目的ってそういうもんだと思うと腑に落ちる。
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散発的にいろんなことが少しずつ書かれているようで、読むのが大変だった。けして理解したとは言えない。スピノザなどの哲学者の考えを基にしているようなので、基本的な理解が必要かも。
拾って一番共感したのは下記。
> 何でもかんでも 、必死になってがんばることがよいことだと考えられていて 、がんばらない人は悪人であるかのような風潮になっている 。必死になってがんばりすぎていることは 、過剰適応といって 、ぎりぎりのところまで能力を使っているということだ 。それは 、非常口を玄関にしている家のようなものだ 。火事になって玄関から出られなくなると 、それ以外に非常口がないから逃げられない 。
まさに自分が努力至上主義みたいなところがあって、良くないなあと思い返してみたり。
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人生の目的のなさ、について筆者の見解を述べた新書。人生は意味はないし、目的もない。人生は、すべてのものを受け入れる器、存在の海、であってむしろ目的のないことが求められる。「人生の目的(意味)はなにか?」という問に対する答えがないことで、救われるものがある。とのこと。
接続詞が少ないので補ってほしい。率直に言って、文章がうまいとは言えない。心躍る表現はいくつかあったので、おっ、いいねと思った。スピノザって、面白そう。
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倫理学、難解。何がいいたいのだろうかと探るが分かりそうで分からない。深すぎるということなのか、ただ伝える気がないのか。
人生に目的などなくていいのだ、努力至上主義で生きる必要はないのだ、今そこにあること、ただそれだけでいいということなのだろうか。
目的なく、ただ読んでみた。完全に理解しようという努力もせず、なんとなく読み流してみた。んー、複雑だ。
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「人生において目的は分散し、迷い、見失う者が多くいなければならない。 人生の答えはありそうだが、ないという形式でしか存在し得ないのである。」
という一文がこの本を表している気がします。
長年哲学と共にある熟年男性が記したエッセイのような印象。入りは易しいですが徐々に置いていかれてしまい、科学雑誌Newtonを読んでいる時と同じような気持ちになりました。満員電車を神社の参道に喩えた文が面白かった。