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紙の本
主人公は母親
2014/09/24 23:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:LUNE - この投稿者のレビュー一覧を見る
一部ネタバレあり。
近年のフランス書院文庫において実の母子による相姦作品は極めて少なく、本作においてはタイトルの通り生保レディとして働く母親とその息子に、母親の後輩を絡めた作品である。
息子が後輩に誘惑され関係を持ったと知った母親は彼女が本気だと理解しつつも、対抗意識から自分も息子を誘惑する。その後起こった事件を契機として後輩を息子の恋人と見るようになり、仲直りの儀式を行うまでの流れからして主人公は母親で有ろう。
息子を主人公と見るといささかぎこちない流れでも、見方を変えれば案外スムーズに見せる作風なのがこの作者の得意技のようである。フランス書院文庫の少年主人公とヒロインという構図から少し変化を付けた作品に今後も期待したい。
紙の本
息子への愛情と欲望の狭間で揺れる未亡人ママ
2014/10/12 18:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
大変失礼ながら、正直なところ一発屋の可能性も予想していただけに軽い喜びの驚きで迎えた作者の2作目である。そして、前作『僕の家に来た美しすぎる家政婦』の家政婦に続き今回は生保レディと目の付け所の良さに思わずグッジョブ!と言いたい。ただし、この設定は終盤で下衆な顧客とのやり取りと、いわゆる枕営業の危機があって、その解決には対抗ヒロインたる25歳の後輩生保レディも関わる形でクローズアップされているのだが、肝心の行方については曖昧なままとしている。誘惑路線の支持者からはあまり明るみにしてほしくないところでもありながら、多少なりとも凌辱の色合いも求める諸兄からすれば寸足らずな印象にもなろう。この匙加減は難しい面もあるため、そもそもこの展開が必要だったのか?といった話にもなり兼ねないところだが、生保レディにつき纏う官能的な要素として外せなかったのかもしれず、むしろ本作はあくまでも38歳の実母との相姦として読む方が良いのかもしれない。
基本的にはその実母が全体の旗振り役となって話は進む。夫を亡くしてから5年を経てもなお想いを失わない実母ながら、容姿が似てきた息子を亡夫(亡父)にダブらせながら男としても見てしまう憂いと葛藤が描かれている。そんな中で息子と急速に距離を縮める後輩の存在を母として応援しながら女として嫉妬する二律背反が悩ましい。
後輩もまた実母を職場の先輩としても1人の女としても尊敬しているため、息子を奪い合う修羅場は是が非でも避けたいと考えており、その結果、最後は仲良く3人で愛し合う「黒本」定番の結末へと向かう流れである。その意味でストーリー展開は実にオーソドックスと言える。
また、各人の心情描写に頁を割き、官能面においても前戯にしっかり頁を費やしているために官能場面自体はあまり多くない印象であり、官能面ばかりが強調された昨今の「黒本」にしては淡泊と言わねばならないのだが、裏を返せばある程度の小説らしさを感じる作品と言うこともできよう。実の息子との相姦を選んだ母であり、そんな母子の関係を受け入れる彼女(後輩)ではあるが、その気品は保たれているようにも写る。
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