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冤罪をテーマにした力作
2019/01/08 06:56
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学生の石黒洋平は母の遺品を整理中、本当の父親・赤嶺信勝が「赤嶺事件」と呼ばれる殺人事件を犯した死刑囚であることを知ります。事件について調べるうち、冤罪の可能性を指摘する雑誌〈社会の風〉の記事を見つけ、担当記者の夏木涼子に会いに行き、彼女を通して「赤嶺事件」の関係者や他の冤罪事件に関わって行きます。洋平の実の父親は無罪なのか、もしそうなら真犯人は誰なのか。当時のつじつまの合わない「証拠」を調べる一方で、死刑が執行される前に再審請求するよう赤嶺信勝を説得するという時間との戦い。
無罪判決が検察官の失点と評価される日本の制度の問題点に切り込み、冤罪が発生するメカニズムを明らかにします。テーマはヘビーですが、ストーリー展開がテンポよく進み、読者をぐいぐい引っ張っていく筆致が素晴らしいです。また、葛藤の末に誰かの犠牲の上に成り立つような平穏な生活ではなく、真相を究明することを選択する主人公の真摯さが感動的です。
参考文献の数は『闇に香る嘘』に負けず劣らず大量です。
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冤罪の構造が詳しく描かれています。
冤罪事件だけではなく、他の事件との兼ね合いからも、物語が進んでいきます。
過去の事件を追っていくうちに、新たな展開があり、真実と思ったことが覆され・・・。
たどり着いた真実が、また主人公を苦しめます。
一気読みしました。
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血の繋がらない父と実の父という関係性や、過去の真相を解明するという要素から、やはりまた「闇に香る嘘」を連想させられ、嫌が応にも期待が高まります。
今回は本筋の事件(赤嶺事件)に関連する他の事件の調査・解明を行いながら、少しずつ赤嶺事件の真実に近づいていく展開。散漫な印象になるかと思われましたが、「闇に〜」以上に引き込まれました。
ただ、真犯人が予想の域を超えていなかったことと、その動機が普通すぎたのが残念な印象。もう1段階どんでん返しがあるだろうと思っていたらそのまま終わってしまったので、肩透かしを食らった感が強いです。
最終章の途中まではとても良かっただけに、ちょっともどかしい読後感。次回作での挽回を期待したいところです。
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作中で登場人物が『既存メディアとネットが同じ方向を向いたとき世論は一方的に誘導される』と言っていました。
最近そういう傾向にあるよなぁと思います。
メディアはネットを気にし過ぎるし、ネットは既存メディアの報道に過剰に反応するし、権力者達はそれらにとても敏感で・・・
世の中が良いバランスとは言えない気がします。
本書は冤罪がテーマです。
主人公の洋平は実母の死から実父が死刑囚である事を知ってしまう。実父の罪が冤罪である事を願い東西奔走する!
痴漢の冤罪や警察の汚職、司法の脆弱性などがストーリーに盛り込まれていて、読んでいて多少疲れるものの勉強になります!
因みに本書を読むきっかけは著者のデビュー作の『闇に香る嘘』が面白かったから!
興味のある方は其方もどうぞ!
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2018年95冊目。様々な事件を通して冤罪の恐ろしさが描かれる。強大な闇に立ち向かう主人公の心情を慮ると何ともやりきれない気持ちになる。
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「男」とは、誰のことだろうと、プロローグからたちまち興味を掻き立てられた。
読者の元へ、作品ごとに異なるテーマを投げかける著者が選んだ今回のテーマは、冤罪。
母の遺品から、実の父は死刑囚で、しかも冤罪なのではないかとの疑問を持った主人公が、雑誌記者とともに、真実を求めて調査を開始する。
実の親と育ての親との問題。代用監獄に代表される警察の過酷な取り調べ、有罪至上主義の検察、常時何百件もの処理件数を抱える裁判所、さらに無罪判決を出す裁判官(無罪病判事!)への検察からの圧力、等々。
現代司法が抱える様々な問題が、主人公の行動と共に、明らかにされる。
やがて真相を前にした主人公は・・・
「残酷な真実も現実なら逃げることはできない。受け入れ、前に進むしかない」
巻末の参考文献の件数に、この作品に対する著者の意気込みの程が窺える。レビューで厳しい批評もあるが、それも作家に対する期待感の表れか。
今回も、著者は小説を読むことの愉悦を味あわせてくれた。
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死刑囚が実の父親だったら。育ての親が真犯人だったら。冤罪がテーマになっていて2人の父親の間で葛藤する主人公の洋平。その心の揺れがいい。絶望、悲しみ、苦しみ。本当のことを知りたい。でも知りたくない。真実を知りそれを果たそうとする先にあるもの。冤罪の苦しみと自分の本心。これまでの生活。そういった全てを覚悟して選んだ答え。読み応えがあって面白かった。
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法曹界の在り方について問題提起をしつつ、逮捕→起訴→判決に至る過程で冤罪が生み出される構造を詳細に描いている。
警察、弁護士、検察官、裁判官、それぞれの立場でそれぞれの「正義」がある。
しかし、「真実」はひとつしかない。
それは権力の渦に飲み込まれ、埋もれてしまってはならないもの。
権力を持つ強者が勝つのではなく、たったひとつの真実が勝つ、そんな世の中であってほしいと願う。
冤罪によって苦しむ人が一人でも少なくなってほしい。
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冤罪もの。サブストーリーも、短編が組み込まれているくらいのガッチリした構成。それにしてもこの帯はヒドい。せっかくの後半の急展開をもののみごとにネタバレしてる。
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普通の大学生だった洋平が、母の死後に実の父親の存在を知るところから始まるこの物語。
しかもその父は殺人犯で死刑囚。調べていくうちに冤罪の可能性を見つけて、真実を知る道へと踏み出す。
現代の社会において、実際にも容易く起こりうるであろう冤罪についても細かに描かれていて、多少難解ながらも面白く読み進めた。
が、最後の清々しい様子には違和感があり、とても嫌な気持ちにさせられる。
まるで、自分たちの正義を振りかざして正当化している多数が、他人を吊るし上げて攻撃し、平然としているのを見ている時と同じような。
なんとも言えず、嫌な気持ちの残る終わり方だった。
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気づくと今年も半分になろうとしていますが、読んだ本を全然プログに書けてないのに気づきました。
7冊ってことはない・・・・・でも実際に今年はけっこう読めてない・・・・
この本は一番最近読んだ本ですが、完全に本屋さんのポップ買いでした。
ガッツリのミステリーで、実際にあった事件などを参考にしているのか
散りばめられた事件が、あ、あれじゃない?と思いながら読めます。
司法制度の警察制度の暗部を取り上げた内容で、読んでいるとかなり怖くなります。
久々にざ、ミステリーという本を読めてよかったです。
時間を忘れて読破しました。
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1994年、現職の検察官が殺人犯として逮捕され、死刑判決を受けた―2015年、大学生の石黒洋平は、母が遺した写真から実の父がその死刑囚・赤嶺信勝であることを知ってしまう。苦悩する洋平は冤罪の可能性に賭け、雑誌記者の夏木涼子と私的な調査を開始する。人はいかにして罪に墜とされてゆくのか、司法とは本当に公正なものなのか、そして事件の真相は!?『闇に香る嘘』の新鋭がおくる、迫真のリーガルミステリ!!
初めて読む作家。乱歩賞受賞作も含めて、ほかの作品も読んでみよう。
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ランキングサイトで紹介されていて買った小説。
冤罪解決のために追究していく話だった。
ストーリーは面白いと思うが、登場人物は協力的な人が多く、物事を進めていくのもすんなり行き過ぎていてなんか物足りないような感じだった。
主人公は犯罪者の子とかが嫌で冤罪事件を解決にいったが、結局は犯罪者に育てられた息子だったんじゃないかな?とふと思ったが違うのかな?
自ら冤罪になり死刑判決 改めて考えるとちょっと
すごい話だなと思った小説でした。
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実の父は死刑囚だった…
という絶望から始まり
冤罪かもしれないという微かな希望にすがって
真実を探るという話
実家から重大な犯罪に関わる証拠品が出てきた
「罪の声」という本を思い出した
でもまあ…
結構早い段階から何となく
真犯人の想像はできてしまったなー
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メインの事件の真相に迫るのに
ほかの事件をひとつひとつ調査していく
流れでした
いろいろ、そういうことか、そうだったのかと
思わせるところもあり
最後まで楽しめました