紙の本
“規格外”で“豪快な”お金の使い方を、戦前の金持ちに学ぶ
2021/03/27 22:09
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投稿者:ひでくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
お金には、稼ぐ時より使う時にこそ、その人らしい個性が強く出る傾向がある。それを教えてくれる本である。人は教育や世間の影響を受けながらお金を使うが、この本は、自らの内なる声に従った使い方の達人を紹介している。
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梅屋庄吉 長崎 孫文
日比谷公園 松本楼
薩摩治郎八 バロン薩摩
1929 パリの大学都市に留学生会館 日本館をを建設(後にフランスから勲章)
1920年代のパリは日本人ラッシュ 第一次世界大戦後、英国、フランスの国力の衰えでフランの暴落 日
本 世界大戦の好景気で成金
1913 一円 2.5フラン 1926 16フラン
「お金は貯めるものでなく、使うものだ」
大倉喜八郎
彰義隊に鉄砲をうらなかった。彰義隊は代金を支払わない。支払わないのは客でない
大倉組が北海道で行った最大の事業は旭川に第7師団を作ったこと
土倉庄三郎
廃仏毀釈で吉野山(神仏混合の修験道の拠点)が荒れる そこを買い取って桜を守る
日本画専門 山種美術館 東京都渋谷区広尾 山崎種二
成功の種は必ず苦しいときに芽生え、失敗するのは有頂天になっているときに原因が生じている
島根県安来市 足立美術館 足立全康 横山大観
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お金には、稼ぐ時より使う時にこそ、その人らしい個性が強く出る傾向がある。それを教えてくれる本である。人は教育や世間の影響を受けながらお金を使うが、この本は、自らの内なる声に従った使い方の達人を紹介している。
本書は、現代の富裕層だけでなく、実際の財産の大小に限らず、「お金の使い方に生き方が現れる」という考えに共感できる人であれば、誰にとってもおすすめだ。まわりに惑わされない生き方に興味ある人に向けた本である。
戦前の6名、梅屋庄吉、薩摩治郎八、大倉喜八郎、土倉庄三郎、山崎種二、御木本幸吉と戦後派の足立全康を足した7名のミニ評伝と出口氏の解説で各章にまとめてある。新書のページ数なので、簡易なダイジェスト版である。
それぞれに人物にキャッチコピーがついてあり、興味ある章から自由に読み進めることができる。例えば1章の梅屋の場合は、孫文のパトロンなので“革命プロデューサー”で、2章の薩摩の場合は“パリの蕩尽王”といった具合に。
梅屋の解説では、著者が従来から伝えているセッセージ「人、本、旅」につながる教育システムについて、梅屋の人生から学ぶべき点を言及している。[協調性が大事だという教育から、人はみんな違うという教育へ P41]
最終章の足立の解説では、足立の自伝の中での名言に対し、[こうした言葉を読んでいると、彼が自らの体験を常に言葉へと直し、その後の行動指針として教訓化してきたことが窺えます。 P203]と考察している。
本書は、ネット保険の創業会長を経て、大学学長に就任するなど、本業を別に持ちつつ、多数の著作をもつ出口治明氏が著者である。ただし本書は評伝は他の人に任せ、解説のみを出口氏が書いている。
正直、一人一人について知りたければ、巻末の参考文献を読んだ方がよい。本書では内容が薄すぎる。とはいえ、お金の稼ぎ方より使い方に焦点を当てた考察の視点は新鮮である。その目線は今後の社会で重要性は増すを思われる。
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2018064
戦前の大金持ちと現代の大金持ち。その差は何と言った時に才能よりも使命感が何より大きいと思いました。ひとの成功を妬んだり、富を独占しようとする虚栄心を越えた生き方。貧富の差が大きな時代だから、自分がやらなければという思いが強かったのかもしれません。
美術館や庭園で名を馳せた山崎種二や足立全康。芸術を通してひとを育てる。美術館を訪れることで創設に関わったひとたちの哲学に触れることも出来るような気もします。
もちろん吉野山の桜を守り抜いた土倉庄三郎の戦争ではなく、林業で国を守り立てようとうとしたり、真珠のミキモトの創始者の御木本幸吉の諦めない生き方も凄い。
みんな地方から日本を変えていこうとしてきた。地方からこのようなひとたちが出てきて地方から元気になることを願いたいです。
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この本が取り上げている7人の実業家に共通することは、「事業だけでなく公共への投資」という視点だったと思う。
会社の利益は、社会があってこそ実現できることを自覚し、社会への還元を忘れてはいなかったのだと感じた。
また、印象に残っているフレーズは、「金は使ってこそ価値がある」というもの。
これを私は、リスクをとって投資を行うものだと理解した。
事業家の生き方から経営学だけでなく、人として社会にどう貢献するかなどを学べる本だと思う。
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本と旅の人、出口さんならではの本。軽く読める一方で、「今の日本で生きてる私の価値観」が普遍ではないという当たり前のことに気付かされる。
私は、別の時代、別の地域に生きてれば、確実に今とは違う価値観を正と思って生きてるはず。「自分が正しい」と思うことの視野の狭さを感じさせられた。
国の違いは旅で、時代の違いは本で。狭くならないよう、閉じないに。
■革命のプロデューサー 梅屋庄吉
■パリの蕩尽(とうじん)王 薩摩治郎八
■初物狂い 大倉喜八郎
創業と守成 短距離から長距離への切替え
■吉野の山林王 土倉庄三郎
吉野の桜を守った人。
年々戦勝論 日清戦争は多くの国費と若者の命を奪ったのに、得るものがなかった(三国干渉による領土返還)→であれば、戦争ではなく山に出資しなさい。林業は銃も命も要らない。ヒューマニズムではなく、合理主義の人。自分の本分(林業)を疎かにしなかった。
■相場の神様 山崎種二
相場師からみた歴史 2.26
■世界の真珠王 御木本幸吉
突出したマーケター
■庭園日本一 足立全康
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足立美術館のショップで購入して、時間がかかって読了。
明治から戦前の格差は、今の日本など比較にならない。取り上げられている人物は必ずしもエリートではないが、ノブレスオブリージュがある。
佐藤優さんが灘高の生徒たちに伝えていたことを思い出した。
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戦前や、戦後の豪快、アグレッシブな生き方を貫いた日本の経営者たちを紹介した本。
ここに出てくる大金持ちは、大半は、後世に、それほど名を知られていないものの、素朴で我慢強く真面目で大人しめな日本の経営者像とは異なるベンチャー精神に溢れており、
読むだけでも活力がもらえる気がした。
梅屋庄吉
映画で財をなし孫文の革命を支えた
協調性を重視する「工場モデル」の教育では、
彼のような国境のない生き方をする人物は育たない
薩摩治郎八
木綿問屋の三代目
バロン薩摩と呼ばれパリで散財し財産を食い潰す
お金は貯めるものではなく使うものだ
大倉喜八郎
武器商人から日本初の様々な事業を手掛ける初もの喰い
いち早くリスクをとる一匹狼的ワンマン経営者
悪名を気にしないが金を子孫に残さない、仕事があればいい
土倉庄三郎
吉野の山林王
戦争より林業が儲かる
財産は、教育、国、家業の三つに分けて使う
インバウンドを見越して吉野山を買い戻す
二代目が財産を食い潰すとしても、それも運で人間の勝手にはならない
山崎種二
米問屋から相場師へ
自分の指針を曲げず慎重さに裏打ちされた大胆な行動
ケチではなくムダを嫌う
御木本幸吉
真珠の養殖を成功させる
世界中の女性の首を真珠でしめるとアピール
広告は自腹ではなく、記事にしてもらう
足立全康
炭の小売から始め、儲かるためには何でもする
自分だけ儲けるのではなく、相手を儲けさせる気持ちでトラブルは防げる
金は生かして使え
この本でに出てくる人物のほとんどは、財を成した後
文化や芸術、他人への支援や社会貢献を行っていることが印象に残った。
時代の活力があった当時と違い、今の世の中は、
人も含め、会社の成長を抑え込んでいるようにも思えてくる。
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何となく聞いたことはある名前ですけど詳しく知らない人ばかりでした。皆さん、スケールご大きくてエネルギッシュ。他方、大金持ちになるけど、学校とか美術館とか「公」に惜しげもなく投資されてますよね。ノブレス・オブリージュ。そういう気風、今、日本に求められている気がします。
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島根にある世界的に有名な足立美術館。先日思い立って行きました。その美術館の中にあるショップで見かけて購入しました。出口先生の本は今まで数冊読んできましたがこの本は知りませんでした。はしがきに記載ありますが、出口先生が大学に学長になられて後に島根を訪問されて、神社訪問のあとふとこの足立美術館まで足を運んで、この美術館の創立者足立全康氏の事を知り、より多くの人にその足跡を知って欲しいという動機で、この本の最終章をお書きになったそうです。生き方そのものがMBAの教科書になるというご指摘もあり、併せて「庭園日本一足立美術館をつくった男」という自伝も読みました。
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島根県の足立美術館を訪れた際に、なぜ20年間連続で日本一をとる庭園の創設者の名前があまり世に知られていないのだろうと疑問に感じた。
そこで、創設者足立全康がどう財産を築いたのかを知るためにこの本を手に取った。
「自分以外は全員師匠である」と言う足立全康の姿勢を見習おうと思った。
お金持ちたちの軸を持った姿勢に惹かれた。
それぞれの偉人たちの成功の背景には一概にいい面だけではなく、悪い面(社会的に?周りに反対されるみたいな)もあった。
反対されても突き通す強さ、柔軟に意見を取り入れる優柔さ、各偉人たちにはそれぞれの特徴があった。
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島根県安来市にある「庭園日本一」の足立美術館を訪れ、その庭園の美しさと、美術館の広さ、そして魯山人や横山大観といった収集品の見事さに感動し、同時に大いに疑問を抱いた。いったい、この美術館を作り上げた足立何某とは、何者なのか。
ミュージアムショップに平積みされていたこの新書を購入。彼以外にも項があるが、真っ先に足立氏の項をめくると、筆者も同様の疑問を持っていたそう。興味深く拝読。
年末の休みの都合を付けて島根へと旅に来ている私は、梅屋庄吉の項で思わず本の端を折った。
40ページ 筆者の解説より 以下引用
……僕は「働き方改革」の基本は、「工場モデル」の「飯、風呂、寝る」の生活から「人、本、旅」の生活への切り替えにあると思っています。 引用終わり