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大学助教授から東京地検特捜部検事へ―香車勇人(かしゃはやと)、33歳。
大学の不正入試に関する告発状の真偽を調べる中、浮かび上がる理事長と仕手集団とのつながり。
株、金をめぐる、裏の世界での合戦へと香車が挑む。
*****
きっかけはドラマ版の再放送をたまたま見ていて、主役を演じた加藤剛さんの渋さにやられてしまって(笑)
ドラマはこの『東京地検特捜部』シリーズの二作目にあたるお話だったようですが、シリーズはなるべくイチから読みたくて、こちらから。
検察庁法第十八条により、司法試験を通らずとも3年大学で法律学の助教授を勤めていれば検察官になれる―助教授は呼び名が現在准教授だし、法律も変わっているかもしれませんが、そうなんだ…とぱちくり。
そこだけ言うと何だかお得な感じですが、香車が助教授を勤めたのはきっちり3年。
5年勤めていれば、彼は他の司法試験をパスした検事たちと同じく、検事を辞めた後に弁護士への転向が可能だったのに、それができない。
そういうわけで、香車は他の検事たちとは違う存在を示す。
検事的常識がない分、型破りなこともしつつ事件の真相に迫ってゆく。
ドラマとは設定が色々と違うものの、なかなか楽しく。
相棒のベテラン事務官、小東が最初は香車に対して『なんだ、こいつ、フンッ(イメージ)』だったのが、気付くとすごく熱心に事件を追いかけて、すっかりワトソン役。
もともとフットワークが軽いひとでもあったんでしょう。
検察官は“あくまでも経済検察”が本分であるので、香車がメインで追うものも経済事件ではあるものの、犯罪色あり、刑事事件の様相も呈してきたりと、色んなものがからんできて…。
金融関係に対する知識がさっぱりなかったので、深い意味では理解できていないなーとは思いますが、裏世界と戦う香車の姿にハラハラを楽しむことができました。