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西欧に学び日本人の心に寄添う
2018/07/30 09:35
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投稿者:ヒトコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
河合隼雄さんの本は子どもが小さかった頃に少しだけ読んだ事がある。
子育ての悩みや若者の心理、自分の引っかかりのヒントを求めてだった。
しかし心理療法家としての河合さんをほとんど知らないので、
興味を持って放送を見始めたが、ユング心理学が中々に難解…。
ということで本書を購入。
河合さんは西洋人を対象としたユング心理学を、
日本人(東洋人)特有の心理に合わせて発展させていった。
そして日本人の心を理解するために神話や昔話も取り入れた。
当初は非科学的だと拒絶反応を示した夢判断の重要性も理解し、
自分の経験を踏まえて箱庭療法を用いるなど、とても柔軟な方だった事も知った。
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◆『ユング心理学入門』(第1・2回) https://amzn.to/2JhwLmS
◆『昔話と日本人の心』(第3回) https://amzn.to/2zqr32D
◆『神話と日本人の心』(第3回) https://amzn.to/2JdPzTY
◆『ユング心理学と仏教』(第4回) https://amzn.to/2uoXdp8
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番組が面白かったので、読んだ本。ユング心理学や夢分析の話が面白かった。河合隼雄のことを知ることができて良かった。
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ユング心理学を日本に紹介したことで有名な河合隼雄の本は、学生時代に読みましたが、無意識についての心理学的考察の内容についてはすっかり忘れていました。
この本を読んで、いくつか印象に残ったことがあります。自分を省みるにも役立つ以下の視点でした。
「人間には異なる二つの態度がある。関心や興味が外界に向けられ、それらとの関係や依存により特徴づけられている「外向的」態度と、関心が内界の主観的要因に重きをおいている「内向的」態度。」
「コンプレックスとは「無意識に存在して、何らかの感情によって結ばれている心的内容の集まり」。これが、自我を脅かすようになると所謂二重人格の現象が生じる。また人は自身のコンプレックスを他人に「投影」することにより自我を守ろうとする。」
「ユングの考えでは、西洋の心というのは、意識を指すのに対して、東洋では無意識を指している。」
「西洋では運命と戦うことに人生の意義を見出し、東洋では運命を味わうことに生き甲斐を感じているといえるだろう」
また終わりで紹介された西洋の詩「1000の風」は、日本でも何年か前に歌として人気を博しましたが、河合隼雄が大事にしていた詩ということを知りませんでした。「風」のように拘泥することなき自由な人生を歩むことが出来たら、と一抹の思いがよぎりました。
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「河合隼雄スペシャル」河合俊雄著、NHK出版、2018.07.01
125p ¥566 C9411 (2019.03.01読了)(2018.06.26購入)
臨床心理学者・河合隼雄の4つの著作が紹介されています。「ユング心理学入門」1967年、「昔話と日本人の心」1982年、「神話と日本人の心」2003年、「ユング心理学と仏教」1995年、の4つです。
「ユング心理学入門」は、第1回と第2回の2回分を使って紹介していますので、詳しく書かれています。河合隼雄の最初の著書でもあります。
ユングの辿りついた心理学は、『タイプ論』です。人間のタイプを「外交的」と「内向的」に分けています。
外向型か内向型かという基本的な「態度」とは別に、人間には四つの「心理的機能」が備わっているとユングは考えていました。それが「思考」「感情」「感覚」「直観」です。(21頁)
このうち思考と感情、感覚と直感はそれぞれ対立関係にあり、ユングは思考と感情を「合理機能」、感覚と直感は、理性の枠外にあるという意味で「非合理機能」と呼んでいます。(22頁)
ユング派の心理療法では、面接で語られるクライエントの話を、基本的にすべてイメージとして受け取ります。「こんなことがあった」「あの人はこういうひとだ」といった話も、あくまでクライエントの〝心の中〟で起こっていることとして捉えます。(50頁)
イメージを軸として展開されるユング派の心理療法の中でも、治療手段として特に重視されているのが「夢分析」です。意識と無意識が交錯する夢の世界は、イメージの宝庫だと著者は指摘しています。(51頁)
夢に立ち現れるイメージとして、ユングが特に重要視したものの一つに「異性像」があります。男性であれば女性像(アニマ)、女性であれば男性像(アニムス)が心理的に大きな意味をもち、これは、私たちが社会に対して見せる顔「ペルソナ」と一対を成していると著者は説明しています。(58頁)
※ペルソナ:個人が外界(社会)に対してつけている仮面
「私」とは何か。私の「個性」や「個性化」とは何か。それは西洋人の個性と、どう違うのか。こうした問いに、河合隼雄が一つの答えを示したのが『ユング心理学と仏教』です。(98頁)
【目次】
【はじめに】こころの物語を読み解く
第1回 こころの問題に寄りそう(「ユング心理学入門」)
第2回 人間の根源とイメージ(「ユング心理学入門」)
第3回 昔話と神話の深層(「昔話と日本人の心」、「神話と日本人の心」)
第4回 「私」とは何か(「ユング心理学と仏教」)
●フロイトとアドラー(17頁)
フロイトとアドラーの理論の一番の違いは、人の心や行動は無意識の「性衝動」によって規定されるとしたフロイトに対し、アドラーは「権力への意志」こそが人間を動かす基本的な動因だとしたところにあります。
フロイトとアドラーの相違として、もう一つ指摘したいことは、フロイトが症状の説明のために患者の過去の生活史をたどり、過去の近親相姦的願望の結果として、症状を因果的に説明しようとするのに対し、アドラーは神経症症状を、目的をもった設定として、むしろ未来との連関性のなかに位置づけようとしたことである。
●コンプレックス(31頁)
コンプレックスは「無意識内に存在して、何らかの感情によって結ばれている心的内容の集まり」であり、それは「統合性を持つ自我の働きを乱すもの」です。
●自我と統合性(31頁)
人間が生まれてから成長するに応じて、その意識体系も複雑になるが、それが一貫した統合性を持っていることは大切なことである。この統合性をもつゆえに、われわれは一個の人格として認められ、また、いわゆる個性というものも感じられるのである。ユングは、この意識体系の中心的機能として自我を考えた。
●普遍的無意識(35頁)
ユングは、コンプレックスの背後に、より深い層があると考えるようになります。そこから見出されたのが「普遍的(集合的)無意識」という概念です。
フロイト著『夢判断』
エンマ・ユング著『内なる異性』
河合隼雄著『とりかえばや、男と女』
河合隼雄著『明恵 夢を生きる』
『源氏物語』、『宇津保物語』、『落窪物語』、明恵上人『夢記』
ユング著『転移の心理学』
アレクサンドル・デュマ著『モンテ・クリスト伯』
河合隼雄・谷川俊太郎著『魂にメスはいらない』
☆関連図書(既読)
「子どもの宇宙」河合隼雄著、岩波新書、1987.09.21
「昔話の深層」河合隼雄著、講談社+α文庫、1994.02.18
「中年クライシス」河合隼雄著、朝日文芸文庫、1996.07.01
「日本文化の新しい顔」河合隼雄・日高敏隆著、岩波ブックレット、1998.01.20
「こころの処方箋」河合隼雄著、新潮文庫、1998.06.01
「中空構造日本の深層」河合隼雄著、中公文庫、1999.01.18
「未来への記憶(上)」河合隼雄著、岩波新書、2001.01.19
「未来への記憶(下)」河合隼雄著、岩波新書、2001.01.19
「神話と日本人の心」河合隼雄著、岩波書店、2003.07.18
「泣き虫ハァちゃん」河合隼雄著・岡田知子絵、新潮社、2007.11.30
「生きるとは、自分の物語をつくること」河合隼雄・小川洋子著、新潮社、2008.08.30
(2019年3月2日・記)
内容紹介(amazon)
こころには構造がある
「こころの問題」について考え続けた臨床心理学者・河合隼雄。『ユング心理学入門』『昔話と日本人の心』『神話と日本人の心』『ユング心理学と仏教』の4作品から、日本人のこころのあり方や文化の独自性を見つめ直し、他者といかに関わるかを考えていく。
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『100分de名著 河合隼雄スペシャル』(著:河合隼雄)
付箋部分を抜粋します
・クライエントが紡ぐ物語に耳を傾け、隠されたプロットを共に辿っていくのがセラピストの仕事。大切なのは、そこに勝手な
解釈をはさまないことです(p8)
・補助機能も劣等機能も、十分に活性化されていないだけで、誰しも四つの機能をもっているとユングは主張します。
「あなたはこういうタイプの人だ」とレッテルを貼るために区別・分類したのではなく、無意識の中に沈んでいると
思われる機能を開発し、発展させていくことが大事だといっているのです(p27)
・自分の中に「知らない自分」が眠っている心の機能があることを理解しておくことは大切だと思います(p28)
・心理療法によってまずなされることは、実のところ悩みとの対決であり、悩みを深めることであると
いわねばならない(p33)
・コンプレックスとは自分の中の他人であり、また否定的にみなしている他人の中に見出される自分自身であることの
おもしろさだと思います(p34)
・自分の影のイメージを、実在しているひとのなかに探すのは、それほどむずかしいことではない。自分の周囲にあって
何となくきらいなひとや、平素はうまくゆくのに、ある点でだけむやみと腹が立つようなとき、それらは自分が無意識内に
もっている欠点ではないかと考えてみると、思い当たることが多いに違いない(p43)
・夢の提出した方向に向かって努力をを続けるための意識の関与の大切なことを忘れてはならない。夢より得た知見やプランを
もとにして、意識的努力を積み、そのような意識の態度に対して、また無意識の動きも補償的になる。このような意識と無意識の
絶え間のない相互作用によってこそ、ユングのいう自己実現が可能となるのである(p55)
・ユングは、意識と無意識の相互作用と対決によって両者の統合と心の全体性を獲得していく過程を「個性化(自己実現)の過程」と
呼びました(p70)
・可能性があるからと気楽に構えて努力を怠ったり、逆に「努力あるのみ」とばかりに無用な苦行に身を投じたりするのは、どちらも
賢明とはいえないということです(p111)
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知的
かかった時間1時間くらい
100分で名著シリーズは、わかった感じになれるので好きだ。しかし、好きな作品については特に、やっぱ自分で読むべきだなと再確認した。
あと、一冊じゃなくて「スペシャル」なので、もう少しいろいろ知りたかった感もある。
まさによくもわるくも入り口の本である。
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河合俊雄さんとは初見で肉声をはじめて聞きました。
お父さんとの印象のギャップが・・・親近感の差というのか。
俊雄さんは、おとうさんと比べると、日本人か?と思うぐらいしゃべりに癖があり、話の中に感情移入しにくい。
どうしても、私は息子さんに河合隼雄を求めてしまう。
でも、息子さんにも、なぜか不思議な?魅力がある、たぶん、父の意思を継ぐ使命感?その熱意が伝わるからだとおもう。
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昔より心理学に対し漫然と興味がある。入門的な位置付けになることを期待して購入。間違いなく初心者向けの書籍であるが、そもそもの心理学に距離を感じてしまった。