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小学館版の漫画、ポプラ社版の漫画を読んだあとにこちらの文庫を手にした。
やはり漫画とは情報量が桁違いだった。
千畝の生い立ちから学生時代、外務省時代・・・と生涯を通じての描写はもちろん、ユダヤ人とは?ユダヤ教とは?ホロコーストとは?外務省とは?満州とは?といった周辺知識も豊富だった。また、地図を用いて当時のヨーロッパの国境や戦況、満州周辺の状況などが説明されておりこれがわかりやすかった。
こちら、子ども用の文庫本なので字が大きめであったり、表現も平易で挿絵が入っていたりもするが、それなりに読むのが大変だった。
文章が長いというのもあるし、当時の世界情勢の説明箇所などはストーリーがあるわけではないのでのめり込んで読むということができない。
本当は息子に読んで欲しくて借りてきたけど、彼にはちょっとハードル高めなのでまた数年後に読んでもらえたらなと思う。
実際に私が知らなかった知識も沢山あり、それらを得られてとても満足している。少し理解が深まった気がする。
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杉原千畝の本は小学生の時に漫画の伝記で読んだきりだったが、印象的な名前もあってか、覚えていた。
改めて学び直してみると、自分の頭で物事をとてもよく考えて結論を出す人なのだな、ということが分かり、大いに尊敬できる人だと思った。
そして、ただの良心によって動いた人というのではなく、どうしたら皆が助かる可能性が高いのかを冷静に検討し動いていたというのが格好いい(日本政府への連絡の取り方や、ビザの発行の仕方など)。人の良心にすがるだけでは奇跡を期待することしかできないが、世の中は不条理で様々な人間がいる、というのをふまえた上で行動することが多くのユダヤ人が生き残る上で本当に重要だったのだと思う。
冷静に考えていたのはユダヤ人たちも一緒で、ただ杉原にビザを書いてくれ!と頼むだけでなく、その後の行動の準備がきちんとできていたこと、それを杉原に説明し、仕事をする上で動きやすくしていたことが素晴らしい。ハンコをつくったり、自分たちで手伝える範囲の効率的な体制づくりもできていた。皆が考えて行動したことで繋いだ命だったのだなぁと分かると、当時の状況の壮絶さがより現実味をおびて感じられる。
今、イスラエルとハマスの紛争に注目が集まっており、イスラエルの対応に非難が集まってもいる。私自身、「自分たちが迫害されてきた歴史をもつのに、今は迫害する側にまわっているのではないか?自分たちさえよければいいのか」と感じることがあった。
だが、当時はただ仕事でビザを発行していたと思われていた(実際は政府の意に反して行なっていた)杉原千畝を戦後何年間も探し続けていたこと(それも世界各地で、何人も)を考えると、ユダヤ人は決して恩を忘れない人たちなのだ、ということが分かる。
民族の一側面だけで安易に判断して、簡単に批判意識を持たないこと。それが私たちが本当に大切にすべき教訓なのだと思う。
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NDC 289 (歴史ー伝記ー個人伝記)
「日本人が世界に誇れる日本人として注目を集めている杉原千畝。彼の業績を知っている人は多いと思いますが、偉業を成し遂げるまでの苦悩やそのために払った犠牲はあまり知られていないのではないでしょうか。どんな困難にあってもあきらめずに自分の信じた道を進んだ千畝の生き方は、いまを生きる、そして未来を生きる読者をはげまし、勇気を与えることができるのではないかと思います。」
・火の鳥文庫は黄色い本が旧版、赤いストライプの本が新版。違いはあまりないが、新版の方が漢字は多い(どちらも総ルビ)。また、新版の方が絵が今風。
・挿絵のある、読み物の伝記。人物の事が読み物として描かれているため、教科書ではわからないその人物の人柄がわかる。
・解説、ことばの注釈あり
・小学校中学年~
・人物をめぐる歴史の時代背景、とりまく人々について