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タイトルはビジネス系のようだが、小説家の「知のノウハウ」なので半分以上が読書に関する内容であった。
本書が陳腐化しているというよりも、この手の本を何冊も読んできたせいか、新鮮味がなくなってきた。本質的なところは、共通しているところが多いということだと思う。
・人間にはもともと知的好奇心がある。「知りたい」しいという気持ちが、人を動かしている。身体が食べることで新陳代謝を行うのと同じょうに、脳の中は、知的な食べ物の摂取と不要なものの排出によって常に新しくなっている。その入れ替えを意識的に行いたい。生きるためには、軽い順に一「情報」、ニ「知識」、三「思想」が必要だと考えてみよう。
・「情報」はその時々に起こっていること、起ころうとしているこし。いわば日付のあるデータだ。たったいまの世の動きを知るにはこれが欠かせない。
・「知識」はある程度まで普遍化された情報、しばらくの間は通用する情報であって、普通にものを考えるときにはこれが土台になる。その一方で知識もまた変わりゆくから更新が必要で、古いものは信頼性が低くなる。
・「思想」しは、「情報」や「知識」を素材にして構築きれる大きな方針である。個人に属するものもあり、多くの人々に共有きれるものもある。それ自体が人格を持っていて、成長し、時には統合され、また分裂し、人類ぜんたいの運命を導く。「哲学」や「宗教」まで含む大きな器。
・これらをいかにして獲得し、日々更新していくか。かつて学んで得た知識を、いかにアップ・トウ・デートしていくか。現代を知力で生きていくスキルを整理してみることにする。
・まず日頃からできることとして、日刊紙を読むことを提案しよう。ハは話すときには感情に流されがちだが、書くとなるし論理的になる。紙面に収まる量には制限があるから、どうしてもエッセンスだけを抽出しなければならない。新聞ならば見出しを見た上で、精読に価するかどうか判断して読める。自分の側に判断の余地がある。世の中に向かうしきに大事なのは、「何が答えか」ではなく、「何が問題か」というほうだ。
・(直接的な記載はないが著者のお薦めは毎日新聞と思われる)
・先に、生きていくには「情報」と苅識」と思想」が必要であると述べた。それらの源泉の一つが本だ。
・本を探す手段として、まず新聞広告が役に立つ。各出版社が出しているrx誌がももこれは年間購読しても送料ともで千円程度という価格で毎月届き、けっこう読みでがあるから、お買い得だと思う。集英社だし「青春し読書二角uは「本の旅人「新潮社は「波岐文春は「本の話「講談社は「本一などなど。たいていは自社のその月の刊行物について、誰かが書評やエッセイを書くという記事が多く、後ろのほうはだいたい連載が載っている。岩波書店の「図書一は、自社の本についての文章はほとんど載せていない。
・毎日新聞の書評欄は他紙と異なり、書評委員に任期がない。さらに書評も2千字と分量も多く、書評委員自らが書評したい本を探して取り上げる。この方法を四半世紀続けている。書評は日曜版に載っているので日曜版だけでも購入する価値はある。
・広く書評を読んでいる���、そのうちご贔屓が出てくるだろう。これは本に限らず、芝居を観るのでも音楽を聴くのでも同じで、いわゆる評し呼ばれるものを、最初は広く浅く眺めるのでいい。そうしているうちに、この人はセンスがいいな、という誰かが見えてくる。自分に合う書評家が自然と見つかるものである。
・最もアイデアが湧くのは、実は書いているときだ。書くというのはすなわち考えることで、時間をかけて少しずつ構築してくような大きなグランドデザインであっても、書さながら考えることがほとんどだ。
・例えばエンターテインメント小説のように、冒頭から読み始めて、読み続けて、読み終わる類いのものなら、電子書籍でもいい。つまり一直線に一回読んでおしまいのものぼ、電子書籍でも読める。一方、行きつ戻りっしながら、中身全体を自分の頭に移す読書をするときはまるで役に立たない。
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冒頭の「反・反知性主義宣言」ともいうべき文章が出色。
仕事術としては、あまり具体的なワザはないかも。
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作家・詩人・翻訳家として知られる著者が、初めて自らの仕事に関わって書いた本。知人に教えてもらって手に取りました。
池澤さんの時代に対する見方が、「はじめに」(あるいは反知性の時代の知性)に書かれてあります。生きるために大切なことが3つ(①情報②知識③思想)あり、それをいかに獲得し更新するに自らの工夫していること(新聞の活用・本の活用・アイデアの整理と書く技術等)を整理して読者に投げかけていく構成です。
自分なりに「ものの見方・考え方」を持つこと、そのための知恵や工夫・技術を身につけること・継続させることなど、いろいろと考えるきっかけを与えてくれたように思います。新聞に出る書評記事など、これまでほとんど読まずだったのですが、注目してみようと思いました。
なかなか面白い本です。みなさんもぜひどうぞ。
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ネットでは1つ1つの記事のユニットが小さすぎる。話が散漫になってしまって全体像が作れない。個々の情報についてのスピードが速く、また入手しやすいという利点はある。
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池澤夏樹のノウハウ本。生きるためには、情報、知識、思想が必要。情報とはその時に起きていること、起きようとしていることやデータ。知識は、ある程度普遍化した情報。思想とは情報や知識を素材にして構築される大きな方針のことを言う。それを踏まえ著者が実戦している仕事術、ノウハウを紹介する。
作家の仕事術本ということで、サラリーマンの仕事とは多少違和感を感じる部分もあるが、参考にできる事も多かった。
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ノウハウ本としては見習おうと思ったところはないのだけど、仕事に関するエッセイと考えれば、読み物としては面白い。
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知の仕事術というと、なんだかすごくお堅い本か、ビジネス本のようなスーパー実利的な感じかを想像するが、そんなことはなく、プライベートなことをあまり明かさなかった池澤夏樹さんが、歳もとってきたしある程度柔軟に、個人的な範疇のことも明かしましょう(考え方の種明かしをしましょう)というような趣旨のさらさらっと読める本。
基本的には池澤夏樹ファンが、涎をだして読むようなファン向けの本である気がします。
書いてあることはなかなか要素的には面白いと思います。
日本の書評は短すぎるし対象を書評者が選べないのも不自由だということで、書評者が対象を選択し、字数制限を多くした話など、へぇー、そもそもはそんな制限があるんだなーと感心します。
意外と電子的なことにも積極的にコミットしていたり、Kindleもかなり早めに手にいれているよう。バイタリティ溢れて色々なことに好奇心を抱くアクティブな筆者の像が目に浮かびます。(人嫌いだそうですが)
私は、池澤夏樹のことほとんど知らないので、(名前は有名なので知っていますもちろん。著作を知らない。福永武彦のお子さんだということをこの本で初めて知り、結構驚いた)この本を読むことで人となりをなんとなくわかって有意義だったけど、アイドルなどがインタビューされているような、読者が筆者好きなことを前提のような雰囲気が時々漂っていて、少し胸焼けするような気分になる部分もありました。
全体的には知的層が厚く、気づきになるような要素が徒然に書かれていて、面白い本だとは思います。
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著者が日ごろ行っている、情報の入手方法、ストック、フローの考え方、書物の扱いなどなど作家が行っているノウハウというか、神髄を語ってくれている。
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非常に心地よく読めた一冊だった。特に文章の美しさが際立っていて、小説でもないのにすらすらと読めた。筆者の仕事の進め方が細かく書いてあったが、この年代の作家さんでも結構最新のガジェットを使い倒していることに驚いた。
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興味を引かれたところを2点、引用。
・「本選びは精錬に似ている」
世の中に出回る本ぜんたいをざっと眺めて、その中から価値あるものを選び出す行為。それは金属の精錬に似ているという説。全ての本に目を通すことが不可能な以上、何を読むか(=何を読まずに切り捨てるか)を選ぶことは非常に重要な行為。それは主観で構わない。というか、主観にしか意味はない。そうしていかに自分なりに、純度の高い金属を取り出すか。そこを意識すると読書の意味が変わり、密度の濃い読書ができるだろう。
・「メディアこそがメッセージである」
マクルーハンの孫引用。発信するのにどのメディアを選ぶか?そこにこそメッセージの核心が含まれている、意識するしないに関わらず。メディアにはそれぞれ特性があり、そこを見誤ると間違ったメッセージを発することになるだろう。今現在、メディアの中心的役割を担うSNS。著者はSNSはやらないと豪語するが、「メディアこそがメッセージである」ということを踏まえれば、納得がいく。SNSは物事を深く考えるのに向かない。直接的、瞬間的、感覚的に訴えることに向くメディアだと思う。SNSを好むかどうかは個人の自由だが、SNSにどっぷりでは思考力がなくなってしまうことを、この本を読んで体感的に理解した。
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文字通り、知を育成するにはどうすれば良いかを説いた一冊。
有名な作家だけあって、説得力があった。
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作家・詩人の池澤夏樹さんが自身の「知のノウハウ」を公開した本。
現代社会を知的に生きるためには、情報(日付のあるデータ)、知識(普遍化された情報)、思想(情報や知識を素材にして構築される大きな指針)の3つを常に更新していくことが大事です。
情報・知識・思想をいかに更新していくのか、池澤夏樹さんなりの方法が本書に書かれています。
社会をまとめていくためには議論が必要になります。議論をするには「知」がなければなりません。そして、「知」は常にアップデートしなければ議論についていくことができないのです。
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小説だけでなく時評や書評、文学全集まで個人編集する碩学の「知のノウハウ」(カバー裏から)。
「新聞の活用」に始まり「デジタル時代のツールとガジェット」までの12章からなる。
自分よりは一回り年上の世代になる著者だが、PCやネット利用に積極的で、他方、紙の新聞の切り抜きなども行う点、新旧両またぎで自分に近く感じる。
自身の著作に限らず、書名など具体的に紹介されているのでこれも参照に便利。加藤周一さんの名も散見。
ネット書店の利用、古書店の活用、本の手放しかた、録音よりメモ重視など聞けばその通りのことだが、改めて読むとなるほどと納得。ウィキペディアを評価しているのも意外だった。
図書館でたまたま手に取った本だが、買って蔵書にしようと思う。
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池澤さんは生産性の高い作家だと思っていたので、その仕事術には関心があった。本人は愚直と言うが、よく考えられている。自分には何が必要か。
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情報をいかに取得するか?
久々にテレビのある生活をしていて、視聴者がいかに受動的に、そして番組の意図した通りに物事を理解している(と錯覚している)ことをひしひしと感じている。
新聞は主体的に気になる記事を選択し、関心外のことに触れられるとともに、発行社ごとの見解を比較検討できる媒体なので読む習慣を付けるべきなのかも知れない。