投稿元:
レビューを見る
著者の町田さんは、比較宗教学者(現在広大名誉教授)であり僧侶(臨済宗から天台宗に移籍)。
怪談と表紙にあるが、決して化け物の類いが登場するのではなく、自身が異界からの声を聞いたり会話した記憶を辿って体験したことを紹介している。
科学的ではなく、全く論理的に説明できる内容ではないが、人間理解出来ないことには結構引き付けられるもので、興味深く読めた。
しかし不思議なもので、その異界からの声(建物、洞窟、岩、木等から)に従うと、それが実現していると言う。信じようと信じまいと、個人的には真実だと書かれているから、そうなのでしょう。
眠りに入ろうと意識が薄れる端境に、一瞬何か頭の中をよぎる風景やことばの類いがあるが、それをコントロールできているのかも。
少し気になったことば。
悩み苦しんでいるのは表層意識と潜在意識だけだから、そこを通過すれば無意識の生命力が爆発的に動き出す。
自己の中にのみ一切の拠り所がある。それ以外の何ものにも頼ることなかれ。
自分の才覚だけを頼みにしているうちは、大きな仕事は出来ない。目に見えない力を見方にしなくてはならない。謙虚に自然と向き合うべきだ。そうすれば自然がこれからどう生きていけばいいのか教えてくれる。政治も経済も人間の意識が反映したものだ。良くなるのか悪くなるのか、我々の意識の持ち方一つで決まる。意識レベルを高めるためには、無意識との対話が不可欠だ。
人と同じ製品を手に入れたいと言う心理は、誰かが作った既の価値観を私も追い求め続けますと言う心理と表裏一体だ。それでは人生の出発点で早々と敗北宣言をしているのと変わらない。
少なくとも人間が万物の霊長と考えるのは間違っている。万物の愚の骨頂だ。
死者は我々が思っている以上に、生きた人間との交流を求めているのではなかろうか。無意識の世界では時間が止まる。どんな古い魂でも、こちらが真剣に呼び出せば応答してくれるはずだ。
魂とは無意識のことに他ならず、無意識は時空を超える。無意識を抑圧すると、その逆襲を受け、精神疾患に陥ることは、精神医学の常識となっている。従って古墳に限らず、無意識の領域である「大地の記憶」を発掘する時は、慎重さを欠くわけにはいかない。
願わくば人生のゴールに半歩でも足を踏み入れてから倒れたい。そう思えば人間誰しも見えない世界からの加護に対して、謙虚にならざるを得ないはずだ。
登場場所
青木ケ原樹海、比叡山、室戸岬 御厨人窟、ハワイ島 霊山プワワ マウナロア、西伊豆 雲見浅間神社、妙義山、群馬 榛名神社、奄美大島 節田立神、メッカ、イギリス ミニオン、宮古島 保良泉 竜宮城、ボルネオ島 グヌンムル国立公園内ディア洞窟、マレーシアキナバル山 ティオマン島、伊良部島 下地島 お釜池、石垣島文珪御嶽、箱根 九頭竜神社、那智の滝、秋田 桃洞滝、石垣島 荒川渓谷、パラオ ベルトゥーアプ島、上賀茂神社 ならの小川、御殿場高原 ありがとう寺、インド リシュケス、鹿児島 ある真言宗の寺、瀬戸内海大三島 大山祇(おおやまづみ神社)、伊勢神宮、��雲大社、石見物部神社、淡路伊弉諾神宮、奄美大島 今井権現神社、知恩院、名古屋 覚王山日泰寺、堅田 祥瑞寺、大徳寺、奄美大島 諸鈍シバヤ(重要無形民族文化財)、浦添グスク、竹富島 真地御嶽、石垣島 東京亭 おいしん坊
登場人物 筒井弘