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歴史の教科書や研究では正面からとりあげられることはなかなかない文化史・庶民史に光を当て、新聞や雑誌、文献などをていねいにみていくことで意外な姿が垣間見えてくる読みごたえのある本。
一見日本文化として当たり前のような「土下座」「謝罪会見」「ネクタイ」「先生」「笑顔の絶えない家庭」はいつから当たり前になったのか、新聞広告から読み解く世相と当時の広告の無邪気さ、牛乳の臭いをとっかかりに牛乳業界の来し方と同時に考える人の感覚の当てにならなさ(アスパラガス関連の匂いの話は個人的にずっと疑問に思っていたので、詳しいことがわかってありがたし)。「常識」にとらわれずに虚心坦懐に資料を見て考えるというのはむずかしいなと改めて思う。
文庫版おまけ「諸説あります」は、朝ドラ「花子とアン」に登場した銀ブラの語源をめぐるネットでの反応をとりあげているのが私にとってはタイムリー。
同様の例として「江戸しぐさ」にも言及あり。
そう、ああいうドラマでさも史実・事実のようにとりあげることで俗説がひろまってしまう、ということにメディアはもっと自覚的になるべきじゃないの?
最近は見るもの聞くものなんでも鵜呑みにする純粋な人が案外多いみたいなので。
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世の中の常識・当たり前を調べてみる。すると常識がひっくり返るだけじゃなく、新しい見方もできる。という本。社会学やる人は性格がゆがんでいるという本文に納得。でもそういう人たちは世の中のどんなことでも楽しんで見ることもできるんだろうな。
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厚切りジェイソンも舌をまくほど、日本文化の疑問を滅多切り。思わず日本人すらも「Why Japanese people?」と叫びたくなる。ただし笑いたくても笑えないネタも多いが。
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パオロさん、誰かが結構調べているからこそ、この本が出来たんじゃん!って野暮なツッコミは置いておいて、めちゃくちゃ面白いし、非常に鋭い指摘のオンパレードでした。
この本が300万冊くらい売れれば、日本からトンデモ本は駆逐されるのでしょうが、きっとそんな自体は起こりえず、書店には亡国論が並び続けます。
ただし、この本を読んで深く納得した僅かながらの読者さんたちは、巷にあふれる怪しい諸説を一度は疑いを持って触れるに違いない。
結局、世の中は自らが都合が良いようにしか情報を捉えようとはしないのが現実である。
ただし、本質を追求しない事実に振り回されてしまうと、それを追うのに時間がかかり、いつも無駄な情報詮索をせざるを得ない。
人生を有意義に送りたい方は、噂話を聞いて、それを真に受けて意味あるの?そんな疑問を呈するように、この本をしっかり読み込もう。
って、そんな提案すること自体が嘘くさい?そう突っ込まれると、僕は貝になります。
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過去の新聞記事等、各種データをベースにして日本人の誤った思い込みを斬りまくる相変わらずのパオロ節が冴えわたる一冊。土下座の歴史が面白かった。表紙イラストも吉田戦車なのでGOOD。この人、絶対日本人。
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言ってしまえばヨタ話の部類に入るのだとは思うのだが、世の中の通説として他の人が触らなかったことに対して、新聞の過去データや文献を通して敢えて真偽を確認しようとしているのは偉いと思う。
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記述は稚拙。視点は秀逸。;「つゆだくの誠意と土下座カジュアル」「先生と呼ばないで」「全裸のゆくえ」「部屋と開襟シャツとわたし」「絶えないものは、なんですか」「名前をつけてやる」「東京の牛」「疑惑のニオイ」「戦前の一面広告」「たとえ何度この世界が滅びようと、僕はきみを離しはしない」「諸説あります。
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土下座のところで、突然マレーシア、ルングス村の人の話が出てくるのは笑った。豚か山羊を相手と祈祷師に送るんだってさ。日本は誠意=謝罪+誠意、というわけのわからない公式があるとの主張をするための前段が突拍子なくて面白い。
他にはビックリマークを濫用する広告の下りも面白かったなぁ。
全体を通して楽しく読めました。
あと、亡国論の箇所にはいい言葉があったので以下書き置き。
もっと身近なもの、自分の身の回りの人や家族やご近所など、滅びやすいものが滅びないよう、努力をかたむけるべきです。それは自分にしか守れないんですから。
近所のガキが悪さしたら叱りなさい。電車や公共の場での迷惑行為に講義しなさい。リードをつけずに犬の散歩をしているルール違反の飼い主を注意しなさい。自分の所属している職場や学校で起こっている具体的でちっぽけな問題に向き合い、ちょっとでも良い方向へ向かうよう、努力してみてください。
どうでもいい歴史や思想を語って国を憂うヒマがあったら、自分の身の回りに目を向けるべきです。小さな問題を解決しようと体を張らない人間に、国が滅びるなどと大口叩く資格はありません。デカイ思想を語るだけの思想ヒーローは、実際には世の中を一ミリも動かしてないのです。
大切なのは、みなさんひとりとりが、身の回りの問題に取り組むローカルヒーローになることです。
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タイトルにあるような雑多な事象について、それが近頃の現象なのか、明治大正期はどうだったのか、過去の新聞などから読み解く。
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当たり前すぎて、見逃されている・・・もしくは、面倒くさがられる庶民史を過去の新聞等から丁寧に拾い上げて、昔から当たり前だと思われていたことが、実はそんなに当たり前ではなく、そんなに歴史がない事に気付かせてくれる本。 土下座は畏敬の礼法で使われていたものが、現在では単なる謝罪や懇願のみで使われている事や「先生」という言葉に対する日本人の「侮蔑」と「尊敬」が入り混じった感情を紐解いて成る程と感じた。
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朝日と読売しかソースがないのが、毎日出身の私にはがっかりだが、よく調べている。朝日の題字1面が全広というケースがあったとは、驚きだ。
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著者の最初の著作『反社会学講座』が話題となった際(2004年刊行か…)、既存のレッテル貼りされた情報を疑うことと、自分で考える/調べることの重要性が深く心に残りました。あれから17年…。
本著では目の付け所が面白い様々な題材を、文化史的な観点でまとめています。
順番に全部並べてみると・・・土下座、先生、全裸、ノーネクタイ、"笑顔が絶えない"、姓名判断、牛を使った物流、牛乳の殺菌方法、戦前の新聞広告、亡国論、"所説あります"と。
読んでみると、考えずにそうだろうと思い込んでいたコト、例えば「土下座には長い歴史があって、江戸時代の大名行列に庶民は(今で言うやり方の)土下座をしていた」なんてのが間違いだったとわかり、知識を得ることの面白さを感じます。
もちろん、著者の軽妙な語り口は健在で、非常に読みやすいです。昔のおかしな(現代から見て)ファクトに対して、ムチャクチャ丁寧にツッコミを入れていて、これ自体も笑えます。
それぞれのテーマについての記述のほか、世の中の事象を「通りすがり」にバサッと切り捨てていくのも痛快です。
出掛ける子どもに「交通ルールを守りなさい」と言うコトに意味があるのか?とか、内田樹さん(実名!)の「先生はエラいものなのだ(後略)」という発言を「証拠もないヘリクツ」「推理だけで理論を構築したがる手抜き名探偵」とこき下ろすのは、読んでいるコチラがヒヤヒヤするような。。
1点、牛乳の消費量について、日本で最も牛乳を買わない都道府県が北海道と沖縄県とあり、これで牛乳を飲まない道/県だとしているのですが、北海道の人って牛乳貰ってるから買わない(けど飲んでる)とか無いのかなぁ…と思いました。
ただ、(シロウトがごく軽くですが)調べてもデータが出てこないですね。
・札幌市の牛乳消費量自体は県庁所在地/政令指定都市の中では中位くらい
https://www.japan-rank.com/article/192879892.html
・北海道の消費量が少ないコトは、専門家の中でも謎らしい
https://www.news-postseven.com/archives/20130722_201166.html?DETAIL
学者さんというのはこういうテーマに日々向き合っているんだと思うので、凄いなぁと。。
今はググると著者(パオロ・マッツァリーノ氏)の正体?という情報も出てくる時代ですが、まぁ調べるだけ無粋なような気もします。