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郵便不正事件で、検察特捜部の証拠改竄により逮捕・交流された村木さんの本。冤罪事件の件は、ネット記事でも見ていたが、何度読んでも市民が突然被疑者として扱われた時の立場の弱さ、検察という組織の問題点にゾッとする。
労働省で、女性活躍推進・障害者支援に取り組んだ時の心構えについては、職業人としてもワーママとしても、背中を押してくれるエピソードが多数ある。
最後の「ポチ」の話を見ていると、ユーモアを忘れない所が家族や周りの人から親しまれるんだろうなと、勝手に人物像を思い描いてしまった。
以下覚えておきたい言葉。
・comply or explain(遵守せよさもなくば説明せよ)
→必要悪という言葉が出てきたら要注意
・公務員とは、国民のニーズを制度や法律に翻訳する仕事
・0を1にするのはNPOの力
1を10に理論武装するのは学者の力
ペイする範囲で10を50にするのは企業の力
誰もが利用できるよう50を100にするのは行政の力
・負の回転扉(累犯犯罪者の問題)
・カナダのトルドー首相によるダボス会議での名言
「今ほど変化のペースが速い時代は過去になかった。だが今後、今ほど変化が遅い時代も二度とこないだろう」
・行政依存型社会→市民自立型社会
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著者のキャリアからすれば当然の帰結か。あの事件や現在の主張・活動に至る背景を詳らかに、しなやかに語る。論題については、もう少し紙幅を割いて論じても良かったのではと思ったが、ああ、そうね、自分の頭で考えましょう、ということですね、と勝手に納得しました。
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隠蔽、改竄。いつの時代も無くならない物なのかと改めて感じました。
ひとが集まり組織の体を成すとどうしてもこうした事態は起きてしまう。だからこそ、勇気が大事だと著者の村木厚子さんは言及する。
不祥事を起こす組織の共通点は、「必要悪と権利/権限」。これは必要悪だと言い出したらおしまい。そういう意識を変えるには勇気が必要。
そして権利/権限のある人間は常に情報開示と説明責任を負わなければならない。その為にはるーるづくりと教育が大切だと村木さんは主張する。
また、村木さんには意外な一面も。
六ヶ月の拘置所暮らしで耐えれた理由は、「名探偵コナン」の影響だという。
コナンから学んだ注意深い洞察力、疑いの目をもつことが役に立ったそうです。
また、読書家の村木さんのおすすめ本が何冊か紹介されていましたが、どれも読んでみたいと思いました。
「失敗の科学」
(マシュー・サイド著、ディスカバリー21)
「生き心地の良い町」(岡檀著、講談社)
「ローマから日本が見える」
(塩野七生著、集英社文庫)
西郷隆盛「南洲翁遺訓」
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尊敬する女性は誰か、と聞かれたら村木厚子さん、と答えるようにしてます。タイトル通りの内容の部分以上に村木さんの人生に関する記述が厚くてそこばかり読んでしまった。
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タイトルと中身がやや違うと感じたが、素晴らしい本だと思う。村木さんの誠実な人柄が感じられる。大上段から社会を糾弾するでもなく、真剣に社会を前に進めようとする。その姿勢に拍手。そして、検察の恐ろしさ。日本国民は、もっと知ったほうがいい。この組織をこのままにしておく怖さを。
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本音と建前の考察が秀逸。建前を祭り上げつつ実際には無理だと割り切ってしまうことが修正のチャンスを失わせる。あと、山本七平の空気の研究に通ずる。
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全職員必読の書だと思う。郵便不正事件という検察特捜部の不祥事のみならず、組織の病理に踏み込み、かつご自身の生い立ちやご家庭の話もあり、ほんと素晴らしい人格が垣間見える。こういう人がリーダーにいたことを忘れずに励みたいものです。
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多くの組織は病を抱える。信頼をおけると思っていた公的機関だろうが、営利を求める民間企業なら尚更その傾向は強いだろう。そして病になるには必ず病理が存在する。
元官僚トップの筆者が冤罪逮捕された事件に始まり、最終的には社会の弱い立場を守る側で活躍されるまでの道のりを、その当事者・現場を見た立場から考察して行く。
読み始めは日本の司法や検察への憤りと恐怖が先行してスリリングな内容なのだが、やがてそれらを生み出す組織の病理に迫っていく。組織の問題について書かれた書物は多いが、自身の逮捕抑留というショッキングな経験がベースとなるため、客観的な問題点と同時に当事者としての内面・主観的な意見が非常にリアルだ。
またそうした経験から様々な社会が抱える問題への気付き、変えなければならないという使命感を持つに至るあたりは、さすが官僚トップまで上り詰めた方だと感心する。だがそれは誰にでも出来ることだとも言う。一人一人が問題意識を持ち勇気を出して一歩前に進めば社会は変えられる。
民間企業に勤める自分の周りにも違法ではないにしろ、愛社精神だと言い訳しつつ権力に忖度したり、冷静に考える事を避け、善し悪しの判断から逃げて続けている仕事があるかもしれない。本当は立ち止まり距離を置いて考えれば分かるのに、大量の仕事に忙殺されて、その暇さえ与えられない。
これは営利を追求する民間企業だけの問題ではなく、市民サービスを提供する役所などでも一緒なのだ。古い体質、古い考え、古い制度や手順にがんじがらめになって、手足を自由に動かせない。そんな組織は病理を抱えてやがては治癒の見込みの無い病に倒れるだろう。そうなる前に細胞である我々一人一人がNK細胞となって闘わなければ。本書を読むとそんな勇気を貰える。
自分も社会を変えるなら法律を学び公務員を目指した時期があった。大学の同期は多くが国家公務員や地方公務員になった。私は民間に入り今はコンピュータの世界や人の住まいを提供する位置から社会を変えられる可能性を持っている。まずは自分の周り自分の会社から変える、今日から何か動き出そう、そんな気持ちにさせてくれる。是非手に取って読んで欲しい一冊。
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いつの間にか根付いてしまった一部官僚への不信感を
払拭してくれるような大事な一冊
染み付いた慣習を捨てるのはかなり難しいなんてのは重々承知している、だけどどこかで誰かがやらないと結局誰に、何に跳ね返ってくるのかを想像したら
まずは自分から!