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貧困や虐待、家庭の問題など複雑で深刻な生育環境の中で非常に健康で健全な成長を遂げ、優秀な成績を収め人格も立派で努力家…という人が一定の割合で現れ、彼らは「レジリエントな人」と呼ばれる。虐待について少し学ぶとレジリエンスを身につけることがその人の人生をよりよくすることに役立つ、とテキストなどによく書いてある。
本書はわれわれのような支援者が安易に「レジリエントであれ」と言いたくなる風潮に待ったをかける非常に重要な一冊だった。
著者はレジリエントな人々のうち、特に社会的に大きく成功するほど高い能力を発揮した人々を「スーパーノーマル」と名付ける。「ノーマルを超えたノーマル」になるための努力、のみならずその孤独、不安、恐れ、他人を信じることの困難、人と親密な関係を結ぶことへの葛藤。これらと戦い息つく間もなく緊張しながら生きているスーパーノーマルたちの姿を冷静かつ誠実に描く本書は対人援助を仕事にするあらゆる人の必読書であると思う。
何度も読み返して学びたい本。
翻訳も日本語としてたいへん読みやすく素晴らしかった。読み進めるのにストレスを感じないのは最高。
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様々な劣悪な環境に逃げ出したくなる。
実際逃げ場はなく、スーパーノーマルという鎧を身につける過程に驚嘆。
世の中には沢山の逆境に生きる子どもたちがいるのだなぁ。
巻末解説より(香山リカ)
レジリエンス(打たれ強さ、抵抗力)
スーパーノーマルはマイナスを大幅なプラスにまで持っていける人
スーパーノーマルたちが抱えているトラウマが消えることはない。
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紹介や引用文が多くてあまり事例が頭に入ってこなかったというのが1回目。
2回目読んでみてやっと文の構造と作者の主張がわかった。
トラウマは誰にでもあるように思うほど、幼少期はたくさんの危機が存在している。みんな平和な顔をしているだけで、背景なんて誰も知らない聞かないからわからない。 トラウマや疾患をもっていたとしてもそう思って、孤独な気持ちを持つのをやめて、人に自分のことを話すことが、癒しになるのだなと思った。
そしてなによりいつからでも愛し愛されれば人生は好転するってところが、論拠ばかり並べてた最後に来て、良いなと思った。
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臨床心理士の筆者による様々なレジリエントの事例。
みんな悩み苦しんでいる。社会に適応するということは周りに助けを自ら求めにいくことでもある。愛情を受け取ると人は成長し幸せになることができる。両親だけではなく、親戚、パートナー、友人、先輩、上司多岐にわたるそれら全て自分にとってポジティブな効果をもたらす。
・ファイターとしての自覚を持つこと
・秘密を打ち明けられる誰かを見つけよう
・おとなとして自分を大切に扱おう
・ストレスから心理的距離、物理的距離を取ろう
・あなたが人生で出会ったいい人たちの存在を、悪い人たちよりも重視しよう。感謝している人の名前をリストアップし、心のこもった手紙を書こう。大切な人たちを思い出すために毎日写真をみよう。彼らがあなたのために戦ってくれたのと同じように、その大切さ、あなたの人生、脳にとっての大切さを忘れないでいよう。
・愛する人、愛してくれる人を見つけよう。
・子どもがいるならこんな親が欲しかったと願ったような親になろう。(レジリエンとは幼少期の「こうして欲しかった」という記憶を強く持っている。これは今後の役に立つ)
わが子を傷つける全てのものから守りたい、わが子を強くしたいという衝動に抗おう。子どもが苦難に見舞われたときは耳を傾け、受け入れよう。見過ごさず、言葉で表現し、問題を解決しよう。愛情を忘れてはいけない。どうすればいいかはわかっているはずだ。
・自分を、そして出会う人たちをできる限り大切にしよう。出会う誰もが困難な戦いを続けているわけではないとしても、既にわかっているように、大勢の人たちが今も戦いの最中にいる。
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このような本は世にたくさんあるが、この本の良いところは各章の表題になぞらえた実話の数々である。この実話があることで、本来受けたことのない境遇は理解できずに理論だけ読み進めることになってしまう読者を、きちんと境遇を追体験しながら読み深めることができた。体系だってまとまっている本とは言えないものの、子供がいるかたはぜひ読んでほしい本です。
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大きな傷を負ってしまった人やその家族に合う本。大変な思いをしている時はこんな上手くいく訳ない…なんて思う部分もあったが、時間が経ってみると大切なことがしっかり書かれていたと感じる。自分たちの持っている力を信じ粘り強く、時にはストレスから距離をとり自分たちを守り、1人で抱えず相談し、健康やストレス対策を大切にして過ごしていきたい。