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ブクログの話題書で見かけて、面白そうで図書館でずっと予約待ちしてようやく読了。
すごい。こんな小説読んだことない。
私は大学の時に自分のことについて悩んで、心理学関連の専攻にいた。その時にこの小説に出会えていれば。ぜひ心理学の講義で題材にしてほしい。
社会に溶け込めない主人公が、コンビニを通して社会とつながる。人は家庭や会社、集団において求められた役割を演じている。地位や環境によって人は作られるというけど、主人公はコンビニに出会えたことで改めて社会に生まれることができた。
最初、社会に馴染めない人がコンビニで働く話だから、真面目に勤務してるけど、他の店員から、あの人ちょっと変わってるよねって言われるタイプの主人公だと思ってたら全然違った。人間観察力と適応力ありすぎ。見事にコンビニの歯車になれてる。
人ってなんなんだろう。相手によって見せる部分が違うのは当たり前だけど、この人にとって自分ってなんなんだろとかその逆とかほんとによく考える。
主人公は自分にとって唯一無二のコンビニという存在に出会えたわけだから、もうそれだけで人生しめたものだよなぁ。
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この手の現代を風刺する小説は、どうも説教臭くて途中で読むのをやめてしまうことが多いのだけれど、ぐいぐい引き込まれて、一気に読み終えてしまった。
はっきり言って作中のキャラクターは揃いも揃って気持ち悪い。
主人公や白羽だけでなく、それこそ「普通」の人ですらも気味が悪く、グロテスクに映る。
ただ、客観的に、何も知らない第三者の目から「自分」を見ると、やはり同じく気持ち悪いと思ってしまうんじゃないかな。
主人公や白羽ほど極端では無いけれど、自分にも色々重なる部分があってもやもやと考えながら読み進めた。
読み終わって満足して終わりとならず、何かを吐き出したくなった本は久しぶり。
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主人公の古倉は極端な例ですが、もう“普通”と軽々しく言って良い時代は終わったし、自分が他人に自分の"普通"を押し付けているのではないか?と疑うことが必要だなと思った。
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コンビニという身近で共感しやすい題材や最初のシーンの掴みが良く、スラスラと読めた。
大きな展開こそないものの、主人公の言葉の一つ一つが面白く、考えさせられるので飽きない。
人の喋り方や持ち物や服装がその人の交友関係に大きく影響されることを、
「伝染しあいながら、私たちは人間であることを保ち続けているのだと思う」
早口で差別用語を発する白羽さんに対して
「人間っぽい言葉を発しているけど、何も喋っていない」
「コンビニは強制的に正常化される場所だから、あなたなんて、すぐに修復されてしまいますよ」
そのほか、頻繁に出てくる「普通の人間」マニュアルの表現は秀逸だと思う。
甥っ子と出会った病院の「ガラスの箱」と、コンビニという「ガラスの箱」が重なり合った最後の4行も素晴らしかった。彼女は、コンビニで生を受けて、コンビニに生かされているということを改めて実感させられる。
また、主人公は発達障害、そのボーダーとしてもとらえられるのではないか。表面化しない障害がいかに生きづらいかという教材としても使えると思った。「~障害」といって主人公をなにかに当てはめることは、未知のものや理解しきれないものをなにかに当てはめて安心したいというエゴかもしれないが。
「それはそれでいいじゃない」と彼女の思考を受けいれられる人が、彼女の元に現れるよう願う。
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芥川賞なんだ。それの割には固くないなと思った。
コンビニ人間。全部読んでみると、確かに主人公はコンビニのために生きてる人だった。特別何かを感じたり、すごく面白かった訳では無いけど、いつも近くにあるコンビニがそうやって稼働してるのかと思うと、ちゃんと考えらへて運営されてるんだなと思った。
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2時間で読了。絶対共感できない生き方なのになぜか共感できるところが多々あり、面白かった。
自分って何で形成されているんだろう。私もそのとき周りにいる人に影響されて、無意識に真似したり、真似までいかなくても似てしまったりしている。喋り方はもちろん、服装や髪型、性格まで一緒にいる人が変われば変わっているかも。でも自分は持っているつもりで、主人公みたいな人を攻撃はしないまでも茶化す側だろうと思う。多様性を認める社会になってきていて、私もその意識を強く持っているのに、世の中のコンビニ化、また私の中のコンビニ感はまだ続きそうだ。
その感覚は果たして、世の中を良くしていくのか、生きづらい人を増やしてしまうのか。。。
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これは素晴らしかったな。もちろん、芥川賞受賞作ってことで入手。タイトルからは、いまひとつ内容の想像が出来なかったんだけど、感情の無い、無機質な人間とつながっとったんですね。なるほど。徹底して常識が身につかない主人公の造形も圧巻で、それに振り回される周りのドタバタも見もの。こういう系統の作風ならば、是非他の作品も読みたいと思います。
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文庫化されたら必ず読もうと思っていた作品。コンビニに勤める30代の女性の物語くらいの知識しかなく、まさかこんなサイコというか、コメディのような作品だとは思わなかった。主人公の古倉惠子は18歳から36歳の今に至るまでコンビニの勤務経験しかない。「ふつう」の感覚を持ち合わせていなくて、子供の頃はよくトラブルを起こしていたが、コンビニのようなマニュアル化された世界がとてもマッチしていて、また家族も安心したためひたすら働いている。客として利用したことしかないが、コンビニの驚くほど細かい描写に感服する。コンビニ店員ほど過小評価される業種も珍しい。惠子はふつうを装うために、コンビニ店員仲間の女性のしゃべり方を学習し、30代女性にふさわしいファッションセンスも吸収していく。とにかくコンビニ店員としては完璧なのだが、人としては空洞のようなもので考え方もゾッとするほどサイコだ。ただ、作中で語られる「ムラ」の圧力はよくわかるし、誰しも少なからず世間体を保つためにやっていることはあるだろう。途中から出てくる白羽(シロアリの暗喩か)という男が気持ち悪く、彼がまた凄まじい思想の持ち主だ。狂ってるのは惠子か白羽か、あるいは世間か。文章がとても読みやすく、しかし惠子の内面が面白いやら恐ろしいやらであっという間に読み終わる。
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読み終わったときにはなにか大きなインパクトを受けたが、それが何によるものなのかが自分の中でかイマイチ分からずモヤモヤしていた。
少ししてからそれが分かったように思う。
本書では、主人公の「普通でいるとは何か」ということに葛藤する人生を描くことから、一昔前のムラ社会から現代社会でも見られる同調主義をテーマとして扱っているのではないかと感じた。
そして最終的には主人公は自分の道、つまりコンビニ人間という自分のありのままの人生を歩んでいくことを、自分自身で決めることができた。
個人的に1番最後3行の表現が気に入っています。
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雨トークの読書芸人で紹介されていたような。
タイトルも表紙も印象的な一冊。
ルールがある。
それに従う。
事実を人が解釈する。
「障害」と言うこともあるんだろうけど、そもそも何を基準に障害なのか。
読んでてちょっと気持ち悪くなるし、読み終わったあと、なんか、ざわざわする。
36歳、コンビニ店員は、終わってるのか。
ヱヴァンゲリヲンの映画を思い出しました。苦笑
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前から気になっていた作品を読了。
中々「普通」の社会に馴染めない古倉恵子がコンビニ店員として世の中の歯車となれることに気づき時が過ぎていく。
途中、恵子と不思議な関係になる白羽の考え方は非常に極端であり彼の言動に嫌悪を抱く人もいるだろうが、決して特別ではなく、もしかしたら各自がいつの間にかそれに近い事をしてしまっているのかもしれないと考えさせられる。
恵子が淡々と自分のペースで生きていっているのがこのストーリーを重くさせていない要因なのかもしれない。
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抜群に面白かった。
恵子の周りの「普通」の人々の「傲慢さ」が何とも言えず気持ち悪い。でもこういう人々のほうが多数派なのだろうし、立場が変われば自分だってそちらに回ることになるだろう。
白羽さんはほんとゲスい奴だけど、ルサンチマンを煮詰め切った人間ってあんな感じかもしれん。
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所々、笑えるシーンもあって良かったんですけれども、全体としてはあまり…心に残るようなお話ではなかった気がしますねぇ…。
話の内容に触れるようでアレですけれども、同棲?みたいな状態になった男が登場したことにより、主人公が何かしら変化するんじゃないかと思ったんですけれども、別に…という感じだし。自己完結のまま終わってしまった感じがしますねぇ…。
まあ、でも笑えた!というのはこの小説の長所なのではないでしょうか…。実際にこういう人、目の前に居たらさぞかし楽しい毎日が送れるというものでしょう…(!)
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー
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理解はなかなか難しい。
どこまでも、受け身。
自分で自分を造るではなく、
求められて初めて自分の形が見えてくる、そんな人の話。
こういう人、
世の中に多いのかもしれない。。。
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主人公、古倉さんに圧倒的な共感をおぼえた。
同調圧力を感じながら、しかし決して理解はできず、でも怪しまれないように「普通」の人を演じる古倉さん。たしかに生まれつき情緒が欠如しているかもしれないが、根本的なところでとてつもなく優しい人だと感じた。
身に覚えがありすぎて、ゾッとする場面も多々あったけれど、ユーモラスでおかしいところもあった。特に白羽のキャラ設定。もはや存在がギャグ。
とにかく、古倉さんの幸せを祈る。
白羽はとりあえず滅べ。