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主人公、古倉さんに圧倒的な共感をおぼえた。
同調圧力を感じながら、しかし決して理解はできず、でも怪しまれないように「普通」の人を演じる古倉さん。たしかに生まれつき情緒が欠如しているかもしれないが、根本的なところでとてつもなく優しい人だと感じた。
身に覚えがありすぎて、ゾッとする場面も多々あったけれど、ユーモラスでおかしいところもあった。特に白羽のキャラ設定。もはや存在がギャグ。
とにかく、古倉さんの幸せを祈る。
白羽はとりあえず滅べ。
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前半は普通にコンビニ務める少し変わった主人公として描かれていたが、突如後半で普通ではない不器用な人間性が出現し、反発しながらも一気に引き入れられてしまった。
作者本人がだいぶ忠実に描かれているのだろうが、コンビニでしか自分が生存できない不器用な人たちの世界が多少なりとも理解できた気がする。
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「普通」という言葉について考えさせられた。自分の中で普通が揺らぐ、当たり前が崩れる、段々と社会がこういった人を受け入れるように変化しているように見えるけど個人を見ると意外とそうではなかったりする。異質なものを受け入れるのは簡単じゃないのかもしれない。いい意味で気持ち悪さを感じた。
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考えることが多少、いやだいぶズレてる。
小学生の頃の話は、相当やばい。
でも、それだけじゃない。
主人公の私、古倉恵子にとってコンビニは
買い物する場所でも職場でもなくて、
なんだか恵子の命づなみたい。
コンビニって
日常にある風景の1つでしかないけど、
それが自分を保つ、生きる術になっていることが切ない。
世の中の「普通」を取り入れられたり、
その流れにうまく乗れた人たち共通の
「普通の感覚」
だからそれは差別でもなんでもないけど、
「普通」であることへのなんとも言えない圧は
日常的にそのへんにある。
中村文則さんの解説にあった
【会心の一撃】はまさしくそれで、
恵子の言動を遠巻きに見ながらも、
ある部分で気持ちが落ち着いたり共感できたのは
あたしもその「普通」の圧を感じることがあるから。
「普通」ってなんだろう。
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本来人として持つ多様な感受性が欠落した(或る種純粋な)主人公を通し,日本という社会の画一性を描く.文明としては成熟しているのだろうが,余裕のないこの社会を客観視することになる読者に痛烈に問いかける.“本当にこれでよいの?”と.
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高校時代、コンビニでアルバイトしていた頃を思い出して、懐かしかった。私も棚卸しとか、発注とか好きで、社員にならないかと言われたなぁ。菓子パンとかお弁当の廃棄の持ち帰りとかも楽しみだったなぁ。今きっと持ち帰りダメなんだろうな。
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「普通」に疑問を感じてもそこから外れた人間は「修正」される。「普通」を飲んだとしてもそれに則って生きるのは難しい。だけど、そもそも「普通」とは?
ラストの主人公の判断が正しいかはわからないけど、晴々とした気分で読み終えました。
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普通ってなんだろうなぁと。主人公の心情が濃く描写されないので話の流れが分かりやすいです。後半の流れでよくある展開来るかなぁと思ってたけどそうはなりません。現代社会の風刺描写もあり面白いです。
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置かれている状況に対して適切に動くと周りから確実に浮いてしまう主人公、マニュアルがありそれをこなせば評価されるコンビニ店員の職に就いたとき、初めて社会に受容されたと感じる
という生活を18年、世間は"普通"の職業、生活を求めてくるが、、?という内容
発想の特異さがSFチックなところあって好きだ
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新幹線で福島から東京に帰るなかで、読み切ってしまった。
サラバにも似たものを感じる。
人の孤独感や悲壮感、そして人と違っていたいという感情が垣間見える小説でした。
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比較的量としてのボリュームは少ないと思うのですが、その中に考えさせられるような思考や、言動。多々あるのが魅力的だと個人的には思います。
何が正解なのか?どんな風に自分も生きたいのか?色々考えちゃいますね。
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読みやすい文章なのに、読みすすめるのが辛い。主人公ほどではないにしろ、みんな排除されない為に同じ服をきて、婚活して、一生懸命になっているんだろうなあ。
自分が誰かを排除したいことも多い。自分自身も排除されないようにしないと。
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主人公は古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。これだけを聞くとほとんどの人がこの人は「普通」ではないと感じると思います。私も読む前はそう感じました。そもそも「普通」とは?。人それぞれには多様な価値観があるのに自分が「普通」と思っている人はそういった人を不適合者とみなし排除してしまいます。これは誰でも経験したことがあると思います。そして主人公は変わり者と言われながらもコンビニ人間としていることが唯一、幸せを感じることができ、この本はそんな「普通」や「自分のあるべき姿」について考えさせられる作品です。
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芥川賞を獲った話って面白くはないだろうと思いつつ、ずっとランキングの上の方にあるし、3連休も控えていたので買ってみた。
手に取った瞬間には「薄~、これで626円はないわ…」とひとりごちる。
競馬中継がない敬老の日の午後、普段なら6Rから8Rを見ている時間で、あっという間に読み終える。
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「普通に生きる」とは何か?
“空気読む”とか”イジメに加わらないと自分がイジメられる”なんてのを見ると、みんな、コミュニティの中で「異物」にならずに「普通に生きる」ことに汲々としている様が知れるよな。
恵子の言動は、そんな世の中の様子を象徴的戯画的に描いて切迫切実感はあり。どれだけ自分で普通に溶け込んでいると思っていても、実は違ったというのが知れるのがきつい。
白羽が言っていることは、自分のことを棚に上げ自分より弱い者を見つけて自分にされたことをそのまましている、今の世の中のおぞましい部分そのもので、本当に胸糞悪いが、だけども現実を映しているところもあるか…。
読みながらそんなことをつらつら思ったが、まあ、やっぱり、面白いとは思えなかった。。
自分では普通にコミュニティに溶け込んでいると思っていても、微妙に違うことに気づかされたりすることはある。
私は自分でも人づきあいが出来ないと自覚していて、昔はそれが少し気になっていたけど、歳を取った今は最早そんなものだと思って気にしない。
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以前から気になっていて、文庫化を期に購読。
主人公は「普通」が理解できない、発達障害というか「空気読めない人」だが、コンビニみたいにマニュアルで固めてる所では優秀なので、いい歳になってもずっとコンビニアルバイトをしている。
社会で生きていく為に、理解できないけれど同世代の発言、行動、服装を手本にして擬態している。
主人公の視点から見た「普通」の世界は如何に歪で実はマニュアルに満ちているかを浮き彫りにする。
主人公は極端な例ではあるが、決して空想上の物語ではないと思う。
普通なら、大人なら、男なら、女なら…
社会には様々な「こうあるべき」が存在し、多くの「普通」に満ちている。
近年教育の場面で子供の意思を大事に、束縛せず自由にと、言われるが(それ自体は良いことだが)、
子供には手本、すなわち最低限のマニュアルが必要でありそれに習って「排除」されない生き方を学ぶ。
もし、自然に見て感じて教わってきた「普通」が崩壊するならば、「普通」を定義し、教えなければならない時代が到来するのではないか。
本書は現代の社会の息苦しい「普通」を言及する一方、アンチテーゼとして無責任な「自由」に対して問いかけているようにも思えた。