電子書籍
培養肉
2019/02/06 01:24
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投稿者:レイン - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮崎夏次系の長編でも結構新しい方向にチャレンジしている気概を感じさせる。相変わらずシュールだけど長編の中で一番好きかもしれない
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"「何十年もここに暮らしてきたのに
地下があるなんて知らなかったのでしょう?
誰か居たらどうするんです?」
「誰か居たら…嬉しい!」
「あなたは…分かりあえないものがいることに
もっと恐怖を持つべきなのです」"
宮崎夏次系さんの本の中でもこれはダントツに好き……!
1話が短いのに話が進むごとに世界がみせる景色がぐるりぐるりと変わっていく。
あまり意味のないSF味のする奇妙なだけの設定だと思っていたものが伏線でしたと牙を剥く瞬間にときめいてしぬ。
最後のある意味大ショックなシーンがとても好き……。木下くんの表情が、場に似合わぬ優しげな表情が堪らなく好き……。この回で木下くんが着ている服が九森さんのものだと気付くのが遅れたけど気付いてなんとも言えない気持ちになった。ただ寒いだけなら半纏でも良い訳で……。
幕間の培養肉たちも良い。
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今回も夏次系全開の世界観でした。
いつもよりのんびりした作風という印象。
オチはよく分からなかったですが、雰囲気はとても好きです。
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「ハタチの時から身長も生命線も止まってて」
間がある。
フロイト的に言えば、感情の消費が節約される心地よさ。
なぜだか、お母さんが恋しくなる。SFなのに。
近未来の輪廻。
人工肉に乳歯が生えるところが肝。
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人類がほぼ絶えてしまった、地球によく似たどこかの星でベストセラーを夢見る青年・木下と、流れ者の培養肉・おにくとのSF(すこしエスエ・フ)な淋しさ漂うものがたり。
「身体を持っている限り人はずっとひとりです」(p116)というジョーン・Kのことばに妙に納得。
けどバナナチップスにはなりたくないな…
こんな状況にありながらも木下は基本的に飄々としているが、光の表現的にはあまり心は闇に陥ることはなくて自分を保っているように思える。が、p138の野良培養肉に眼を喰われた時は影に向かって歩いているのと、「来るんじゃなかった」とネガティブな発言も見せている。
正直、1巻時点ではなんとも判断が難しい作品。
1刷
2021.7.18