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太地での鯨漁を生業としていた人達の明治維新前後の話。特に史実を元にした大背美流れの話は迫力があった。
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幕末から明治にかけての太地捕鯨のお話。文庫化されたので再読。
北海道操業を目指してアイヌの人たちと交流したり、当時盛んだった北海道のニシン漁で流行した「ソーラン節」は北海道に進出した太地の人が歌った鯨漁の歌のひとつだったとか、太地を治めていた藩主の子孫が中尉として参加した八甲田山雪中行軍で遭難死していたり、そんなエピソードは面白い。
主人公の覚吾の語りで進んでいく物語なんだけど、ちょいちょい現代語はさんでくるのが違和感…。
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本作は覚吾という人物が、幕末期から明治期の「大きな時代のうねり」という中で、個人的な事や仕事の様々な問題、時代の動きの中で生じた出来事に「飽くまでも諦めずに、果敢に挑む」という姿が描かれる…覚吾の“後半生”とでも呼ぶべきか、“区切り”とでも呼ぶべきか、或いは“曲がり角”となって行くのが「明治11年の冬の日」の出来事である。その出来事の顛末と、そこまでの道程が語られる訳だ…
「産業、経済、社会の構造を創る営為」を束ねて行く立場の人物…小説の劇中人物として登場する場合、色々な描かれ方が在るのであろう…本作の覚吾は、「なかなかに惹かれる人物」で“力”を分けてもらえそうだ…
そういう愉しさが在るのだが、本作には「産業、経済、社会の構造を創る営為」の中心人物、換言すると「地域に糧をもたらすことに懸命な人達」の目線で、「揺れた幕末期」を鳥瞰するような感も在って興味深い…
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伊東潤さんの本は2冊目。
初めて読んだのは『巨鯨の海』だった。
第149回直木賞候補になった作品だが、私がこの本に興味を持ったのは、『巨鯨の海』が第1回 高校生直木賞 を受賞したから。
フランスで最も権威のある文学賞「ゴングール賞」を高校生に選ばせたらどうなる?という発想から生まれたのが「高校生ゴングール賞」
フランスではテレビで生放送されるぐらいの人気がある。
高校生直木賞はその「高校生ゴングール賞」を参考にして、2014年5月に第1回が開催され、『巨鯨の海』が受賞。
2018年からは文部科学省の後援を受けている。
このことを知ったのは、日経新聞(国際版)の「プロムナード」に掲載されていた、伊東潤さんのエッセイで。
「高校生直木賞」を受賞した本なら読んでみなくては!
そして、読んでみたら、とても面白かった!
私は☆5つをつけている。
『巨鯨の海』は和歌山県太地の古式捕鯨を描いた時代小説。
鉄の掟の下、捕鯨に命を懸けた人々を描いた連作短編集。
迫力満点の作品だった。
『鯨分限』では、太地鯨組の八代目棟梁、太地覚悟が主人公。
”分限”とは富豪のこと。
江戸中期から盛んに行われた太地の古式捕鯨は、莫大な富を生んだ。
鯨漁で潤っていた太地も時代の波には抗えず、明治に入ると捕鯨は衰退の道を歩まざるを得なくなる。
明治維新、南海地震による大津波。
さらに、未曽有の遭難事故「大背美流れ」
明治11年12月24日早朝。
総勢184名が19隻の船で荒れ模様のなか出漁した。
この年は近年にない不漁で、このままでは正月も迎えられないという思いが無理な出漁に繋がった。
この時に、船団が出会った鯨が大きな子連れの背美鯨だった。
太地では昔から「背美の子連れは夢にも見るな」と言われていた。
当時の技術では背美鯨のような大物を捕獲することは到底無理だったのだが…
生存者わずか13名という海難事故となってしまった。
鯨組棟梁の太地覚悟がとても魅力的に描かれている。
時代に抗い、鯨組の人々が生きるために、命をかけた男。
大阪人の私にとって、和歌山は近くて遠い。
文庫解説で坂井希久子さんも書かれていたが、2018年現在、太地町まで高速はつながっていない。
和歌山最南端を通り越し、高速が途切れた先にある太子町。
遠い…
でも、この本を読んでちょっと行ってみたい、と思った。
太子町だけでなく、クジラウォッチングとか…
ん?
もしかして、これがあの「運動よりも食事よりも読書が大事」ということ…?
この本がきっかけで、色々調べたり、動いたり…
自然につながっていくんじゃないの~
と、自分に都合のよいように解釈している(笑)
太地鯨組と古式捕鯨を調べていたら、こんなところへも行きついた。
https://news.yahoo.co.jp/byline/sasakimegumi/20181022-00101290/
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伊東さんの本は初めて。
導入から一気に惹き込まれる。
鯨の棟梁の物語。
私も祖父や叔父が伊勢で漁師をやっていたので
結構共感できるところ多し。
蝦夷地のくだりは新鮮で面白い。
しかし最近鯨は食べられなくなりましたね。
昔給食で「クジラのノルウェー風」とか
おでんだねで「コロ(くじらの脂)」を
よく食べたのを懐かしく思いました。
面白いけど、ちょっと散漫なのと感動はしないので★3つ。