紙の本
自由奔放でも人の気持ちに寄り添う神様のお話
2018/12/15 10:58
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投稿者:ねこすき旅人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
全く運に見放されたような学生の田嶋さんがふと寄った古びた神社で神様に出会うことで巻き起こる出来事のお話です。この神様の瀧子さんは、美味しいものやお酒に目がなく、いつもお供え物を美味しそうにいただきますが、田嶋さんがなんとかしたいと思うような出来事が周りに起こると、人の想いと神様としての理をめんどくさそうに話しつつも、助けようとしてしまうところに親近感を感じました。なんとなく憎めない優しい神様と人とのお話でした。また続編も読んでみたいです。
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他者の生き方や人生の分岐点に、立ち会ったり関与したりするには決意が必要。そのことを忘れないようにしたい。
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横暴な美しい神様が、主人公と半ば強引に契約し、いろいろと取りなす代わりに、社の活気を取り戻すように言いつけられる話。
主人公の周りのひとたちの悩みや抱えてる事情に踏み込んでいく主人公は最後の方ちょっとかっこよかった。
鬼ケ岳くんは一体過去に何があったんだろうというくらい落ち着いていて、番外編とかやらないのかなと思うほど気になります。
いつまでも瀧子さんも幸せだといいな。
消えてしまった瀧子さんの友達は、社を綺麗にして、参拝客を増やしたら戻ってこないかな。瀧子さんの社に移動したらどうでしょう。。
それくらい惜しいなぁと思ってしまいます。
あとはミツバちゃん可愛すぎます。百郎丸も。
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(01)
神の死が一つのモチーフとなり、したがって生や再生といった主題群(*02)が現れてもいる。若い男性の田嶋がこの物語に立ち会っており、一年にも満たない期間の話ではあるが、彼にも少しの成長がみられる。
主な神は、龍神のようでもあり、元々は滝に関係していた信仰があった神社に棲み、瀧子と女性の名称で呼ばれ、やや男まさりの女に擬人化されている。田嶋と瀧子の交流を軸として、周囲には若い男女や、数柱の神たち、そして老人や子どもも登場し、物語に絡みついていく。酒、饅頭、コロッケ、電話といった現代的な小物を配し、病院、学校、公園といった近代的な施設を舞台にしながらも、神社や商店街、蝉の声などの郷愁を誘う風景にも包まれている。
(02)
神は人間の想いによって想像され、創造されるものとする設定があり、人間がその聖域も含めて維持管理をすることで生きながらえるという縛りが提示される。また、神無月については、例の出雲の云々の説明がありながら、神々のアニュアルな総会として戯画化されている。こうした宗教観の中に、人間の生死が対置され、神の力の及ぶものと及ばないものという分別があり、経済的な浮沈や仏教的な世界観と互いに相対化して描かれてもいる。田嶋の恋愛らしきものも薄くはあるが、それよりも個別性としての人間や、多様な個への等しい愛情を普遍化しようという意志が感じられ、したがって性への欲望や食への執着は淡白にも思える。
そしてそのような欲望を実現するために神があるわけではないことは、登場する人物らによって明確に主張されている。