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池上さんがTVで紹介していた方、共同通信社の石井暁さんが著者。陸軍中野学校は、大日本帝国陸軍の諜報や防諜に関する教育や訓練を目的とした教育機関&情報機関だったが、そのDNAを引き継いだ組織が、現自衛隊にも存在するという。もしも本当であれば、文民統制(=シビリアンコントロール)という視点から許されるものではない。共同通信より記事が発表されると、その存在は国会でも議論されたが、政権としては存在は否定している。本当に存在するかどうかは分からないが、満州事変を引き起こした関東軍の独走を想像してしまい、怖い気持ちになる。
石井さんはいまでも取材を続けているようだが、特定秘密保護法が成立してしまった今は、かなり厳しい状況ではないかと推察する。ただ、メディアとしての意地というか、良心というか、そんなことを感じた本だった。
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安倍晋三総理大臣は改憲による自衛隊の国家武力としての地位確立を目指している。
・国家権力の抑止力となる憲法を政府が変えようとしていること
・特定秘密保護法という国民の監視を政府が拒む法案を通したこと
など、旧日本軍が辿った戦争への暴走を最悪のケースでは再現しかねない危険な現状において、さらに総理大臣や防衛相にも秘密裏に行動する部隊(別班)が存在し、シビリアンコントロールがすでに破たんしつつあるという警鐘を鳴らす内容。
しかしながら、半分以上は取材の苦労話で読むのが苦痛になってしまった。
もっと掘り下げて欲しいテーマだっただけに、残念で仕方ない。
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情報源の秘匿の要請などから難しい話とはいえ、物証を示さず、匿名証言と推測だけで組み立てられているため、眉唾の域を出ない。
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自衛隊に存在する、総理大臣や防衛相にも知られていない、闇の諜報組織「別班」についての本。
組織云々より、その存在について記事にするまでの取材記といった感じでした。
著者は文民統制を受けない組織であることに、危機感を募らせてましたし、第二次世界大戦時の旧陸軍の暴走からも、その懸念はもっともだと思います。
しかし、組織を明るみに出してしまったら潰れてしまい「一度潰してしまったら二度とできない」組織であることを考えると、防衛省の知らぬ存ぜぬも致し方ないとも思います。
きつい諜報任務をこなしても、存在しない組織であるがゆえに、個人はもちろん組織にもなんの勲しも無いのが、使う方にも使われる方にも辛いことだと思うので、存在だけは正式な組織として情報が公開される事を望みます。
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共同通信のスクープに至流までの取材記の印象。取材上の苦労なども多く産みの苦しみとスクープの達成感に溢れるが、ノンフィクションにも関わらず曖昧なことが多く、残念。
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【244冊目】自衛隊、主に陸自が国内・国外で情報提供者を作り上げて情報収集(ヒューミント)している。その組織は「別班」(本書の中では、MIST(Military Intelligence Specialist Training)やDIT(Defense Intelligence Team)との呼び名も記載されている。)と呼ばれている。本書は、共同通信の記者である筆者がその存在に迫る過程を書いたルポルタージュ。
筆者は「別班」の存在に否定的。自衛官は文民統制の下に置かれなければいけないが、「別班」の活動は総理や防衛大臣にも報告されてこなかったとのこと。特定秘密保護法案が成立すれば(2013年成立)、「別班」の活動はさらに納税者の知り得ないところに追いやられるのではないか、文民統制から遠ざかっていくのではないか、というのが筆者の危惧。
その他、興味深い点は下記のとおり。ただ、どこまで本当か分からないし、現在もこれが当てはまるのかは分からないけれど。
(1) 「別班」の活動資金は豊富。その一部は、米軍(キャンプ座間内の第500部隊?)から拠出されている。
(2) 2001年頃から、退役自衛官による「別班」暴露の本がしばしば出版されている
(3) 「別班」は、戦前の陸軍中野学校の系譜を継いでいる
(4) 特殊作戦群が海外展開する際に、「別班」も同時展開させ、一体的に運用する構想があった
(5) かつては、旧ソ連・中国・韓国に海外拠点があったが、現在は、ロシア・韓国・東欧の国辺りに海外拠点がある
(6) 海外拠点の「別班」は、民間人に身分を偽装している(公務員の身分は維持しつつ、自衛官からは退役しているという記述もあったかも。)
どこまで本当か分からないが、自衛隊は電波情報を扱う部署もあるはずで、それに加えてヒューミントまでやるとは、なかなか欲張りなのね…
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あったとしてもおかしくは無いよな的な話なので、別段違和感なく読み進めたが後半の、公にするまでの過程の下りが長ったらしく、話全体をつまらなくさせていたが、感想を書いて思い返せばその様に、煙に巻くような流れにしなくてはならない様な話だったんだろうなと、変なところに感心してしまった。
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秘密組織について知ることができる、と思いきやほぼ取材苦労話だったのには辟易した。この本は、ジャーナリストを目指している人が読むと為になるのかもしれない。ただ、それを筆者が狙っているのならタイトルは変更すべきだろう(もっとも、タイトルは筆者の自由にならないと聞いたことがある。)
読んでよかったという感覚はない。
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陸軍中野学校のイズムを引き継ぐ、闇のスパイ組織が未だに自衛隊の中に現存している、という話を共同通信のライター(著者)が暴いていく。(本作はその経緯のドキュメンタリーでもある)
完全な闇組織であり、総理大臣も、防衛省長官も認識していないという意味で、完全にシビリアンコントロールを逸脱する上に、別班が収集した情報も出所不明扱いになるため信憑性がなくなんの役にも立たないという。完全なる暴走状態。
日本は公式に、真面目にスパイ組織(インテリジェンス)を作ったほうが良いのでは。
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別班:陸幕の情報部に設けられた対外情報活動班 をレポートしたのが本書です。
実際にあるのかどうかはわかりませんが、海外邦人の保護、脱出、敵地潜入、攻撃対象の特定など、安全保障上の組織存在のニーズはあると思います。ただ法的に保障されていないだけ、シビリアンコントロールの支配下にはないことが本書の骨子です。
筆者の執拗な取材の中から、浮かび上がっていく不気味な組織といった印象をうけました。
その対象は、ロシア、中国、朝鮮(含む韓国)であり、海外に拠点を設けている。
シビリアンコントロールの外にあり、防衛相、首相にもレポートされていない。
血税を使われているにもかかわらず、入手した情報については、非合法であるために、日本の政策に反映されていない。
別班の長は、中野学校などの流れを汲み、小平学校心理戦防護課程出身者の幹部で占められている。
海外での邦人救出などを意図する特殊作戦群という精鋭部隊を海外で展開するために情報収集するために、別班を一体運用しようと検討されていた。
著者の石井氏、および、所属していた共同通信が、この”事実”を発表する前に、防衛庁に4日前に事前通知をしていたことには驚きました。
その意図は海外の別班のメンバーを国内へ保護する時間を確保するため。
このことが逆に、別班の存在を示唆しているようにも感じられました。
別班のメンバーは、情報のプロとして、各省庁のメンバーとして派遣されていて、何かあった場合のために、公務員としての身分保障がされている。
陸だけなく、海にも、空にも同様の組織はあるとのこと、そしてそれらは、米軍の施設内にあって米軍とは緊密な関係という。
ひょっとして、米軍の下部組織としても、活動しているため、日本の国策には組み入れられず、独自の動きをしているのではと、疑ってしまいます。
・別班は三島由紀夫の「盾の会」と通じていた
・ムサシ機関=小金井機関、背後に日米軍事情報特別訓練の協定等、米軍とも密接な関係がある
・小平学校の校長ですら入れない部屋が小平にはある。
・防諜の対象が、ロシア、中国、朝鮮に集中していて、CISに向けられている
・統合幕僚長や、情報本部長にはレポートされていたが、副幕僚長や、情報課長にはレポートされていない。なぜなら、公表されたときに組織全体を崩壊を防ぐため、サブが生き残れるようにしている。
・三矢研究:朝鮮有事の際のシミュレーションの現代版が、特殊作戦群との一体運用。PKO派遣などでの最悪のシナリオを自衛隊としては用意する必要があった
目次は以下です。
はじめに
第1章 別班の輪郭
第2章 別班の掟
第3章 最高幹部経験者の告白
第4章 自衛隊制服組の独走
おわりに
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自衛隊の別班と呼ばれる闇の情報組織について追った記者の話。
組織そのものの説明より、取材の経緯の方が多く、若干中だるみ感はある。
記者によると、別班は大臣も知らない所で情報収集している文民統制がきいていない組織だという。
もしこのような組織が本当にあるのだとすれば、文中で佐藤氏が言う通り、政策決定に生かされないような情報を集める自己満の組織でしかない気がするし、存在意義が謎である。
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●いやほんとにこんな隠れた組織があるのかという疑念は尽きないが、まあ軍事組織とか国にはありがちなのかとも思ったり…
●とはいえ、CIAみたいな公然の組織にしてベールを隠す方がまだ健全な在り方のような気はする。何より従事する職員が気の毒すぎる。ある意味性善説で成り立っている組織だ。
●非公然ならそこから上げられる情報も活かしにくいという意見は最もだし、やはり改善が必要だろう。
●非公然ながら、ここまで取材できたということは、それだけ内情を漏らす内部告発者がいたわけで、そんなにバンバン内部告発が出るのはやはりそもそも組織として危ういと言わざるをえない。
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1、ドラマ「VIVANT」を観てるなら、なお理解が深まる。
2、別班は海外で情報活動をしているか、否かが争点。
3、内容が内容なだけに重苦しさが読む前はあるが、凄く読みやすく、テンポも良い。普通に面白い
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どこの国でも秘密情報を収集する組織がある。私の知る限りでも米国のCIA、韓国中央情報局、ロシアのKGB、日本の内調(内閣調査室)などである。
しかし、このたび石井暁氏の取材による「別班」なる
自衛隊の非公然闇組織が存在することを知った。
軍事組織の闇部隊であるから、その存在やオペレーションの詳細が総理大臣や防衛大臣にすら知らされていないという。完全に文民統制を逸脱した憲法違反の存在である。しかし、権力側はその存在を完全否定しているので、「別班」なるものは公的には存在しないことになる。秘密文書であれ、秘密情報であれ、権力にとってその存在が明るみになることが不都合な場合、権力は黒を白と言いくるめても隠蔽・改竄・捏造を繰り返す。許し難いことであるが、それが権力の本質である。本書は、身の危険を犯して地道な取材を重ね、我々に自衛隊の闇組織を明らかにしてくれた石井暁というジャーナリストに敬意を表する。
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vivantで話題になっていたので、積ん読から引っ張り出した。
取材ルポをまとめた内容。別班の歴史とかはわかるものの、実際にどんなことをしているかはまだまだ見えない。
歴史的には陸軍中野学校の流れを汲んでいる点とか特殊作戦群のはなしとかも出てくるので、そういうの好きな人は面白いかも。