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事実なのか陰謀論の類なのか、つかみどころが全く見えてこない様々な証言は確たるファクトに辿り着けぬ不毛な取材に終わるかと思いきや、当該記事が公表されてからの防衛大臣や陸上幕僚長との質疑応答が展開される終盤が面白い。そこからさらにメスを入れていく調査報道を期待する。国防という果てなき自尊心へ向かう横暴はもはや和平を目的としていないのではないか、疑念だけが募るばかりである。
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自衛隊に存在するとされるヒューミント組織、別班を丹念に追った共同通信の石井記者の取材記録
。
陸軍中野学校から受け継いだ日本のヒューミント組織、別班・青桐と言われるチームについての過去の文献調査やヒアリングから始まり、それが今現存するのか、どういう活動をしているかを取材によって迫っていく。
現場関係者の証言から朧げな輪郭を手繰り寄せ、最後は元陸上幕僚長や元情報本部長から決定的な証言をえる。記事化の努力の中、身の危険を知らせる内部協力者からの連絡も来る。そうした中で、現役の事務次官や陸上幕僚長に仁義を切った上で記事を発表。しかし、政府の答弁は過去も今も存在しないという堅いガードにあってしまう。
個人的には国家の耳としてヒューミント能力は必要だと思う(自衛隊が持つべきかは別の議論)。しかしながら、具体的活動内容を秘匿することは当然とは言え、その存在そのものが否定されることはあってはならないと思う。他の行政機能と同様に国民の税金を持って運営される以上、存在はきちんと政治や予算によるコントロールを受けるべきであり、武力組織である自衛隊に置くのであれば、当然に文民統制の下に置かれるべきものである。また、本書にもあるように非公然組織はその構成員の精神をも蝕んでしまう。文民統制を前提として、政治の議論を経てヒューミント組織を作り、別班なる存在が本当にあるのであれば、それを解体してあらたな機構として生まれ変わらせるのが適切だろうと思う。
思想信条の面では作者と隔たりを感じるが、5年以上に渡る、孤独かつ危険な取材活動の上で、問題点を鋭く指摘する調査報道を行った作者の努力にただただ敬服するばかりである。
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内容が内容なのでぼかして書かれてる部分があるのは否めないが、それでも懸命で地道な取材を微かながらしれなと思う。日本はまだ「大日本帝国」の亡霊に憑かれているのだと思うと恐ろしい。
「茶番」のような無くてもいい情報を得るために税金が使われているなら、国民の立場から是非とも無くしてほしい組織だと思った。
ドラマで見る分はワクワクするが実在し、存在を隠され、そのくせ税金はしっかり使っているのは話が別。現実ではしっかりしてほしいと思う。
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話題のドラマ「VIVANT」の参考文献。自衛隊の秘密組織「別班」の存在を巡る、記者と防衛省の攻防。まさに、命をかけて取材である。読み応えあるノンフィクションだ。
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時間をかけ、難しい素材に挑んだノンフィクション。
自衛隊の諜報防諜機関、「別班」。その任務の特殊性から存在すら公式に認められなかった組織。
首相や防衛大臣すらその存在を知らず、しかも海外においても諜報防諜活動をしている。
同種の組織は各国にあるが、日本の場合、「シビリアンコントロール」原則に明らかに反する。
報道できる質量充分な情報をどのように集めるのか。現役の自衛官に聞いても、OBに聞いても、「知らない」「答えられない」。
最後、「報道するときは48時間前に報せてくれ。あなたを死なせないようにするため、護衛をつけるから」とまで言われた上での報道となった。
労作。
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取材がんばりました!というだけの本。もう少し解像度高い情報があるのだと思っていたが、期待外れ。同じ話が使いまわされていたり、記者会見や新聞記事コピペで枚数を稼いでいるが、それでも200ページに至らず。速攻メルカリ案件。
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すみません、学がないのか私には事の重大さが分かりませんでした。
ただ全く自分事と捉えていなかった特定秘密保護法の危うさは少しだけ分かった気がしました。一方で適法なヒューミント部隊は備えるべきとも考えます。
なお、私は例のドラマは拝見しておらず、全くの純粋な興味から本書を読みました。
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自衛隊別班についての取材内容が分かりやすくまとめられており、読みやすかった。取材から報道までがストーリー仕立てに描かれており、緊迫感が伝わってきて面白かった。別班になった人のその後については恐ろしい内容だった。
取材は会食を絡めてが多かったようだが、取材される側からすると、気持ち良く食べたり、飲んだりしてる時に、知られたくない事を聞かれるのは嫌だろうなぁ。「今日の話はなかったことに」って相手から言われても、そう言われた事自体を本に書いちゃったり。相手が質問に答えなかったとしても「おそらくこういうことではないだろうか」という感じに話を進めたり。その結果、命を狙われたりもしてるけど、それでも書くというところには信念の強さを感じた。
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まさに、記者生命、だけではなくて、命をかけた取材って感じで、緊張感を持って読んだ。
意を決して記事を出した際も、なかなか、マスコミでは大きく報じられなかったし、目立った続報もなかったけど、、、
自衛官の中に、身分の保証も怪しい、首相や防衛大臣も知らない仕事をしている人がいるというのは、かなり不味いね。
他の国では当たり前に行われている諜報活動なんだから、外務省でも、警察庁でも、防衛省でも良いけれども、胸を張ってやれば良いと思う。
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今、テレビドラマで話題の別班。この組織は、実在する。帝国陸軍の中野学校の流れをくむ。
陸上自衛隊の非公然の秘密情報部隊で、豊富な軍資金をもちながらも、総理大臣、防衛大臣にも内緒で秘密諜報活動を行っている。
驚くべき事は、本当に別班はあるということだ。
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例のドラマを観てこの本に行き着きました。
別班がどういう人たちなのか、どんな生活をきているのか等が書かれていると思い読みましたが、その辺の情報は少なく、個人的には期待はずれでした。
また、漢字だらけの軍事用語等は素人の私には読みづらく何度も途中で挫けそうになりました。
その辺りも含めて知りたい方には良いのかもしれません。
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別班について、徹底的に取材された本。
やたらと難しく書かれているので時間はかかるが、別班について書かれていることだけ読めば、誰もがそれなりに充実できる。
ただ、ここまで労力をかけたのだから、全文読むのが礼儀な気がして全てのページに目を通した。
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T B S のドラマV I V A N T を見て関心を持って読んだ。別班員になるための面接時の口頭試験問題はドラマと重なり興味深かった。自衛隊にこのような組織が秘密裏にあったとしても国際情勢からすればある意味理解できなくもない。今の自衛隊は旧陸軍とつながっているんだなと感じさせられた。加えてスパイ活動をしなければならないような国際情勢を憂える。よく取材されていて、考えさせられる。お薦めです。
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VIVANTからこの本に辿り着いた。まるで映画の世界。フィクションを読んでいるのかという錯覚を得た。謎に迫っていく鬼気迫る様子がこちらにも伝わってきた。「ない」とされるものを「ある」と証明することは非常に困難であることは想像に難くない。石井氏には、さらに突っ込んだ取材を期待したい。
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別班についての情報と経緯などを取材を通して書かれた、一種のドキュメンタリーを追体験させられた作品でした。
別班の真実のみについて言及するのであれば、最後まですっきりするものではなく、フィクションとノンフィクションの狭間を行き来する感じを否めません。しかし、取材という見地から見れば、別班の在り方や組織、職制、そして情報収集の心得など、色々と知ることができました。
謎は謎のまま、別班情報を得るというスタンスで読めばそれなりに楽しめる作品だと思います。
個人的には得るものがあったので、星四としました。