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紙の本
自由について多様な切り口から語るのだが
2019/01/20 20:58
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
新書にして400ページ近い分量。最近のはやりなのか。「自由」とは何かについて様々な角度からの省察が連なっている。最初の1章は社会的自由Libertyを圧迫する情報化社会、その究極の束縛の姿である強制収容所でLibertyの剥奪にあっても、心の自由Freedomは奪われなかったと論じる。次章では戦後資本主義社会の勝利と、その後の自由の「収縮」と、重要な「平等」の概念について、共産主義社会の経験者からの批判も取り上げて比較する。第3章は古代ギリシャでの奴隷制の容認、「競争(アゴーン)」の概念について、そして近代の奴隷制を引きずっていたアメリカの矛盾に話題が及ぶ。少なくともここまでは良い内容だった。
4~6章までこの著者が心を奪われている「歴史」について、江戸時代の水戸学の果たす役割、次には先の大戦(開戦に至った理由について感情的に)、近代の欧米中心主義への批判が中心議題のようになってくるので、この部分が前の3章から浮き上がっているようで違和感を感じた。著者もここで「自由」も絡めて論じてはいるのだが、かこつけ感は否めない。終章ルター=エラスムス論争で幾分盛り返した感はあるものの、やはり「あなたは自由か」という主題に絞った方が良かったように思う。それぞれの内容はそれなりのものだけにまとまりを欠くのが残念。もちろんつまらない内容だとは全然思わない。
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