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歴史上の偉人、有能なリーダー、雄弁家、色んな角度からチャーチルを知れる一冊。端的にその時代背景などが解説されており、チャーチルの信念、思考や悩みなどに近付くことを可能にしてくれている。
彼の信念はわかりやすく、自由な偉大な民主主義国家であるイギリス、さらには人類の平和と発展であったと思う。ヒトラーやムッソリーニ、大日本帝国が非難されているように、独裁国家による民衆の抑圧を許すことができない。今でこそ日本が西側諸国と同様に民主主義国家になっているからチャーチルがある意味英雄としてうつるけれども、旧ソ連の社会主義しか知らない人からしたらどう見えるのか?正義なんてのは常に相対的なもので、戦勝国の主義が優先されるだけで正しいか間違っているかなんて誰にもわからない。その中でもチャーチルに学ぶべきところは、民主主義の正しさを手放しに信じるのではなく、歴史に裏打ちされた最も正しいと考えられるシステムだと考えているところにある。彼は常に歴史から学び、その教訓から常に未来を見据えていた。とりわけ、未来に対する洞察力はかなり高いと思う。例えば第二次世界大戦が始まる前から、第二次世界大戦さらにはおそらくは広島長崎への原爆を予期するような洞察がされていたし、科学技術が人間を「相対的に小さくする」といった現代のITやAI技術の発展によるシンギュラリティ的な現象を予期していた。さらに、彼ほど雄弁に力強く論理的に政策や理念を述べることができる政治家が今いるだろうか?チャーチルも言っているが、ただの詭弁というかうわついた言葉ではなく、感情や思考や理念の詰まった言葉を、わかりやすく魅力的に伝えるというのはなかなか難しい。彼がかなり読書好きといったところから、こうした力が養われたのだろうか?
要するに、リーダーにとって大事なことは歴史を学び、本を読もう!