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鴻上尚史の流石が光る。各項目ごとのエッセイもだが、セレクトと構成セットリストが完全にいい意味で作為的でうならされる。
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詩はハードルが高いと感じていましたが、他の本で大好きだった鴻上さんのフィルターが入った谷川さんの詩集本ということで気になり、勢いで購入しました。結果、詩の味わい方を少しだけでも掴めた心地がして、とても満足です。「コーダ」は読みながら涙が溢れました。
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演出家の鴻上尚史さんが、谷川俊太郎さんの詩をテーマごとに紹介していく一冊。
詩は本当は私たちの身近にあるもので、日々の言葉にならない思いをお腹の底にストンと落としてくれるもの。
そういう観点から、鴻上さんが谷川医院の受付として、心の症状にあわせて薬という名の詩を処方してくれる本。家庭薬局、民間医療、詩をそんな風に取り上げるなんて、新鮮で面白くて、好き。そして、たしかに詩は薬になると思った。
もうだめだと思った時に、聴く曲。その詩に力をもらう、そんな経験は結構ある。詩に馴染みのない人もそんな風に詩を捉えてもらえたら、と語る鴻上さんの言葉が優しくてわかりやすい。
症状の項目は
さみしくてたまらなくなったら
毎日、しかめっつらだけになったら
愛されなかったら
愛されたら
大切な人をなくしたら
家族に疲れたら
戦争なんて起こってほしくないと思ったら
歳を重ねることが悲しくなったら
などなど
それぞれに5.6つの詩が紹介され、鴻上さんの短いエッセイがつづく。どちらも胸にしみる。
谷川さんの詩はいつ読んでもどうして、ピターッと、私の気持ち!これ!とくるものがあるのだろう。そして、読後が暗くならない。
鴻上さん曰く、どんなに悲しんでも地獄でも谷川さんはコミュニケーションの手を伸ばしているように感じる。あなたを理解したい、またはこんな風に思ってしまう自分を理解したい、という思いです。と。その先にかすかな希望があると。
折に触れて服用したい処方箋の一冊。
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詩の処方箋的なセレクトとあって、上から目線だと嫌だなと思いつつ読み始めたけれど、鴻上尚史氏の詩へのリスペクトがそこここに感じられてよかった。
冒頭の、ダイアナ妃が亡くなった時に、イギリスの人たちは献花とともに詩を添えるという話しにまんまと引き込まれ、歳後まで読んでしまった。
有名な詩の合間に、こんな詩もあったんだと思わせる作品に出会えるのがアンソロジーの魅力、素敵なラインナップだった(当たり前か!谷川俊太郎だぞ)
ラストの鴻上氏のことばにも共感。
長編を読む、ライブに行く、映画を見終えたような充実感をたったひとつの詩から、または詩の1行から得ることができる、なんて素敵なことなんでしょう✨✨
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ケストナーの作品に「人生処方集」という作品があるそうです。自作の詩に対して「私生活の治療にささげられたもの」として分類した詩集だそうです。さまざまな症例によってたくさんの自作の詩を分類されているそうです(この作品も気になる!)
それを谷川俊太郎さんの詩で鴻上尚史さんがおこなった作品です。
特定の症例の項目から選んで谷川さんの詩にふれてもよし、冒頭から谷川さんの詩の世界に入るもよし。
私はふつうに前から読んで読了しました。
1、子供の時に読んだ、教わった詩は意外に自分でおぼえているものだ。
2、詩のたった1行、ひとつの言葉でこんなにも様々なものー小石ひとつから目に見えない心のうちから宇宙への広がりまでを表せるものなのだ。
3、日本語にこんな美しい言葉があるのか。
と次から次へと驚きが出てきました。谷川さんの詩はツボに一撃する針のよう。
そして鴻上尚史さんは私にとって大変親切な人です。症例に対して親切にナビゲートして優しく説明を入れてくれるのです。生きるパワーが欲しくなったらの項目が特に心に残りました。
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ケストナーという詩人の「人生処方詩集」なるものがあるそうで、それの谷川俊太郎版。
おそらく、自分の中でも生涯大切にしたい本の予感。
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詩は、辛いときや悲しいときに心の薬になってくれる。という考えで、鴻上尚史さんが谷川俊太郎さんの詩をお薬代わりに処方してくれるというコンセプト。
とてもいい。
鴻上さんのエッセイも面白かった。
「はじめに」にケストナーが編纂した詩集「人生処方詩集」という同じコンセプトの本が紹介されていました。
こっちも読みたくなりました
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2018年刊。
帯にはこう記されています。
鴻上尚史が選ぶ谷川俊太郎の詩。
「さみしくてたまらなくなったら」
「毎日しかめっつらだらけになったら」
「家族に疲れたら」
「生きるパワーがほしくなったら」
・・・人生の折々に読みたい谷川俊太郎の詩を、劇作家・鴻上尚史がセレクトし、エッセイを添えた、谷川&鴻上版「人生処方詩集」。
他の谷川さんの文庫のあとがきに、どなたかが、書いていらっしゃいましたが、谷川さんの詩集の所有率は日本人においては、かなり高いだろうということでした。
でも、まだ谷川さんの詩を教科書やCMではみたことがあるけれど、本を持っていない方がいたら、最初に持つ一冊にこの本はかなりお勧めです。
鴻上さんはエッセーの中で、
「詩の言葉で自分の生命力の器にエネルギーを充填させるのは、とても効率がいい有効な方法です。長編を一冊読む時間の何十分、何百分の一の時間で、小説がくれるのと同じか、場合によってはそれ以上のエネルギーを満たすことができるのです。(中略)なんて素敵なことなのでしょう」とおっしゃっています。
私はこの本にも載っている「泣く」という詩に他の選集で読んで何度も惹かれたのですが、これって、この本の分類によると失恋の詩だったのですね。この本を読んでわかりました。でも何度読んでもよいと思います。
他にも好きな詩はたくさんあります。
「ことば」(すごく懐かしい)
「しあわせ」
「生きる」
などははずせないです。
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20190407 この二人の組み合わせなら間違いは無いと思って読んだ。意見はあるかも知れないがシチュエーションと詩について検索して読んでみると詞は小説とは確かに違う。良い詩を探すきっかけになる本だと思う。
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20億光年の孤独(pp.26-27)
万有引力とは
引き合う孤独の力である
宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う
宇宙はどんどん膨らんでゆく
それ故みんなは不安である
20億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした
どんなに愛しても、どんなに焦がれても、どんなにもとめても、どんなに好きでも、どうにもならない。どんなに頼んでも、願っても、すがっても、ひざまずいても、号泣しても、愛してもらない。
かなわない恋愛は、間違いなくどうしようもないことです。でも、恋愛によって、この世の中にはどうしようもないことがある、と言うことを知るのは、ましなことなんじゃないかと僕は思っているのです。
交通事故でも天災でも病気でも、ましてテロや戦争でもなく、世の中にはどうしようもないことがあるということを、恋愛で知ることは、ある種の救いなんじゃないのか。
救いのひとつは、どうしようもないことの原因が自分にあることです。天災も交通事故も病気も戦争もテロも、自分が原因ではありません。愛しい人が酔っぱらい運転に轢かれることも、地震が起こることも、ガンを宣告されることも、あなたの発言や行動と何の関係もありません。病気は少しは関係があるかもしれませんが、タバコを吸っている人が全員、例外なくガンにかかるわけではないでしょうから、因果関係は完全なイコールではありません。
自分とまったく関係も責任も原因もないものに苦しめられることほど、理不尽で不条理なことはないのです。
けれど、どうしようもない恋愛はあなたと完全に関係しています。あなたが誰かを好きになったことが、すべての始まりです。そして、その愛が受け入れられなくて、愛されなくて、あなたは苦しむのです。どうしようもなさを作ったのはあなたです。他のだれでも何者でもない、原因はあなたなのです。(pp.77-78)
大人の時間(p.130)
子供は1週間たてば
1週間ぶん利口になる
子供は1週間のうちに
新しいことばを50おぼえる
子供は1週間で
自分を変えることができる
大人は1週間たっても
もとのまま
大人は1週間のあいだ
同じ週刊誌をひっくり返し
大人は1週間かかって
子供を叱ることができるだけ
結婚生活を長く続けていると、どんなに黙っていても、同じテーブルで食事をしていることの意味に気付きます。
黙々と食事をしていた2人は、何の会話もなくても、同じテーブルで食事していたのです。その一点で、2人は依然として夫婦なのです。関係が壊れた夫婦は、黙るどころか同じテーブルで一緒には食事しないのです。それぞれがひとりっきりで別々に食事をするのです。そう考えると、黙々と食事をしていた夫婦の風景が違う印象になりました。(pp.136-137)
「どうして谷川さんは、小学生の気持ちが簡単に分かるんですか?」とお聞きしました。小学生が主人公の詩がたくさんあって、それがどれも違和感なく素敵だったからです。
谷川さんは、不思議そうな顔をして「だって、年齢って年輪みたいなものでし���う。いつでも、どの歳にも戻れるでしょう」とお答えになりました。
一直線に進んで行って戻れないものが年齢ではなく、木の年輪のようにひとつひとつ重ねていくものだと言うのです。辿ろうと思ったら、いつでも、年輪の中心部、子ども時代に戻ることができる。(p.178)
木を見ると
木はその梢で私に空をさし示す
木を見ると
木はその落葉で私に大地を教える
木を見ると
木から世界がほぐれてくる
木は伐られる
木は削られる
木は刻まれる
木は塗られる
人間の手が触れれば触れるほど
木はかたくなに木になってゆく
人々はいくつものちがった名を木に与え
それなのに
木はひとつも言葉をもっていない
けれど木が微風にさやぐ時
国々で人々はただひとつの音に耳をすます
ただひとつの世界に耳をすます(pp.190-191)
手の中の一個のおむすびは
地球のように
重い
(おべんとうの歌、p.218)
絶望とは
裸の生の現実に傷つくこと
世界が錯綜する欲望の網の目に
囚われていると納得すること
絶望からしか
本当の現実は見えない
本当の希望は生まれない
君はいま出発点に立っている(p.224)
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そんなとき隣に詩がいます
著作者:谷川俊太郎
大和書房
谷川俊太郎氏と、大好きな劇作家の鴻上尚史氏の共著。私にとってはとっても贅沢な一冊でした。
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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そのときどきに合った詩が見つけられると思います
定期的に読んで感じて『処方』されたい_φ(・_・
2021/02/22 ★4.0
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ただ詩だけより、鴻上さんの解説(エッセイ)があって、より深まったのと、そのエッセイも面白かった。
詩は、できたら の
できたら
からだの枯れるときは
魂の実るとき
のフレーズがぐっときた
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「さみしくてたまらなくなったら」「生きるパワーが欲しくなったら」などテーマ別に鴻上尚史さんが選んだ谷川俊太郎の詩との鴻上尚史さんのエッセーが綴られています。
「戦争なんて起こってほしくないと思ったら」で選ばれた詩の中に『泣声』があります。
この詩は出産したばかりのお母さん向けの詩ですが、
あなたの耳まではとどかないのだが
父も母も失ったあかんぼの
裸の尻が触れているその大地は
いまあなたが立っている大地である
という一節があります。
世の中に不条理なことが起きると詩はさらに心に深く刺さり、自分自身の在り方を考えさせてくれます。
911.5
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谷川俊太郎さんの本が山ほど詰まった、札幌の俊カフェさんにて読了。
鴻上尚史さんのエッセイで、谷川俊太郎さんの詩への理解が俄然進むし、鴻上尚史さんの話そのものもとても面白い。
谷川俊太郎さん入門に勧めたい。
普段、詩より小説やエッセイが好きだったり、演劇を観たりする人には特におすすめ。