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中々に良いぶちかまし
漫画の感想書きとしちゃ、表現が安易かな、と思わんでもないが、ここは使っておくべきかな、と
これまで、それなりの数の食系漫画を読んで、経験値を積み、多少の良さじゃ、びくともしない粘り気のある足腰を作ってきたつもりだったが、また一つ、私を土俵際まで一気に追い込む作品が世に出た
『僕は君を太らせたい!』を読んだので、しばらくは、ガツンッと来る作品には巡り合えないかな、と思っていたが、竹書房さん、とんでもない重量級を出してきてくれた
これが、普通に力士が、角界のあるあるネタを披露しつつ、ライバル力士と激闘を繰り広げ、勝利を祝う、もしくは、惜敗から立ち直るべく、ちゃんこを楽しむだけの作品だったなら、ありきたりなので、私も感想は書かなかった
横綱になれるだけの実力がある日本人力士が、いきなり、異世界に召喚され、モンスターと相撲を取り、現地の食材を使って、ちゃんこを作り、皆を笑顔にする、このストーリー展開は、結構、新しい感じがする
異世界モノ、その流行に乗っかっているだけだろ、って厳しい意見もあるだろう
だけど、流行をチェックせず、読み手が読みたいものに応えず、自分だけが楽しい、と思っているテーマで小説や漫画を作っても、思った通りの評価が貰えるとは限らない
妥協もしくは迎合って表現は良くないかもしれないけど、読み手の心を掴むキッカケ、廻しを取ったなら、今度は自力で強く掴み直して、土を付けてやる、それぐらいの考えで挑んでも良いはずだ
実際、この『異世界ちゃんこ 横綱目前に召喚されたんだが』は、粗こそあるにしろ、十分に面白い。少なくとも、私の漫画読みとしての胃は、七割ほど満たされ、今後の味の向上と変化に期待をしている
登場する料理は、材料こそ奇抜だが、実在の食材でも再現できるものなので、ある意味、安心して読めるはずだ
また、モンスターを相撲の技で倒すってアクション性にも、積極性が感じられて、個人的に評価が高い
また、当然と言えば当然であるが、主人公・高良山の筋肉が実に好い
林先生が、常に、力士の体つきをしっかりと観察し、どこの筋肉がどう動くか、どの筋肉に力を入れれば技がカッコ良く見えるか、を考え、努力しているのが伝わってくる
異世界のモンスターが出てくるので、さすがに、実写化は難しいだろうが、その分、アニメになって欲しい、と強く思う
『火ノ丸相撲』を作ったアニメ制作会社のスタッフさんなら、この作品の魅力も、アニメって形で存分に引き出してくれるはずだ
今後、どんなモンスターが登場するのか、高良山はその強敵にどう立ち向かうのか、そして、倒したモンスターをどう調理して、絶品のちゃんこを作るのか、楽しみだ
どの回、と言うか、取り組みも興奮できる。個人的に、一推しなのは、サンドマン戦だ
サンドマン自体が強敵と言うのもあるが、高良山一人の強さで勝った訳じゃなく、全員が、各々に出来る事を真剣に行ったからこそ、つまり、チームワークの勝利ってのはグッと来るものだ
きっと、今後、サンドマン以上に厄介なモンスターも出てくるだろうが、高良山たちなら、きっと、大丈夫だ
この台詞を引用に選んだのは、その通りだな、と納得できたので
上に立つ者だからこそ、まずは、自分の体を大事にしなければいけない
下の者を成長させる為とは言え、頑張り過ぎて、倒れてしまったら、下の者は育てられない。下の者たちは、上司が倒れたのは、自分達の所為だ、と責任を感じてしまうかも知れない
自分が元気でいる努力をしない人には、誰もついて来ちゃくれないぞ
「年長者が、下を助けるのは立派だが、自分を二の次にしていると、いつか、共倒れるぞ」(by高良山)