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平成くんが、著者の古市憲寿さんと重なってしまい、なんだか妙な気分だった。あの空気を読まない毒舌キャラの社会学者に、こんなに繊細で(ちょっと神経質)、切ない小説を書く才能があることに驚きだった。やっぱり頭のいい人ってなんでも無難にこなせてしまうのだろうか。今時のブランドの名前がいっぱい出てくるのが彼らしいと思った。安楽死が普通に認められる日本社会は、なんだか現実味がありすぎて、著者の社会学の本を全て読んだ自分にとって、若干ノンフィクションを読んでいるような気分にもなった。
あまり期待して読まなかったので、期待よりはよかった。
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読んでいて胸が苦しくなる箇所がいくつかあった。
苦しいのにどんどん読んでしまった。
考え方とか感じ方が根本的に違うだけで、誰も悪くなくてだから辛かった。何かを悪者に出来れば気持ち的に救いがあるのに、誰も何も悪くないから、やり場のない表現できない気持ちだけが宙ぶらりんになってしまった。
マイナスな感想っぽいけど、全然悪い意味じゃない。
自分の語彙力がなくて良さを伝えきれないけど、この作品好きです。
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安楽死が合法化された日本で、安楽死を望む平成くんと彼女愛ちゃんとの物語。さすが社会学者というだけあって、現在の、そして少し先の社会を巧くとらえている。テーマのわりに重い感じなく読めるのは、主人公たちが時間や仕事や生活に余裕のある彼らで、そこら辺りが庶民の私とはかけ離れすぎているから、、なのか。それとも敢えてのファンタジー感なのか。性と愛情を切り離して描いているところとかも面白いけれど、平成くんよりもむしろ愛ちゃんの恋愛感は、なぞ。
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安楽死と平成の終わりがテーマ。
平成に生まれ「平成」と名付けられた平成くんは、平成の終わりに安楽死で死のうと考える。
それを告げられる彼女が主人公。
私は安楽死が認められる世の中を望んでいるのですが、それは「終末期医療」の延長にあるものだけを考えていたんだと気付かされました。
29歳で表舞台で活躍していて、そんな彼との将来を考えていた矢先に突然の安楽死宣言をされるって。
序盤から彼女にどっぷりと感情移入してしまい、苦しくて仕方なくて。
死ぬ権利ってあるのか。
死ぬ権利を止める権利はあるのか。
ここに出てくる「安楽死」は、その文字が表すようなものばかりではなくて。
私が思っていたのは綺麗事なのか。
現実になればどうなるのか。
考えても考えても答えが出ない。
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【気鋭の社会学者、初小説!】安楽死が合法化された現代日本で、平成くんは死ぬことを選んだ――平成という時代と、現代を生き、死ぬことの意味を問い直す意欲作。
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平成の終わりにさしかかる今、ナイスなタイミングで読めた。
グーグルスピーカーとかアプリとかまさに平成を象徴するもので物語が進められていく。
安楽死についても考えさせられた
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古市憲寿さんの作品はだいたい読んで来たが、小説を執筆するイメージはなかった。
だから、出版されたときに本当に驚いた。
そして想像以上に楽しめた。
平成が終わるってなんだろうね。
でもよくよく考えたら平成って区切りがあっても人はきっと変わらず生き続けるよね。
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平成くんとは何者なのか。
安楽死が権利として法的に認められる、こことは違う平成最後の日本で、パートナーに安楽死する意志を固めたことを告げる平成くんの宣言からお話は始まる。
理由をきいても、戸惑うパートナーと同じくよくわからない。
遺された人がどういう思いを抱いて生きていかなくてはいけないかという視点は彼には一切なく、謎は深まるばかり。
彼の生い立ちや、パートナーに黙っていた秘密を知ってもなかなかピンとこないし、平成くんが最終的にとった行動にも共感はできない。
読了後、一番印象に残ったのはテレビ番組に出演した平成くんが言った言葉だった。
「平成というのは昭和のツケを払い続けた時代でした。不良債権処理、隣国との歴史認識問題、巨額の財政赤字、廃炉もままならない原発。平成が向き合ってきた問題は、もとはといえば昭和の失敗に起因しています。昭和を終わらせることが、平成という時代の宿命と言ってもいい。(以下略)」
彼の思考や選択はわからないことだらけだったけれど、この発言には共感しかない。
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直木賞にノミネートということで古市さん初読。
将来はAIが自分の好みの相手になって会話をするようになるのか… 自分が死んだ後にも…
安楽死についてはいいとか悪いとかそんなに簡単なことではない 自分が決めたことでも残された人がどう思うか…
自分で安楽死を選んで実行するが、それは1人では行われず、自殺とはまた違うこと。
病気にならないとなかなか死ねない世の中。色々考えさせられる。
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平成の終わりに書かれた平成ヒストリーかと思いきや、「ひらなり」くんとは!
安楽死について長々と面白おかしく書かれてはいるがそれ以上でもそれ以下でもない。
第160回芥川賞候補作であり、本屋大賞ノミネート作なのだが芥川賞評論委員の言い分に違和感、反論は無い。
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図書館がまた部分的だけど始まったー。嬉しい。その記念すべき一冊目。笑
面白くない訳じゃないけど、男性の小説、かっこつけの小説という感じ。
安楽死という重いテーマのはずなのに、サラッと書かれてるのも今風なのかな、良かった。あんまり重いと読めないし。
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無機質な箱の中にいる様な感覚がちょっと受け入れ
られなかった。
安楽死とゴージャスなブランドやレストランの対比が
わざと虚無感を醸しだす、一つの仕掛けにもなっているのかもしれないが、田中康夫氏のなんとなくクリスタルを
思い出してしまった。
平成君は今どうしているのやら?
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恋愛模様と安楽死についての内容、ただ男女と読み手の生活水準に大差があり、実用品について行けない私。ただ平成くんが令和の時代にも何処かで過ごしてればなと思います。
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平成が終わる。
ほぼ平成を生きてきた日本人にとって、平成とはなんだったのか。
昭和のツケをを払ってきただけに過ぎないのか。
いや、そんなことはない。
夢で思い描いた未来の到来は期待できそうにないけれど、今をほどほどに幸せに生きる。
だから、楽しい今のうちに人生を終わらしておきたいと思っても、まぁそうかなと思うのだ。
平成とともに生まれた平成(ひとなり)くんと同居する私は昭和の大漫画家の娘で、父親が残した遺産で暮らしていける。
彼はコメンテーターとして、脚本家として、評論家として、様々なメディアに発信するマルチキャリアだ。
そんな彼がある日突然、安楽死したいという。
ここは安楽死が合法化された日本。
平成の終わりに重ねて、終わった人間を自覚した平成くんは自らの人生も終わらせたいと告げた。
昭和の中高年が読んでも理解できない。
多分、数十年後に読んでも、今の時代の空気が分からない。
今だからこそ、今の世代だからこそ共感できる。
時代の終わりの空気を閉じ込めた小説だ。
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平成が終わるまでに読むにはうってつけの本でした。
確かに一つの時代が変わり、その変わっていく時代は
「失われた」とか「過去の負債」だとか色々言われているのだけれど、そこには確かな足跡があり、歴史があり、それが残っている、残っていく。
生きている僕らはそれを刻んで、先へと歩んでゆくのだろう。