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日本-ブラジル間・直線ルート極秘開発プロジェクトを描いた文芸賞受賞作。ネットで見ても絶賛に近い評価を受けている作品です。
「地球には灼熱のマグマも無く、ブラジルでは地上から空に向かって重力が働いているらしい。(中略)この作品の『呆気にとられる』ほどの可笑しさを楽しむことといたしましょう。」そんな書評を見て興味を持ちました。
しかし、私は全くダメでした。
三崎亜記さんや栗田有起さんのような突拍子もない設定の作品は大好きなんですけどね。なぜでしょう。
地球の構造や重力などの物理法則を無視するだけでなく、色んなエピソード、例えば広報するあてもなく、プロジェクトの中身を見せてもらえない広報係、そんな広報係に接触する海外の要人やスパイ、そういったもの全て必然性が無く。まあ、それがこの本の特長である「真顔のユーモア」「壮大なホラ話」なんでしょうけど。「なんで??」ばかりに頭が行って、笑えませんでした。やっぱり私は基本理系頭なんですかね。
ちなみに、この本を借りた時に「これは私が読まなきゃいけない本でしょう」と家内にタイトルを見せたら爆笑してました。常々家内が言うのです。「あなたは私が堀った(結婚と言う)深い穴に落ちゃったんだから観念しなさい。」と。
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広報係である主人公が書いた記録というせっていの文章なので、淡々と話が進む
しかし、ところどころ、えっ?と止まってしまう表現が出てきて面白い
その淡々とした感じでの最後がなにより面白い
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地球の裏側(ブラジル)まで穴を掘り、日本とブラジルを行き来出来るようにする壮大な物語。
日本からブラジルに向かおうとした時、途中までは落ちるんだろうけど、途中からはたぶん落ちれなくなるのかな?とか。上に上がらなきゃいけなくなるよね。とか。
どっから上に上がらなきゃいけなくなるんだろう?その境界線は?
そんな疑問に包まれだしたラストであった。
丸い地球に穴を開ける。よくよく考えてみると不思議である。
接待?のため温泉に行ったり、仕事なのにディズニーランドでデートしたり広報係の一夫くんの仕事がとても羨ましかった。
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戦後まもない日本の、ブラジルまで穴を貫通させるプロジェクト。荒唐無稽な設定を、淡々と綴っていく筆致は良かったけれど、最後まで読んでカタルシスはなかった。エンタメではなく、純文学的で、そこがつまらなかった。穴に落ちていく役を志願することが、戦時中の特攻隊の話と重なる。そういうところもあざとさが立ちすぎていると思った。
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誰もが一度は思う、ブラジルまで穴を掘っていけるのかと。そのバカバカしさを真面目に小説にした本書だが、最後の最後までその冗談めかしたトーンは続く。だが、穴を掘っていく過程の所々に散りばめられる実話っぽい挿話や情報。それは戦時中の人間魚雷や戦後の南米からの日系人出稼ぎの話であったり、中国からの研修生やはたまた東日本震災後の実情であったりと、必ずしも明るい話題ではないのだが、これらが事実に裏打ちされているだけに、バカバカしさが度を越さずに現実の範疇にとどまっていそうに思わせてくれる。
それにしてもバカバカしいと思いながら読み進めさせてくれた愛すべき主人公の最後がこれって。いきなり虚無感に突き落とされた。ブラジルに行った主人公は、見事網でキャッチされる、もしくはリオ五輪に現れた安倍総理は本当に穴を通って行った、というバカ話路線をいって欲しかったのか、それともそこは現実的であって然るべきなのかわからない。とにかく、結末がとても悲しく脱力してしまった。
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地球の裏側「ブラジル」まで穴を掘ろう。
という実に荒唐無稽な物語。
戦後すぐ、運輸省の若手官僚・山本清晴は、
新橋の闇市でカストリを飲みながら思いつく。
「底のない穴を空けよう、そしてそれを国の新事業にしよう」。と
山本はその案を翌日、上司に持ちかける。
すると上司の田中は「なぜ、そんな穴を?」
山本は答える。
「だって、近道じゃありませんか」
その計画は少しずつ動き出す。
そこから事業化が正式決定するまでに数十年の歳月を
要することになることを、この時の山本は知らない。
運輸省OBとなっていた山本が膵臓癌で亡くなったのは
事業化が決定する2か月前だった。
その仕事は新入社員の僕(鈴木)へと引き継がれる。
リオのオリンピックが終った秋。
僕(鈴木)は、上司の藤原に呼び出される。
与えられた仕事を黙々と遂行する。
サラリーマンの忠誠と悲哀が込められた作品。
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「ブラジルの人聞こえますかー?」のリアルなやつ。
ストーリーとしては荒唐無稽でばかばかしいのだが、表現として読んで楽しい。
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日本とブラジルをつなぐ穴を掘る! 戦後より続く秘密プロジェクト。戦後、焼き鳥屋で穴を開けることを思いついた官僚・山本。対外的には極秘であり、温泉を掘る技術で進められる。その仕事、意思を引き継いだのがサラリーマン・鈴木。広報係としてこのプロジェクトの公表に備えて、資料集めをする毎日。外国からの諜報員・作業員、ブラジルの広報係とのやりとり、そんな交流をしつつ時は流れ、ついに穴は完成する。
この小説は何と言っても、大真面目にとんでもないことを進めていくユーモアさだ。串を抜いた後の肉の穴を見て思いついたり、「だって、近道じゃありませんか」で続けられていたプロジェクト。技術的な問題を出さないところがいい。そして、水着。なんだろな、発想が面白い。戦後の出来事、鈴木のほのかな恋心も加わり、夢物語の世界、ユーモア、味わえました。
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なんとも不思議な味わい。
終戦後から現代までを、日本ブラジル間を直通するトンネルプロジェクトを軸に描き出す。
フォレストガンプって読んだことないんだけど、こんな感じなのかな?
プロジェクトの広報係として抜擢された男が
主人公。彼は自分の信念に従ってささやかに生きたようでもあり、プロジェクトのための犠牲となって旅立つために生きてきたようでもある。
物語の主眼がそこにないのは理解できても、最後の結末はどうにもやるせない。
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トンデモナイ発想から始まったプロジェクト。
淡々と進んでいく話は、一見ユーモアいっぱい見えるが、同時に一貫した冷たい怖さも覚える。
信念を持つ仕事に盲目的になること。
疑問があっても、一度始まると止まらない国家施策。
人はどうしようもない状況に追い込まれて、はじめて積み上げてきたものに悪いものの種がまかれていたことに思い至る。
大切な人を思って自分が名乗り出る。その気持ちを利用する社会。
「僕」が水着を着て、穴に飛び込むその様は、まさに「人間魚雷」そのものと感じるのは私だけでしょうか。
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読み終わって不思議な気持ち。こんな小説読んだことない。
穴を掘ってブラジルと繋げるって、どこまでも現実味ないのに話は淡々とそして何年も進み、その落差でどこか変な世界に連れて行かれてしまった。
出てくる人が変わってるとか主人公の考え方が変わってるとかそういうよくあるフォーマットじゃなくて、あくまでも普通の鈴木一夫とその周囲の普通の人たちの普通伝記のような感じ。目立ったことは起こらない。唯一ベースにある穴を掘る事業がヘンテコなだけ。
ナンセンスなことをクソまじめにやってる不思議な小説です。
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最初から最後まで、ほぼ主人公の鈴木さんの視点で淡々と物語が進む。架空の国家事業の進捗と現実の出来事が並走しているので、夢と現実が行き来するような不思議な感覚になる。全150ページで一気に読めた。
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花は、花びらが折り重なって一輪の花になる
県大会決勝での敗退も失恋も恋愛の成就も
変わり映えのしない毎日を綴った業務日誌も焼き鳥屋での軽い一杯も
人生で無駄なものは何もない
読み終わってそんな感慨を抱くような優しい作品でした
あと、僕はDr.ペッパーという飲み物を人生で一度も飲んだ事がありません
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小説だからこそ表現できる非現実感を凝縮したような作品でした。衝撃のラストでした。まんまとやられました。
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これって史実?って思ってしまっても損はない、なんとも愉快な人生劇場。
鈴木氏の人間の良さが滲み出ている。
水泳がこんなところに繋がるとは(笑)
こんな展開久しぶり、ちょっと元気になれたかも。