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Amazonのオススメで購入。著者の小森哲郎氏は、マッキンゼーでパートナーまでなった後に、アスキー、カネボウの社長として再建を主導した方。
感想。たくさんのノウハウが詰まった良書。
備忘録。
・マネジメント職はマーケティングを心底理解すべし。マーケティングを広告宣伝・販促と捉えるのは狭い。「マーケティングとは、与え手である企業と、受け手である顧客の価値交換プロセスの最適化」と理解し、企業内の各部門を顧客に向けた全体プロセスと捉え、最適化を考えないといけない。→各部門に任せっきりではダメ。
・マネジメント責任=結果責任+説明責任。任せて下さい、頑張ります、やってます、必ずやります、では説明責任を果たしていない。結果がでなかった責任を後から問うても後の祭り。説明責任が大事。
・問題に謙虚になる。わからないものはわからないと言う、おかしいものにはおかしいと言う、できてないのにできているように振る舞うのはやめる、そういう組織に変わるべき。
・一人でやるのではなく、色々なものを外から学ぶ。「今出来ていないこと」は問題ではなく、「これから学べるか」が問題。世の中は凄い人や企業が沢山あるのでそこから学ぼう。迷ったら相談し助けてもらおう。そうして、より良いやり方を追求するのが再建に有効。
・他者とのベンチマーキングと自社の収益構造から、改善余地の大枠を掴む。こういうタイプのビジネスなら、一般的にみても10%程度の営業利益率が出るはず、とか。
・変革を引張てくれるリーダーを探すには、候補者に課題・宿題を提示し、その進捗を見極めながら人材を見るのが良い。
・現状の見える化が極めて重要。日本は「おかしいことをおかしい」と言えない環境が多い。見える化して、これはおかしい、手を打たなければならないという意識を高めれば、日本独特の「人に迷惑をかけてはいけない」という倫理観がうまく機能してくれる。
・マネジメントは、多くの施策の優先順位付けの意味を、組織にしっかり説明する。ここが腹落ちしないと組織全体スピード感に影響。
・再生対象企業が大きければ、社長は本業のリーダーシップに専念し、周辺事業のM&Aは株主(ファンド等)に任せるとか、うまく役割分担する。
・再生ストーリーを仮説立てておくことは重要。仮説を持っていれば、後に得られるファクトと辻褄が合っているかとか、思考を前に進められる。
・スローガン「問題・課題指摘に咎めなし」「やれない理由でなく、やる方法を考える」「今までのやり方に拘らず、より良いやり方を考え抜く」。
・やるべきことは一元管理し、フォローアップできるようにするべし。やるべきことは数百を越えるため、フォローを含む管理方法はとても重要。会議の議事録も大切。
・社内協議等では、いわゆる「空・雨・傘」の基本形で、ロジカルにやり取りしたい。
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ターンアラウンドの教科書。
V字回復の経営と並行して読んでみると経営に関する理解がグッと深まる。
カネボウの企業再生の事例などが割と詳細に載っていて、
これ守秘義務とか大丈夫なの・・・?と心配になったが、
当時の工夫したポイントや組織に落とし込む際に使用したPPTと思われる資料も掲載されていて、非常に親切な本だった。
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- 非常に良かった。かなり属人的な個人の視点での実行計画だが、進められる人の考え方、という感じがする。
- 読み込みつつ、意図を理解して、自分用に加工していく、ということがまだまだ必要そうだが、それでも得られる学びは深い。
- ターンアラウンドは、やる中身より組織をどう変えるかの方が大変そうだ。この本にはそういったメッセージは明記されていないが、実際にはページボリュームは圧倒的に誰とどうやってオセロをひっくり返していくか、という感じがする。
- 三枝匡を思い出す。
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体系化する力がすごい。プロジェクトで使えそうなチャートが多い。
書いてあることはまさにそのとおりだと思う。ただ、努力してできるようになるものではない。なので、企業改革したいのであればこういうレベルの人に助けてもらうのがよいと思う。
努力してもできない、というのを少し補足する。
難易度高い変革業務になると本書にもあるが結局人間系の話になる。
ここに手をいれて改革できる人は、その人自身も人間的にめちゃくちゃ魅力がないといけなくて、こればっかりは後天的に手に入れることはできないと僕は思っている。例外は見たことがない。
そういう能力なので、まったくスキルのない新人でも持っている人は持っている。
そいつがいればそいつ自身が何をしているというのが上からは全然見えないし言語化もできないのに、関係するお客さんみんなが前向きに改革に取り組んでくれるようになりプロジェクトが成功する。
人間的魅力がカンストしてるんでしょうね。著者もその類の人だと思う。
お客さんのマインドを大きく変えることができた経験があるような方であれば、その素養があると思うので、本書読むと鬼に金棒だと思う。
逆に社会人やっててその経験がないのであれば、その領域についてのセンスはないし、まずできるようにならないので読まなくてよいと思う。