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芸術の力、女性の力を考えさせられる一冊。ゲルニカを巡り、1930年代と2000年代の話が交互に展開されていく。どこまでが史実通りで、どこからが創作?創作を創作であると感じさせないくらい、作者はゲルニカについてとても深く勉強したんだと思う。500ページくらいでわりと長めだけれど、あっという間に読み終わってしまった。高校の美術の授業でゲルニカを模写したけれど、その前に読んでいればなあ…。特に、強く生きていきたい女性の方々、ぜひぜひ読んでみてください!
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ドラの見たピカソや20世紀のスペインが、頭の中に映像で浮かんでくるような小説だった。タイトルになっているゲルニカのみならず、時代背景や人物について、すごい調査量だと感じた。かなり読み応えがあった。
過去と現在で交互に進むため、盛り上がって来たところで話が中断されてしまうのが残念だった。最後の誘拐のくだりは唐突すぎるように思った。
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MoMAでキュレーターを勤める日本人女性ヤガミヨーコから見たゲルニカと、ピカソの愛人で写真家のドラから見たゲルニカ、交互に入れ替わる形でストーリーが展開していく。幼い頃に実家のリビングにゲルニカのレプリカ(当然ながら)が飾られていたので、改めてゲルニカの背景を知ることが出来た。
最後の一文ではぁーそういうことねえーとなるが、ちょっと拍子抜けした感も…原田マハさんの作品の中では正直いまひとつ。
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これまでに読んだ原田さんのアート小説はどれもとても面白かったですが、これはあまりピンときませんでした。どの登場人物にも共感が持てず、惹きつけられるものがなかったです。中盤以降で唐突に出てきたテロ組織のこの小説の中での存在意義もよく分からなかった。ピカソの時代の戦争が国家間の戦いであったのに対して現代の戦争はテロとの戦いであるということが対照的に表されていたかな、とは思いましたが。
期待が大きすぎたのかな。
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時代の移動が激しかったですが、
時間をおいた次はどうなっているのか、
先が読みたくて仕方なかった。
事実と虚実が混ざり合ってるところに緊張感があって、
目まぐるしく変わる展開に、
どんどん引っ張られていった感じです。
平和を望むすべての人たちのもの「ゲルニカ」
見てみたいです。
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"アートは暴力に抗えるのか…"
芸術作品の大きな力を考えさせられました。
故国スペイン内戦下にピカソが描き上げた衝撃作『ゲルニカ』を巡り、ピカソが生きた1930年代とMOMAのキュレーターが生きる2000年代の話が交互に展開されていく。
史実に基づいたフィクションですが、どこまでが史実通りで、どこからが創作なのかわからないくらい現実味のあるストーリーにどんどん惹き込まれました。
巻末には沢山の参考文献が表記されていて、元キュレーターだった作者が絵画のことにお詳しいのはもちろん、第二次世界大戦やスペイン内戦などの歴史も詳細に語られ、物語に奥行きを与えていて読み応え十分でした。
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久しぶりに徹夜読み。実際にNYへ行った時の記憶が甦り、また美術館を渇望。ピカソの参考文献にも興味を持ちました。
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前作の「楽園のカンヴァス」に引き続くアートサスペンスということで、ドキドキしながら読みました。恥ずかしながら、ゲルニカの絵もそれが生まれた背景の出来事も知らなかったのですが、臨場感あふれる描写で、昔から知ってたような気にさせられました。
解説の池上彰さんではないですが、本物を見に行きたくなりました。
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9.11.国連安保理会場のロビーで会見したパウエル国務長官。彼の後ろに位置する場所にあったピカソの「ゲルニカ」タペストリーに、暗幕がかけられていることに衝撃を受けた作者。これをきっかけに書かれた本だそう。
アートに力やメッセージがある証拠だと改めて思った一冊です。どこまでが事実でどこまでがフィクションなのか解らなくなりながら、二つの時代の女性(ピカソの愛人ドラ・マールと9.11を経験したキュレーターの主人公)のピカソへの情熱に引き込まれました。
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"私は闘う。断固、闘う。この世界から戦争がなくなるその日まで、戦争そのものと"
パブロ・ピカソの〈ゲルニカ〉は、たぶん教科書の第二次世界大戦の項目あたりで見たことがあった。でもこの絵にこんなにも意志と情熱と苦悩が込められていたなんて、知らなかった。
どんなに学校の授業や書物や物語で戦争の無意味さを学んでも、なぜか争いや差別はなくならない。どうしようもない圧倒的な何かに押し流されるなか、自分のもつわずかなもので、偏見や不条理、憎悪そのものと闘うことは、生きている人々の権利であり、わたしたちにできる唯一のことなのだと思います。
そしてこの物語の、武器ではなく"アートで闘う"ということは、きっとこれからわたしたちが直面する困難をいつだって支えてくれるのだなと思いました。それが、アートであれ物語であれ、音楽であれ、きっと同じ。わたしはわたしの信じるものと共に困難と闘えばいいのだと、改めて勇気をもらいました。
毎回書いてる気がするけど、原田マハさんのアート小説を読むと、必ず画家たちの絵に、直接会いに行きたくなる。いつか〈ゲルニカ〉にも、会いに行けますように。
あと、これを読んだあとには『楽園のカンヴァス』をもう一度読みたくなります。次はどこの美術館に行こうかな。
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ピカソと彼の作品を愛したドラ・マールとピカソ研究者である八神瑶子の生きた時代が交互に描かれる。
一方の時代ではスペイン内戦や第二次世界大戦、もう一方では同時多発テロやアメリカのイラク攻撃。どちらも戦争という私利私欲にまみれた人間の愚かな行為によって、世界は混沌としている。
そんな戦争に絵筆をもって立ち向かったのがピカソである。「ゲルニカ」は戦争そのものを否定し、戦争がなくなるまでそのメッセージを伝え続ける。
1つのアートが人の心を揺さぶり、世界を見つめ直させる。人間の表現の自由というのはこれほどまで尊いものなのかと心の底から感動した。
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【感想】
ベストセラーということで、流行に遅れまいと拝読。(文庫だが)
ピカソの人物像や「ゲルニカ」という作品は勿論、いつの時代に生きていた人すらも分からなかった自分からすれば、歴史小説として少し勉強になった。
ただ、美術について一切知識(そして興味)がない自分からすれば、少々退屈な内容だったかな・・・
【あらすじ】
反戦のシンボルにして20世紀を代表する絵画、ピカソの〈ゲルニカ〉。
国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、突然姿を消した――
誰が〈ゲルニカ〉を隠したのか?
ベストセラー『楽園のカンヴァス』から4年。
現代のニューヨーク、スペインと大戦前のパリが交錯する、知的スリルにあふれた長編小説。
【引用】
1937年、パリ万博スペイン館に展示するために制作された大作。
縦350センチ、横780センチのカンヴァスに繰り広げられた阿鼻叫喚の図。
逃げ惑う人々、いななき叫ぶ馬、驚愕して振り向く牝牛、倒れた兵士らが、黒とグレーと白、モノクロームの色彩で描かれている。
美術史上もっとも物議を醸し、今では世界中の人々に戦争の愚かさ、つまりは反戦のシンボルとして認識されている作品。
p451
ゲルニカを奪い返す、そんな必要なんてないわ。
だって、とっくにあの作品はあなたたちバスク人のものよ。
そして、「9.11」で傷ついた私たちニューヨーク市民のもの。平和を望む世界中のすべての人たちのものなのよ。
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この本の前に読んだ「キネマの神様」と同様に、作者の博識さに恐れ入った。絵画のことならもちろんお詳しいのは当然だが、第二次世界大戦やスペイン内戦などの歴史も詳細に語られ、物語に奥行きを与えているのがすばらしい。
また、フィクションとノンフィクションを複合させて物語を作られていることで、いかにも全てが本当の話であるかのごとく錯覚させるのはお見事だ。(自分でも、どこまでが真実で、どこからが創作なのかが、未だにわからない)増山実さんの作品と同様、この手の作品は大好きだ。
惜しむらくは、先日、大塚国際美術館に行ったのだが、その前にこの本を読んでいたら、展示されていた「ゲルニカ」の見え方もちがったかもしれない。
最後に、この作品には、あのティム・ブラウンもほんの少しだが登場する。『楽園のカンヴァス』が大好きならば、是非読んでみてほしい。
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『楽園のカンヴァス』に続くマハさんのアートミステリー。
今回の舞台は1937年第二次世界大戦の真っ只中のフランス、スペイン、そして、2001年、同時多発テロの起こったニューヨーク。
ピカソと愛人ドラ・マールが肌で感じたスペイン内戦とナチスの脅威、そしてテロで夫を喪ったMoMAキュレーターの瑶子の挑戦。
「反戦」を共通のテーマとして、二つの時代が交差する。
『楽園のカンヴァス』よりもミステリー色は薄いが、「反戦」を前面に打ち出し、読み手の心に強いインパクトとメッセージを与えていると思う。
ピカソの故国の街ゲルニカを空爆が襲った。人類初の空爆とのこと。怒り狂った末にピカソが描き上げた作品がかの「ゲルニカ」だった。その数年後、日本でも主要都市が空襲に遭い、多くの尊い命が奪われる。巻末の解説で池上彰氏が書いた、空爆と空襲の違いが印象に残った。
『楽園のカンヴァス』ファンとしては出世したティム・ロビンスに再び出会えたのがうれしい。今回も読みながら数々の名作絵画と出会えた。落書きにしか見えなかった(笑)ピカソの作品からメッセージを感じるようになってきたのは大きな収穫だ。
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20世紀を代表する大作であり問題作ピカソ作「ゲルニカ」が結ぶ二つの時代の物語。「楽園のカンヴァス」に負けず劣らず面白い。過去・現代それぞれのパートを違和感なく繋げ一つのストーリーとして成立させる手腕は流石。伏線の張り方、回収も非常にスマート。
そしてなんといっても人間ピカソのカッコよさ。圧倒的な才能、揺るぎない信念と自信、どこまでも傲慢なエゴイスト、常人にはたどり着けない場所にいる孤高の天才。芸術を武器に強大な暴力に真っ向から闘うその姿に痺れる、同姓として憧れる。
ピカソが「ゲルニカ」に託した魂のメッセージには胸を打たれ、予想を超えたラストは驚きと心地いい余韻がある。
アート初心者でもしっかりのめり込める力強くエンタメ性の高い原田マハさんらしさが詰まった名作。