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日本唐揚協会会長兼理事長の著者による、唐揚げの定義、歴史、レシピ、全国の唐揚げ店の紹介。鶏の唐揚げだけではなく、「イソギンチャクの唐揚げ」とか「蚕の唐揚げ」の話もある。まるで口コミサイトみたいになっているお店の紹介の部分と、コンビニなどチェーン店の唐揚げの味や値段まで紹介されている部分があるが、2015年始めの時点での情報。
おれも大の揚げ物好きで、「揚げ物を発明した人はすごい」と「すべてのものが揚がっていればいいのに」が口癖(?)なので(2つ目の文なんて仮定法の授業で生徒に訳させたくらい)、日本の揚げ物の歴史の話は面白かった。「すでに奈良時代には遣唐使によって伝えられていた」(p.70)けれども、揚げ物全般はどうなのかはよく分からないが、「一般的には、天ぷらが食べられるようになったのは江戸後期」(p.72)だそうだ。でも世界的にはやっぱり中国?ということなのか?ちなみに「明治4年(1871年)に解禁されるまで、表向き日本では肉食はタブー」(p.74)(鶏肉以外)だったが、「栄養価が高い肉を、薬として食べることも黙認されており、江戸時代には江戸市中に獣肉の店がありました」(p.74)ということだ。肉食が禁止、というのも今の時代では考えられないなあ。そして、これはテレビの「アド街」で見たから知っていたが、「唐揚げ」としてメニューに登場したのは、銀座の三笠会館(p.77)で、p.78によれば今でも「1階の『イタリアンバールヴィオラ』のメニューに『三笠会館伝統の味鶏の唐揚げ』がある」ということだから、これはぜひぜひ、食べてみないと、と思っている。(ちなみに、唐揚げのレシピの話で油の話が出てくるが、「サラダ油はなんでサラダ油というのか」という話が出てきて(p.155)、まったくサラダとは関係ないという話にも驚いた。)
最後の方の「カラアゲニスト」による唐揚げ店の口コミ部分は、ややイマイチで、ところどころに写真もあるけど、モノクロだし、やっぱりこういう情報は新書として読むのはキツイかもしれない。そもそもこのコロナ後で、店自体があるのか?という感じだが(でも近所の商店街では新たにテリー伊藤の?唐揚げ専門店がオープンし、3軒くらい隣の昔からある唐揚げ屋と戦争が勃発した感がある)、「今回のアンケートで最多得票だった店」(p.181)というのが、神戸の「揚商しげ盛」という店で、「珍しい肩肉唐揚げ」があったりとか「柚子胡椒マヨネーズ味が素晴らしい」(同)という話だから、これは一度食べてみたい、と思った。
やっぱりカラーで、出来ればビールやハイボールの写真やなんかとともに写った唐揚げの写真を見たいなあ、と思った。その意味では、5年くらい前に読んでブクログにも感想を上げている『みんなの唐揚げ』という本が良かった(著者は同じ日本唐揚協会)。(20/10/25)