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紙の本

構想の破綻―軍官僚たちはどこで誤ったのか

2012/10/08 01:07

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る

満州事変から太平洋戦争に至るまで、日本の進路を決定づけた最大の政治勢力は昭和陸軍であった。一般的に昭和陸軍は、確たる見通しもなく功名心から野放図に戦線を拡大して日本を滅亡に追いやった猪突猛進の単細胞集団、という印象が強い。不毛に映る幾多の派閥抗争も彼らのイメージを悪くしている。しかし彼らには、次期世界大戦の勃発に備えて総力戦体制を構築するという明確な戦略目標があり、それを実現するための遠大かつ「合理的」な構想を用意していた。石原莞爾の世界最終戦論は有名だが、永田鉄山や武藤章、そして短慮無謀の典型と評されることの多い田中新一でさえ、次期大戦から日本を守ることを意図して、それなりに筋の通った構想を抱いていたという事実には意外の観がある。

満州事変における陸軍中枢=宇垣系(不拡大派)と中間幕僚=一夕会(拡大派)の対立、皇道派・小畑敏四郎(対ソ戦優先)と統制派・永田鉄山(対支戦優先)の対立、支那事変における石原莞爾作戦部長(不拡大派)と武藤章作戦課長(拡大派)の対立、日米交渉における武藤章軍務局長(交渉継続)と田中新一作戦部長(開戦決意)の対立。これらは単なる陸軍の内輪もめ(人事に起因する感情的対立)ではなく、各々が独自の構想を抱いていたがゆえの政策的対立であった。本書はこの点を具体的に明らかにした労作と言えよう。

ただし、著者は昭和陸軍を主導した代表的軍官僚たちのグランドデザインを復元することに重点を置いていて、彼らの“一見すると”理路整然とした構想のどこに問題があったのかを詳しく説明してくれていないので、昭和史に一定の知識がないと本書を十分に理解することは難しいと思う。彼らの構想は短期的・局所的には「合理的」でも、全体として見ると御都合主義に陥っているのである。以下に昭和陸軍の構想の主な問題点を挙げる。

1.米英との対立の可能性を想定して軍需資源の自給自足を目論むが、そのための大陸への軍事的進出(侵略)が米英との対立を招き寄せるという本末転倒(軍事重視・外交軽視の「国防自主権」論)、2.中国のナショナリズム昂揚への甘い見通しに基づく楽観論(対支一撃論)、3.ドイツがイギリス、ソ連に勝利するという希望的観測を前提に戦略を立てるという他力本願(ドイツに対する過大評価)、4.日独伊軍事同盟+日ソ中立条約によってアメリカが対日戦を諦めるだろうという誤解(アメリカに対する過小評価)。

対米開戦決定の際に企画院総裁として御前会議に参加し、資源確保の観点から開戦を主張した鈴木貞一は、戦後になって「もし永田鉄山ありせば太平洋戦争は起きなかった」と語ったという。しかし、事実はむしろ逆ではないか。昭和陸軍が「アメリカとの政治的対立を回避しつつ大陸に日本の自給圏を作る」という永田構想に最後まで縛られたことこそ、太平洋戦争が起きた最大の原因であろう。日米友好と大陸進出。この互いに相容れない命題を両立可能と考えたところに彼らの最大の錯誤があったのである。


部分最適を追究することで全体の視野を見失った彼らの過ちを、日本は「ガラパゴス化」という形で再び繰り返そうとしている。モノ作りのモジュール化が進み、世界最適調達が求められる現代において、「日の丸半導体」にこだわり救済したものの結局はエルピーダを破綻させてしまった経済産業省の産業(保護)政策は、昭和陸軍のコストを無視した自給戦略に重なる。

官僚の「もっともらしい作文」に振り回される悲劇を根絶するためにも、日本政治における「官僚主導」の排除は不可欠だ。それこそが、我々が昭和陸軍の失敗から得るべき最大の教訓だろう。

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