紙の本
シリーズ第3集目
2004/10/12 22:56
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投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者の、そして日本のミステリを代表する安楽椅子探偵もののシリーズ第3集目。現役の刑事である息子がちょっと毛色の変わった事件に出会い四苦八苦、刑事であったがすでに現役を引退している父親に相談、すると亀の甲より年の功、話を聞いただけで見事に事件を解決するといった、いつもとかわらぬ構成。マンネリ? いえいえ違います。つくりがわかっていることでかえって安心して読め、それで十分に楽しめ満足できる上質なミステリです。
密室ものから暗号、ダイイングメッセージものとバラエティに富んだ短編7作が収録されています。特筆すべきは、その中の1作で、退職した親父さんは息子に話を聞くだけでなく関係者の証言をとりに出向いていて、聞いただけでピタリと真相を言い当てる安楽椅子探偵もののルールを破っています。が、作者がちょっと変化をつけたかったからとあまり固いことは言わずにおいて、短編ミステリの粋を味わいましょう。
シリーズ4集目がとても楽しみです。
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このワンパターンさが好きです。五郎さんもお父さんもいいな。会話でこれだけもっていくのはすごいですね。
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『大魔術の死体』電話ボックスで狙撃された被害者。ガラスには傷もない。ちょっと微妙かな(--;)
『仮面の死体』全裸で般若の面をかぶった死体。面白いけど少し無理が(笑)
『人形の死体』人形師と作品の人形の殺人(笑)
『散歩する死体』移動する死体の謎(笑)
『乾いた死体』「雨が降っていたらな〜」と言うダイングメッセージ(笑)面白かった「9マイルは」みたいだね。
『筆まめな死体』暗号ミステリ。分かりにくいかな(--;)
『料金不足の死体』額に切手を貼られた死体(笑)ダイングメッセージには分かりにくいかな(笑)深く考えすぎかな。
船橋図書館
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電話ボックスで男が撃たれた。
しかし、四面のガラスには傷はなく――。
銃弾はどこからきて、どこへ行ったのか?
『大魔術の死体』
往来の真ん中で突然着物を捲りあげた女の真意とは?
『人形の死体』
額に切手の貼られた死体。
ダイイングメッセージなのだろうか。
果たしてその意味は?
『料金不足の死体』
等、魅力的な謎が次々と提示されるシリーズ3冊目。
安楽椅子探偵のという形式は解決のスピード感が違う。
話を“聞いただけで”解決してしまうのが安楽椅子探偵だが、そのことによってもう一つ特徴となるのが解決へのスピードだ。
勿体ぶってだらだらと引き延ばすことなく、「問題」から「解決」への流れが素晴らしく手早い。
何せ“聞いただけ”で解決しなければならないのだから。
本書は『大魔術の死体』の一作だけ、確認のために部屋から出てしまう。
解説ではここに都筑氏の目論見があったと予想しているが、今となっては分からない。
故に厳密な意味での安楽椅子探偵ではなかったが、その解決のスピード感は同様に残されていた。
殆どが会話の文だけで構成される本シリーズは非常に読みやすい。
30年も昔の作品だと「古いもの」と思いがちだが、そこに通じる価値観などは今とさほど変わらない。