紙の本
奥が深い
2022/01/10 10:58
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投稿者:ぱぴぷ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミトコンドリアDNAの分析により、人類はアフリカの一人の女性から広がっていったという説が一般を風靡しているが、この説を無批判に受け入れていいものでもなさそうだと知った。各地の旧人から新人への時代変化の様相の比較が大切なようだ。
こうした分野は常に新しい発見や新しい分析方法が出てくるようで、つねに情報はアップデートされ、未着のこともまだまだあるようだ。昔ならった牛川人が、動物の骨ではないかということで姿を消しつつあるとは驚いた。
未着のことが多いとはいえ、骨の変化が起きる可能性としてどういうものがあるかなど多方面から学べて、興味深い一冊だった。(4.5点)
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第1章 太古の狩人たち―旧石器時代の日本列島人
第2章 人類の起源と進化
第3章 アジアへ、そして日本列島へ
第4章 日本人起源論―その論争史
第5章 縄文人から弥生人へ
第6章 倭国大乱から「日本」人の形成へ
著者:中橋孝博(1948-、奈良県、人類学)
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原本は2005年発行の講談社選書なのだが、この14年間で考古学と同じかそれ以上、人類学は大きな発見が相次いだ。よって、この本は大幅に加筆・改訂されている。ただ去年読んだ「絶滅の人類史」などよりも、それぞれの記述が詳しく専門的だ。その分、面白味は無くなっている。
人類学的視点に立った弥生から中世・近世を含んだ日本史の試みは、文庫本としては読んだことがなかったので、非常に「便利な」本だと思う。ただ、弥生人の渡来説の詳しい動態や人口などは、まだまだはっきりしない。また、弥生前期の動態は、骨が見つからないミッシングリンクだと言われていて、はっきり書かれていないのが恨めしい。土井ヶ浜遺跡の弥生人は中国江南からということで決まりのようだ。ただ、まだどのルートを辿ったかも言えないらしい。その他、わかったことわからないことが、詳しく簡潔に述べられていた。あと数年は古代日本列島人類史は、この本が一般教養教科書として相応しいと思う。ただし、5年後ぐらいには、更に細かい改訂は必須だと思われる。
2019年3月読了
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日本人の誕生だけでなく、人類の誕生も扱うスケールのでかい話をよくまとめたものだと思う。
各章、現状や課題で終始して、まだこれからの研究分野であると感じた。出アフリカの時期といい、縄文から弥生に至るミッシングリングといい。
いつか我々がどこからどうやって来たのか、解明されるのだろうか。分子生物学の知見でどこまで迫ることができるのか。
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徳川家は、生育環境が庶民とは別のため、体形が変わったとか
淘汰されるべき劣性遺伝子が残ったわけは、一定の病気に強かったとか
その時一時一時の環境、生活の仕方や人々の交わり方で、今に至る
壮大である
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率直な感想。長かった…長い。
その分非常に詳しく、かつ分かりやすく書いてある。読んでよかった。
分かりづらいところは図や表があるので視覚でなんとなく理解できる。
とても丁寧に調べられているし、文献の読み込みもすごいし、本分野の研究の歴史についてはこの本読めばわかるという感じ。
結論として、まだこの分野は発展途上であり研究中ですよ、という感じの内容でした。
昔自分が学生時代勉強したことについて、今になって新たな研究報告があるのは面白いなと感じた。定期的に知識はアップデートしないとだめですね。