紙の本
読後感がすごい
2020/01/26 18:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:usa_0814 - この投稿者のレビュー一覧を見る
優しさと怖さが同居した、最後の一行で持っていく独特の読後感がある短編集。
どの作品も意外性を含めた構成力が見事で、中でも「見返り谷から呼ぶ声」と「終末硝子」が飛び抜けていて、他もそれに劣らぬ作品ですが、少しでも説明しようとするとすぐにネタバレになってしまうのは感想を書く人にはツライところでしょうか。
SF的だったりファンタジー的だったりもする舞台の中で、ミステリとして謎が明かされていく展開を見せながら、登場人物たちの強さや弱さが物語を動かしていく、人間の描写に最後の読後感を合わせて引き込まれてしまいます。
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2019年6冊目。どんでん返しミステリ短編集再び。⌈見返り谷から呼ぶ声」一番ミステリ度も高いし、伏線も上手く張られてる。最後に明かされる驚愕の事実とその理由には泣かされますよ。⌈千年図書館」圧倒的終末感。雰囲気作りが上手いからこそブラックなオチがより色濃く見えてくる。⌈週末硝子」最後に全てが繋がる、どんでん返しのお手本のような作品。⌈さかさま少女のためのピアノソナタ」とてもシンプルなのにしっかり意表を突かれた。この結末に思い至れなかったのは、逼迫した状況にすっかり浸っていたからだろう。
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北山猛邦の最新刊。『メフィスト』掲載の3編と、書き下ろしの2編が収録されている。
収録作はどれもSF色、或いはファンタジー色が強いミステリ短編だった。どれか1作挙げるとすれば、『終末硝子』だろうか。
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私たちが星座を盗んだ理由で、大好きになった作家さん。
こういうどんでん返し短編集は久しぶりで、ワクワクしながら読み始めました。
まず、表紙の絵が素敵〜。
全部良かったけど、表題作の千年図書館が1番わからなくて、ネットで調べちゃいました。あの、唐突にあのマーク(放射能のハザードシンボル)が出てきて終わり。
へっ?!まだ続くよね?!と思い次のページを見たら完全に違うお話。
唖然としながら調べたら、あの図書館は放射性廃棄物最終処分場ということらしい。確かに、本を異常に重そうに運ぶ描写とかおかしかったもんなぁ。イコールあれは死体だったということか。
今夜の月はしましま模様?は、読みながら思わず最後で、えっ?って声が出てしまったくらい、本当に乗っ取られてたらどうしようとビビってましたw
さかさま少女のためのピアノソナタだけが、救いようのある話というか、ハッピーエンドというか…これが最後に来てくれてて良かった〜。
どんでん返しって感じじゃないけど、最後の一文でここまで衝撃を与えられる作家さんって本当に珍しいのでは。
好きな人はめちゃくちゃ好きだと思います!!
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幻想的な世界を舞台にした謎物語,短編5篇。最後の1行まで読むと物語の全貌がまったく違う意味を持っていたことに気づき驚く。巻頭の「見返り谷から呼ぶ声」は死後の世界とつながっていると噂される谷に出入りする中学生たちの物語で,ラストはそこから無事に帰還できるかどうかハラハラしながら読み終えたが,物語の真相に気づいたのは読後しばらく布団の中であった。前作の『私たちが星座を盗んだ理由』もよかった。
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近年寡作傾向な北山猛邦さんの新刊が届けられた。帯には、『私たちが星座を盗んだ理由』の衝撃、再び!とある。その作品の刊行は、約8年前になる。
元々、派手な物理トリックでデビューし、物理の北山と称された作家である。『私たちが星座を盗んだ理由』は、そんな北山さんが物理トリックに頼らない作品を出したという点で注目された作品集だった。特に、ある1編には驚愕されられた。
本作もまた、結末のインパクトを売りにした作品集のようだが、ここまで豪語して大丈夫か? 早速、「見返り谷から呼ぶ声」から、考え込んでしまった。予想外の行動ではあるけどもさ、なぜ君は…。一応、切ないといえば切ない。
本作中最もインパクトがあるのは、「千年図書館」だろう。村の掟で生贄に選ばれた少年。彼がたどり着いた図書館での、役割とは…。あのう、講談社さん、オチの部分が思い切り透けてしまっているんだよねえ。一応、因果応報なのかこれ…。
一押しを挙げるとすると、「今夜の月はしましま模様?」だろうか。本格ミステリっぽい体裁にはなっているけども、最終的にはそっち方向に行ってしまったか…。こういうネタを否定はしないけども、うまく料理し切れていない感がある。
「終末硝子(ストームグラス)」。奇妙な塔が林立する村。医師の若者が探っていくと…。サイコホラーかと思ったら、結末は予想外であった。おかしいな、何だかとても考えさせられる。「さかさま少女のためのピアノソナタ」。命懸けのピアノ演奏。恋愛物と言えなくもない。んー、綺麗な結末だけども、理屈がピンとこなかった。
確かに、ラスト1行まで、何がおこるかわからない!けども、結末のインパクトという点では『私たちが星座を盗んだ理由』の方が上だ。どちらかといえば、ファンタジー的作品世界や切なさが売りなのだろう。帯で損をしているような気がする。
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面白かった!「私たちが星座を盗んだ理由」のどんでん返しが好きで、あの感動を再び期待して…と否応なくハードルは上がっていたにも関わらず、今回も負けず劣らずの素晴らしい短編集だった。
「見返り谷から呼ぶ声」は、最後の一文で鳥肌が立ちすぐに再読してしまった。
表題作「千年図書館」はあの最後の1ページの驚愕。分からない場合は文中の○○計画がヒント。
「終末硝子」の世界観も大好きで、イングランドの寂れた村にいくつも佇む塔の異様さが脳裏に浮かぶ。
そして呪われた楽譜を巡る「さかさま少女のためのピアノソナタ」、これがまた秀逸。
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きちんと最初から読むこと、
チラ見さえもしてはいけない!という
読友さんの教えを守り読了。
守ってよかった。
最後の一撃をまともにくらう喜びを堪能。
5編の短編はすべて「最後の一行は、物語の折り返し地点。」
「見返り谷から呼ぶ声」
――死後の世界と禁忌の谷に心を囚われた少女の物語
「千年図書館」
――村で凶兆があるたび若者が捧げられる図書館の秘密
「今月の月はしましま模様?」
――地球侵略中の異星人に遭遇した大学生の奇妙な日々
「終末硝子(ストームグラス)」
――大きく奇怪な墓を村のあちこちに建てる男爵の謎
「さかさま少女のためのピアノソナタ」
――呪われた曲を奏でた傷心の高校生におこる不可思議
特に
「千年図書館」「さかさま少女のためのピアノソナタ」がお気に入り。
「千年図書館」で、本当の暴力を知る。
「さかさま少女のためのピアノソナタ」の
ボーイミーツガールな感じが好きだなぁ。うふふ♡
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不思議な短編集だった。
最後の1行がポイントと最初に書いてあって、なるほど…と思いながら全編読みました。
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サプライズ・エンディングの5編から成る短編集。最近すっかり御無沙汰だった北山さんの新作なので期待したのだが、読んだら若干期待外れ。最後に驚かせるには、前もって何らかの伏線が無いと、ただ唐突に終わっただけに思えてしまう。でも、表題作と最終話は巧いな。読者を物語に引き込む技量は以前のまま。そこは安心した。
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【収録作品】見返り谷から呼ぶ声/千年図書館/今夜の月はしましま模様?/終末硝子/さかさま少女のためのピアノソナタ
意外なおちが面白く、また、風刺が効いた作品集。
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短編集。ラストまで何が起こるかわからないという意味ではミステリだが、ファンタジー、SFなどの要素も入っていて不思議な読後感の物語が多かった。それぞれ世界観というか雰囲気がうまいので短編でも充実感がある。
ミステリ的には表題作、SF的には「今夜の月はしましま模様?」がよかった。
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優しく、そして切ない5つの物語。ラスト1行まで何がおこるか分からない!大ヒット“どんでん返し”ミステリ『私たちが星座を盗んだ理由』の衝撃、再び!(e-honより)
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「全てはラストで覆る」と銘打たれた、表題作を含む5編の中短編。確かに全作ラストでそれまでとの色合いを変えるが、覆すための構成に寄ってしまった感のある作品があったり、カタルシスと言えるほどの驚きが薄かったな、というのが正直なところ。
とはいえそこに強くこだわらなければ、各作品テイストを変えつつ、様々な世界観の物語が描かれていて、寓話集的な作品として面白い。青春小説風味の「さかさま少女のためのピアノソナタ」が好み。
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久々の北山さんです。
本の後ろに書いてある『全てはラストで覆る!』がすべて。
なので、「この短編あと何ページくらいかな?」ってうっかり最後のページ見ちゃうともれなく後悔します。
SFちっくなものや青春小説みたいなものもあり多彩で読みやすく、しかも最後におぅ!と唸る工夫がある素敵な本です。
楽しんで読めました。