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日本人のアイデンティティを思い起こさせる随筆。
作中には「我々」という表現が多様され、そのまま日本人を指す。この肌の色、体型、花鳥風月の中で育つなかで身につけた陰影に落ち着きを感じるところ、それらを卑下せず受け止めていくことが、一番道理に適っているよ、というお話。
決して欧米渡来の伝統やタイルを誹ることは無い。良いものとは何か?考えることが大切、説くから素直に従ってみようという気になる。
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日本の美意識。初めて読んだのは10代だったけれど、スポンジが水を吸収するように心に沁み込んだ。鳥肌がたった自分も日本人なんだなと実感。
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原研哉の「デザインのデザイン」を読んで、読んでみたいと思った陰翳礼讃。谷崎潤一郎の想像力もだし、それを表現するための一つ一つの言葉が巧みで、自分の知ってる世界が広がった気がする。日本的な美を改めて考えさせられたし、デザインに携わる者として必ず読むべき一冊だなと感じた。
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陰にあってこそ美しい、日本の美に気づかせてくれる極上の随筆「陰翳礼讃」ほか五篇。
谷崎の嗜好がざっくり掴める書。
谷崎はよく、その流麗な美文で讃えられるけど、筆致や文体より、まずもってその感性が常人のものではないなぁ。皮一枚剥がしたら骸というより、どこまで剥がしても感覚器か。
作家はよく歩くと聞く。でも谷崎は、彷徨して物思うというより、座して瞑想する作家だと思う。だから自らが腰を落とす場に対してこだわりが強いのでは。「厠」が最たる例。ところでひとつ谷崎さんに直接抗議できるなら、出てくるものを「牡丹餅」と表現するのはやめてもらいたい。私、好物なのに、食べられなくなる
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ずっと読まなければと思っていた作品だが、先日築100年ほどの古民家に泊まった際にこの本が置いてあり、ようやく読むことができた。
読み進めると、まさに泊まった古民家のようすが体現されていた。
古民家にいるとなぜあんなにも落ち着くのか。
その秘密がさまざまな切り口で書かれている。
"美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える。"
この一文で、あぁこれだ、と納得した。
読み終わったその日は、電球を消して、蝋燭を灯して夜を過ごした。
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「諸君はまたそう云う大きな建物の、奥の奥の部屋へ行くと、もう全く外の光が届かなくなった暗がりの中にある金襖や金屏風が、幾間を隔てた遠い遠い庭の明かりの穂先を捉えて、ぽうっと夢のように照り返しているのを見たことはないか。その照り返しは、夕暮れの地平線のように、あたりの闇へ実に弱々しい金色の明かりを投げかけているのであるが、私は黄金と云うものがあれほど沈痛な美しさを見せる時はないと思う」
-陰翳礼賛、谷崎潤一郎
日本家屋のわびさびを美しい文章で語っている。
私の家、私の食器、私の服、なんだかそこに欠けている美を意識せずにはいられなくなった。
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日本の陰翳の美意識が谷崎潤一郎の文章と大川裕弘氏の写真で私の様な読者にも想像出来ました。茶道をされた事のある方にはお勧めです。陰翳を求めていい旅館に行たくなりました。
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静かな日本の家、食事、西洋文化と歩むこと、生活、伝統がとつとつと語られて写真も美しく、気持ちが不安な時や落ち着きたい時に読むとふっと昔の日本家屋に招待されたような安らげる本でした。
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大学生の時にロシアに10日ほど行ったことがあるんだけど、現地のロシア人学生に「とても興味深かったわ」と言われた思い出がある。当時はあまり読書に熱心でなく谷崎潤一郎も知らなかったので「へ、へえ~そうなんだ(愛想笑い)」としか返せなかった。ハチャメチャに悔やまれる。日本人がいかに闇の中で美を見いだして来たか。具体的な例をあげながら書かれているんだけど、ずっと納得しかなかった。なぜ畳の上に座っていると心安らぐのか。なぜタイル張りのトイレがちょっと落ち着かないのか。心のどこかで感じ取っていた美的感覚を全部言語化してくれていてとてもスッキリする。特に衝撃だったのが、私は今まで金の屏風や金閣や大阪城を見ながら「金ぴかってちょっとケバケバしくて下品だなあ」という印象しかなかったんだけど(好きな人ごめんなさい)、それを「暗いところで見る」という視点。そういえば今は照度調整された美術館の中や夜でもライトアップされた外で見ることがほとんどだから、その視点は考えたことがなかった。暗闇で浮かび上がる屏風の金色は明かりが少なかった当時リフレクターの役割を持っていたかもしれないという説。闇と同化させ、全部を見せないというまさに“引き算の美”。とっても見てみたい。現代ではどこで見れるのだろうか。
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厠や紙、皿、食、建築などた私たちの生活必需品を例に挙げながら、今は失われた日本の伝統的な美的感覚を考察した本。
坂口安吾の日本文化私観もだけど、批判的で共感性のある文章はおもしろい!
私はすっかり近代化の暮らしに馴染んでしまって、例に挙げる厠や能などの美しさをイメージしづらかったが(だから近々能楽堂や歴史的建造物に足を運ぶ)、日本人は陰翳を好むという主張に共感した。
「美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える」
つまり、調和のとれた空間や関係性が日本の伝統的な美的感覚なのだ。
目にはみえずハッキリとしない、もどかしい感じ。その雰囲気の中で個と個の間にゆらぐ何かを楽しむ。
こうした日本独特の美的感覚は特に異文化人からみればわかりづらいけど、その分奥深さがある。
しかし、現代はなにもかもがハッキリと、一目でわかるようなことばかりだ。
谷崎と同じくその有難さを批判するつもりはないけど、利便性を求めていては感じられない文化的な美しさを感じられる人でありたい。
そうして日々を暮らすことが人間として生きることだと思うからだ。
まあ、試しに部屋の電気を消してみるか。
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暮らしの全瞬間をただすりぬけるのではなく、いったん自分のなかにおとして、瞑想しておもいをめぐらす、それを言葉にする。そういうことに長けていてつい夢中になっちゃうのよね~
実際、陰翳礼讃って100パー同意!めちゃわかる~みたいな人は少なくとも現代には少ないんじゃなかなあ
谷崎潤一郎のこころいきがすきなんだよね
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日本人が持つ美の感覚、美意識について書かれた著書。この本は大川裕弘さんの写真とコラボしたビジュアルブックです。写真で表現してくれているので視覚的に楽しめるようになっていて、ただ眺めるだけでも楽しめます。本棚に入れておきたい一冊です!!
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名文に寄せる静かな写真。
紙を取り入れた建築の柔らかみ、温かみ。厠の風流。闇と燭台あっての漆器、金屏風。
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こういう本が手元にあって、ページをめくりながらティータイム、みたいな生活が理想。
いつになったら実現するでしょう・・
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著者も建築の専門家ではないので、一般人にもわかりやすく書かれており、著者の考えていること、感じることに共感。読み始めは、何も考えずただただ著者の感じていることが面白いだけだったが、途中から、自分の身の周りのモノや建物、設備について、見方が変わってくるのを感じた。日本人として日本人しか理解できないものが、身の周りにも確かに存在し、その素晴らしさを実感。この日本人ならではの感性を大切にしたい。