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著者は様々な仕事を転々とした経験があるそうなので、
職場の雰囲気や、そこで働く人々の描写がリアルです。
人間観察と表現力が秀でておられるんでしょうね。
それにしても、
人間ってつくづく下らない生き物だと思います。
人はなぜ働くのかという問いに対しては、
一応なるほどと納得できるような答えが
用意されてはいますが、
でも、それってほんとうでしょうか?
そもそも意味があるって考えていることが、
幻想なのかもしれません。
生き苦しさに目を背け、
あえて気づかぬふりをして日々をおくる・・・
人間ってつくづく救われない生き物なんだなぁ。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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巨大工場の中での日常。正社員募集の面接を受けにきたのに契約社員となり、毎日大量のシュレッダーだけを繰り返す日々の主人公。
コケの専門家として屋上緑化をたった独りでまかされた男。彼女の紹介で同じ工場の派遣社員になる主人公の兄。
取り立てて何か突飛な事件が起きる訳でもなく、複雑な人間模様が描かれている訳でもないのだが、何だか不思議な読後感のある話。
とは言うものの、皆本当はこんな気持ちで毎日同じ時間に通勤し同じ景色を見ながら仕事をこなして、ああ今日も何もなく終わったとスマホ置いて目を閉じるのではないかと思った。
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解説にあった「無感動」という言葉がこれ以上ないくらい合っている。
悪意も何もない。ひたすら無感動。人間を無機質に眺めている。不思議で気持ちの悪い小説。
元気のない時に読まない方が良い。
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改行がなく突然場面が切り替わったり、時系列が変わっていたりして読みやすくはなかったがおもしろい。工場の閉塞的で無機質さが淡々と描かれており不気味さもあれば、森の妖精ズリパンみたいにユニークな表現もありつい笑ってしまうような場面もあった。この作品がデビュー作ということなのでぜひ他の作品もぜひ読みたいと思います。
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表題作は複数の視点で語られつつ、時間や場所が前後したり、時にかなり昔の場面が混ざっていたりと、多少読み手にも集中が求められる構成だが、だからこそ何気なく埋め込まれているポイントに気がつくと、小説では直接語られない背景にまで興趣がそそられる巧みな作りとなっている。(後藤氏やイリノイさんの来し方行く末など、どうにも気になってしまうではないか。)
ガラリと変わってディスカス忌は男3人と女一人ののどこかぎこちない会話を中心に構成されているが、その落ち着いた語り口は良い意味でどこか昭和の名手による小説を思わせる風格がある。
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「工場」の、淡々としたリアリズムが奇妙なずれの感覚を生んでいくような書き方が職場を描くのにあまりに適していて、いいなあと思った。あと「工場ウ」という命名、字面、存在がよすぎる。
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会社勤めをしたことある人には容易に理解できるざらつき感。歯車になったままの自分に嫌気が差すが、そこで暴れるより、長いものに巻かれたほうが楽なのもよく分かる。
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https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79441120S4A320C2MY5000/