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新潮新人賞受賞作。
シュールで面白かった。何となく無為で、最後まで何も変わらないというのはありそうでなかなか無い作風なんじゃないだろうか。
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工場
意図してるのだろうけど、時制がよくわからない。ストーリーが発展していく訳でもなく、すぐ眠くなる。何を語ろうとしてるのかわならないまま終わった。
ディスカス忌
何の話なのだろう?
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初めて小山田さんの本を読んだのですが難しかったです。
広大な「工場」でよく分からない仕事をする不条理さや、登場人物たちの「こんな人いる…」というリアリティーと、工場固有の動物たちがどのように絡まりあうのか、一度読んだだけでは掴みきれませんが、2周目はしばらく先になりそうです。
3話目はいもいもが嫌いなので途中でリタイアしてしまいました。
でもこの分からなさが気になるので他の作品も読んでみます。
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何度目かに契約社員としての職を得たこの町のシンボルともいえる工場はー『工場』
つい先日結婚祝いに尋ねた男が亡くなったー『ディスカス忌』
夫と食事をしていたらガリリと変なものを噛んでしまった。なにをやっても精彩を欠く「わたし」はー『いこぼれのむし』
えー・・・どう受け取ったらよいのだろうか。
こう・・・なんというか・・・展開されるお話のそこここに「正社員」と「非正規社員」を区別する言葉がたくさん出ていて、まぁ、それは世代的にも大きいことで非正規雇用の自分は社会的に劣っているのだという考え方が奥底にあるのだろうけれど。全体的に卑屈なお話たち。そして生理的な嫌悪が否めない。
お話の進み方は、語り手が同じ章でクルクルかわるので、場面がクルっとかわったら「えっと、さっきまでおつかいに出てたのは誰だっけ」と整理してないとごちゃごちゃになるかもしれません。それは新鮮で楽しかったです。
読後感は不思議というよりも「気持ち悪い」が先に立つ。
小難しいことは何もなく、文章もスルリと読んでしまうのだけれど・・・じわりとくる「うぉぇぇっ」(謎)という感覚が否定できない本でした。
こんなに否定的な言葉ばかり並ぶのに星が三つあるのは、文章そのものが淡々としていて的確で好みだったからです。
なんだかんだで読まされてしまった・・・という印象。
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図書館本
デビュー作。織田作之助賞だそうです。
工場でシュレッダーする人、屋上緑化計画を進める人など。そして灰色ヌートリア、洗濯トカゲ、工場ウ の生物たちが楽しく工場ワールドを広げてくれる。
このほか二つの短編。垢を食べる妻、面白いな。
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「工場」「ディスカス忌」「いこぼれのむし」の3編からなる。表題になっている「工場」は、街ほどの広さがあるが分業が進み何を作っているのかよくわからない工場で働く3人の視点からそれぞれ物語が書かれている。工場では独自の生態系も作られており、中でも真っ黒な鵜を登場人物たちは気にするようになる。要約はできるが私にはこの短編について何かを語るだけの文学的リテラシーがない。
比較的易しい「いこぼれのむし」は、ある会社のある部署で働く人たちのモノローグが輪唱のように回っていく。パートの人、正社員の人、管理職、定年間際の人、女性、男性。同じ場所で同じ物を見ているのに受け止め方や考え方が全然違う。実際の職場もこんな感じなんだろうなと思うほど細部まで書き込まれているが、ところどころ出てくる「虫」が薄気味悪くいいアクセントになっている。
小説も出版物である以上、商業性と無縁ではいられない。分かりやすくエンターテイメント性のある本が「売れる本」となる。人に買われて読まれなければ成り立たないし、活字離れが言われて久しい時代。そうした読みやすく分かりやすく面白い本が、本を手にとってもらうために果たしている役割は大きい。他方で、本書のような文学性の高い本もまた、文学にとって必要なんだろうなと思った。
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乱暴に断定してしまうと、エンタメ文学とそれ以外を分けるのに「伏線を回収するか否か」という要素がひとつ上げられると思う。エンタメ小説の場合、伏線(らしきものも含む)がきちんと回収されてないともやもやが残るし、そこを批評の材料にされることも多い。
で、芥川賞作家、小山田浩子のデビュー作「工場」は、刺すが純文学系の人だけあって伏線らしきものは提示されるのだが、それを回収して納得できる作業をするのは読者側である。つまりは、謎が謎のままで解決は書かれない。
ネタの発想法は三崎亜記に似ているけど、もっとずっとダーク。日常の一本裏通りを走る非日常みたいなw
新潮新人賞の選評には「ライトなカフカ」というのもあったらしいが、なるほどそちらもしっくりくるなあ。
少し毛色が違うものが読みたいけど、あまりヘビーなものはちょっとという人にはおすすめかも?
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<工場>
牛山佳子:契約社員。一日中ひたすらシュレッダーをかける仕事(バイトにでもやらせりゃいいのに、と思うんだけど何だろうな)。正社員との扱いの違いに憤りを感じてる。
古笛:正社員。コケの研究をしているだけで会社には何も貢献していない感がすごい。
牛山(兄):派遣社員。前職をクビになり、彼女の働く派遣会社で雇ってもらい工場で校閲の仕事をしてる。
以上の3人による一人称視点の描写が、語り手をくるくると替えながら続いてゆく。語り手の変化が非常に分かりにくく、時間も入り乱れており、リョサ『緑の家』を読んでいるかのような(あそこまでタイヘンじゃなかったけど)不安さがあった。
<ディスカス忌>
語り手の知人の知人が金持ちの息子でろくに働きもせず結婚していない若い女性を孕ませちゃって、かたや語り手の奥さんは不妊で泣いてる話。
タイトルは熱帯魚という、生殺与奪を金持ち息子に握られている存在。熱帯魚の命を「観賞用」としているように、誰かの命を「観賞用」程度にしか見ていない者もいる。
<いこぼれのむし>
語り手がくるくる変わっていくなかで、職場の歪んだ人間関係が浮かび上がってくる話。基本的に全ての登場人物について、そいつを良く思っていない人間の評が付く(しかも悪い評が多い)ので、どいつもこいつも悪い奴に見えてくる。そんなことはないのだろうが。
『工場』でもそうであったように、狭い空間の中で相容れないような人間達がギスりまくる。職場なんだしある程度キャラを演じて、あとは色んなコミュニティに所属することで自分を曝け出せる場所を見付けていったほうが健康的だよなあ、と自分では思ってしまうのだが、それも難しい環境ってのもあるのだろうな。いじめに遭っている小中学生が、他のコミュニティに逃げ道を見いだせないまま死んでしまったりとか。大人ならそうはいかない、なんて言えないし。
どうでもいいけど、『工場』に小道具で出てきた「メンタルヘルス・ケアハンドブック~あなたもわたしもなやみにサヨナラ~」という冊子が出てくる。「大便のようなタイトル」(p.39)というがウンコは健康のバロメータであって、こういうの一応読んどいて自分の悩みを類型化してプリッと排泄してあげるのって結構大事だよなと思った。
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ミステリ的な起承転結のはっきりしたものではないので、好みが別れそう。
いきなり終わる。
全体的に暗く曖昧で、各登場人物の気分や思いを細かく・時にバッサリと言い切る描写を読んでいくうちに、自分はいつしかハマり込んでいった。
なんだか分かんないけど、(あぁなるほどねぇ)とか(えぇ、そんなことで?!)などツッコミをいれつつ。
なんだろう…曖昧率かなり高いものなんだけれど、このジワジワ感に結構浸れる。
基本暗いですけど。
気になる作家さんです。
他の作品も是非読みたい。
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タイトルの「工場」を含む短編集。
綴られるのは工場だったり、非正規や役職者が入り交じるオフィスだったり、普遍的な場所ばかり。
でも、どことなく変で、気持ち悪い。
それは文中に登場する「ウ」や「芋虫」に現れている。
何かの隠喩だと思ったけど、1度読んだだけでは掴みきれなかった。
よくある日常を描いているのに、SFのような非現実のような不思議なにおいのする作品。
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難解だった
あえて解釈する必要も無いのかともおもう。
時系列が独特なのが合わないのか。
いこぼれのむし は身近な人間関係を感じた
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これは大変面白かった!
「穴」メタモル。
「ディスカス忌」少女の像がちらつく。
「いこぼれのむし」これはややわからず。
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欲しい本のリストを持って
近所の個人経営っぽい
文具も扱ってる書店で
欲しい本リストが全滅仕掛けた
のだが、何とか在庫があった本
何を作っているのかわからない
住居、レストラン、娯楽施設、美術館
まである
どこぞの小さな町よりも
とてつもなく大きな「工場」
で働く人々の話
読んでいくにつれて
何の工場なのか謎が解けそうな
雰囲気はカバーイラストの
雰囲気からして皆無
登場人物が何人かいる
・正社員ではなく臨時社員として
何かはわからない書類をシュレッダーにかける仕事の人
・何かわからない書類の校正をする仕事をする派遣社員
・工場内の屋上のコケによる緑地化を、無期限にマイペースに進めて良いと丸投げされた研究者
が出てくる。
「場面の切り替わり」があると他の本では一行あけたりするのだが、この話では突然切り替わる。(一行あいてる箇所もある)
そのせいで最初は「誰が誰だったか?」全然わからなくなって数ページ戻って読む、みたいなのを繰り返していたのだが…不思議なことにだんだんそれもどうでも良くなってしまった…
全員、「淡々と工場の作業をこなす人」として読んでいた。
また、登場する人と関係のない工場内の設備や、他の従業員の描写をチラホラ「意味ありげ」に挟んでくる。
でも、多分伏線でもなければ、
意味は無いのではないか?
何を作っているのかわからない
「工場」で
何を目的とした仕事なのかわからない作業を淡々と、延々とこなす日々
その「何を目的とした物語なのかわからない文章」を淡々と延々と、意味を探しながら読む自分に重なり
他の二編が収録されているはずなのに
永遠に辿りつかないような気持ちになった。
途中「工場」内に生息している生物の観察記録を読むことになる。
「○○の一生」について記載されているあたりで、「工場」で働いている人々の一生を想像し、それは「工場」と言っているだけで自分達の生活している「自分の半径数メートル以内の小さな世界全体」のようなことなのか?
何度も妙な気持ちになる。
契約社員、派遣社員、正社員の視点
の不条理さみたいなのもなくはないが、上記のことが先に来て。そちらはあまり印象的ではない。
他の二編はコメントに追記していきます。
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「工場」を読み、行分けが少なく冗長だが様々なイメージを駆使し(説明をせず)伝えてくる手法が少し難解だが、下手には感じない。
そして「ディスカス記」は対照的に削ぎ落とされた疑似古典文学的な文体が著者の文学愛を感じさせる。
とんでもないオチに瞠目させられた。
この2作を知ってテクニック凄い、と唸るばかりだ。
この人は天才かもしれない。
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メインの「工場」と
「ディスカス忌」、「いこぼれのむし」の
三篇から成る本作。
「工場」では文中の時系列が行ったり来たりし、
複雑でありながら読んでいて面白かった。
工場ウや灰色ヌートリア、洗濯トカゲ…と
興味深い生き物について触れられたにも関わらず
工場ウくらいしかオチに使われていなかった気が…
と、書きながらも
「オチが無茶苦茶!」「文章が意味不明!」
という感想は全く抱けず…、
自分の想像力や理解力が乏しいなと
感じさせられるような内容と構成だった。
もっとこの世界観に深く入り込みたかった。
三篇の中では一番「いこぼれのむし」が好き。
職場での関係や環境がテーマとなっていて、
分かりやすかったからかもしれない。
それに加え、言い知れない気持ち悪さが
文章内に常に存在し続けていたのも好みだった。