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20181127~ 1219井手先生には以前職場での講演会に着ていただきました。なかなか熱い志を持った先生でした。このタイトルは人によっては微妙かも。
著者は消費税増税の必要性と、消費税が決して逆進的ではない公平な税制であることを丁寧に説いている。そして、すべての人々にベーシック・サービスを導入すべきと主張している。そして、その政策を実現するために日本の学者としては珍しいことに?政治に積極的に関わってこられたようだ。
私はベーシック・サービスのはよいと思うけど、積極的に実現されるまえに事実上導入されていくような気がする。
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新書にコンパクトに論点がまとまっていると思うけど
民進党の政策スタッフでらしたのかー
だったら政策に反映してくれよー
で1点減点
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数多くの社会学や経済学の本を読む中でも、説得力抜群の書である。
実もふたもなくバッサリと切るような本書の言説は快い。現在の日本の姿を否応なくクッキリと見せつけてくれる書と高く評価したい。
「自分は中の下と信じたい人」というカテゴリー認定は実にリアルである。なるほどそう分析すると格差拡大の中でも安倍政権の支持率が下がらない理由が理解できる。
初めて説得力のある日本の処方箋を見たようにも思えたが、果たして実現性はどうだろうか。
終盤のシナリオは詰めが甘い気がするが、大きな方向性には賛同できる。「戦後の勤労国家は行き詰まった」との認識は誰も否定できないものと思われるからだ。
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これまでの日本社会モデルは、勤労と倹約による自己責任で将来不安にそなえる社会を維持することを目標にしてきた.これからは税をつうじて「社会の蓄え」をつくり たがいに命やくらしのニーズをみたしあっていくのがベストチョイスだ.これが本書の要点だと感じた.それぞれに税金について次のような指標も参考になる.消費税1%=1.1兆円、法人税1%=5000億円、相続税5%=5~6000億円.ベーシック・サービスによる再配分のモデル図(p87)は分かりやすい.オランダの経済政策科学局(CPB,p166)は導入したい組織だ.政府から独立して経済分析を行う由.
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☆日本は貧しくなった。日本人一人あたりのGDPは2位から18位へ。東京の1泊2万円のホテルは、外国なら安ホテルの部類だ。
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支え合う社会、これまでのリベラル政党の政策で納得のいかない部分を、筆者は新しい社会のあり方として提示してくれた。
新書という制約の中で書けなかったのかもしれないが、ベーシック・サービスの具体的な中身と、政策のコスト、税制の形と財政への影響について詳しい記載が欲しかった。
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タイトルに”なんで増税が幸せにつながるの?“と思いますよね…。結論を言うと「一人一人が自分の将来の不安に備えて貯蓄する社会」よりも「税金という形でみんながお金を出し合い社会でプールしておき困った時には税金で助けてもらえる社会」になったほうが将来に不安のない社会を作れるのではということ。そんな社会を作るには税金に対する信頼を取り戻すことが必要だと述べています。なるほどと思われた方はぜひとも読んでみてください。
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オランダのCPBについては、恥ずかしながら知らなかった。65歳以上の高齢者を15~64歳が支えるということでなく、非就業者を就業者が支えるというのは、単純になるほど! と膝を打つ。
頼りあえる社会をつくろう! 全国のソーシャルワーカーを勇気づけてくれる一冊。
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読む前の私「へー消費税増税論者かー。なんで増税が幸福につながるの?????」
読了後の私「消費税増税は非常に有効な手段である」
読む前はなんで消費税増税なのか全くわかっていなかったですが、読んで説得されてしまいました。。。非常に勉強になりました。「成長」頼み、自己責任をうたう社会がいまどんな状況になっているかを著者は客観的に示し、成長に頼らなくても幸せに暮らしていける社会を目指そう、とよびかけ、グランドデザインを描いています。なぜ消費増税かといえば、「もつべきものからもたざるものへの移転」という形態に対して生じる階層間の分断を防ぎ、「痛み分け」という形で堂々と応分の負担を求めていくべき、という議論です。
日本は「増税してよかった」「増税で税金の負担が増えたけど、こちらの部分の支出は減ったので良かった」といった、増税の成功体験がない、という指摘は、自分の気持ちに照らしても納得。消費増税の一番の壁はおそらく世論の抵抗なので、成功体験となるように、増税と目に見えて結び付く社会サービスの拡充ができると良いが、多様な生活を送っている国民のあまねく層に納得してもらえるような成功体験を用意するのは、相当難題と思われる。(3~5歳保育料無償化の恩恵も限られた層にとどまってしまう。大規模な措置には大規模な増税が必要。)
そしてこれはよく言われていることだけど、日本は、世界の他国と比べて「自分の税金は高すぎる」と思っている人がとても多い、つまり税金の恩恵を受けていると感じられていない。
増税に対して今まで自分たちが繰り広げていた言説(その前に無駄を削れ、防衛費や公共事業費はなんなんだ、信頼できない政府に税を払えない等々)に対して、第5章でされていた反論にも納得致しました。
ベーシックサービスを目指し、あとは、どうやってこの大転換を現実に行えるか、が最大の難題ですね。
民進党の政策作りに加わっていたとのことですが、ぜひまた政策作りに参画していただきたい。
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今の日本社会は勤労と貯蓄という従来の価値観ではやっていけなくなっている。
税金は生活保障サービス、子育て、教育、病気、介護などにもっと使われるべき。
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『幸福の増税論』というタイトルの割には、幸福感を受ける内容ではなく、むしろ重い印象を受けました。
また、あまり親切な内容ではなく、わかる人にしかわからない印象を受けましたし、現実に即した内容、というよりは、机上の空論、という印象を受けました。
とはいえ、税金や社会保障のあり方を考える上では、参考になる本だと思います。
また、基本的には中立的な考えに徹する姿勢を感じ、その点については好感を持てました。
税金や社会保障のあり方については、少なくとも日本においてはビジョンがないように思います。
ひとまず、仮で構わないので、日本としてのビジョンを政府が明確にすることが必要だと、個人的には思っています。
もし間違っていても、修正していけばいいのですから。
ただ、そのためには、まずは、税や社会保障についての教育が大切だと思います。
時間がかかったとしても、最も確実な方法だと思いますので、小中高で、税や社会保障についての知識が身に付くようにすべきだと思います。
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北欧の社会制度にずっと興味を持ち、憧れてきました。役に立つ事が実感出来るのであれば、高負担の税も納得できる気がします。助け合える社会に私も生きていたいです。
ベーシックインカムにも興味があったけれど、なるほど、ベーシックサービスの方が適切だなと思いました。
けれど、北欧社会よりも日本人の方が自立心に乏しい様に感じていて、無料サービスと言われたら病気じゃない人たちまで病院に押しかけて無駄な検査を受けたがったり、同じ話をあちこちで繰り返したりしてるんじゃなかろうか、という懸念は払拭出来そうにありません。
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日本人の多くが生活不安を抱えており格差が拡大しているが,日本人の痛税感による租税抵抗(増税の忌避)により対応策を講じれないどころか,勤労と倹約の美徳により日本は自助努力が前提の社会になっている。そうした現状認識のもとで著者なりの改革を提案した本。
受益があることを明示したうえでの増税の提案となっている。消費税を軸とした増税による財源の確保で医療や子育てや教育等の自己負担をなくすというベーシック・サービスが提起されていた。批判や起こりうる反論に対しては説得を試みている。「政府が信じられないから増税に反対するのはよい。だが,その拒絶によって,この社会がいったいどのようによくなるのだろうか」(166ページ)が印象的だった。
著者の主張は日本人に対してどこまで説得力を持つのかが気になるところ。昨今の防衛費や少子化対策の財源に関する議論や世論をみると,まだまだ日本人の租税抵抗は強いように思う。
日本人の租税抵抗が今後どうなるのか気にしていきたい。
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本書に考えさせられた記述が多々。
一つは、「働かざるもの、食うべからず」の価値観。我々は生活保護受給者を快く思わないが、それは不正受給への疑念もあるが、根底には、真面目に働く自分がバカみたいに見えたり、支給に対して感謝されるような実感がないからではないか。しかし、これは保険のようなもので、本当に困ればお互い様、と考えても良さそうなものだ。
こうした価値観を補強するように日本には、勤労の義務と生存権がある。通常は、これらを両立させる必要があるが、前記は生存権のみの主張だ。ソ連の憲法の中にも、働かざるもの、食うべからずの原則に従った義務と言う記載があったという。ここでの「働かざるもの」とはレーニンによれば、金持ちと怠ける者のこと。しかし、日本人の感覚では金持ちを「働かざるもの」には含まないだろう。考えさせられた。
租税負担率が上がり、社会主義化してしまうと、労働の意欲が減退すると信じてきたが、むしろ頑健な保障の場があることで、思い切ったチャレンジができるようになるのではないだろうか、というのが著者。実際、どうだろうか。人間には、マウントを取りたいから頑張るという思考が少なからず、そして残念ながら、存在する。この点では、既に失敗した国もあったと思うが。
人間は、誰かにみせびらかすために消費を行う。いわゆる顕示的消費である。世の中は、顕示的行為で溢れているが、もはや本能行動に近い。金ではなく、別の基準で価値観を切り替えられるなら、「幸福の増税論」もあり得るかもしれないが。