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入山章栄氏の講演でこの本の紹介を受けたのを機に購入。
感想。良書。ただアメリカの学者の本にありがちな、事例、例えが多いパターンで約400ページあって、要旨がわかりやすい本にしては胃もたれする感じ。巻末の冨山和彦氏の解説は最後の整理としてありがたい。
備忘録。
・50年前S&P500の平均寿命は50年。今では12年。破壊的変化の起こる割合が増えている。
・40年存続する米国企業はごく少数、0.1%。1979年に創業した企業のうち10年後も生き残っているのは10%。順調な企業、財務力、市場シェア、顧客ロイヤルティ、人的資本、それらを揃えている企業ですら、生き残るのが難しくなっている。
・成功企業はサクセストラップによって危険性が増す。
例えば、コダック、シアーズ、ブラックベリーとか。
・成功企業は、効率を高めてコストを削減し、既存事業を深化させる能力は備えているが、顧客や競争の変化に応じて新業態を探索能力に欠ける。
・例えばシアーズは、1980年代に、全米世帯の70%をカバーし、アクティブなクレジットカードユーザーが3200万人いて、これは全米世帯の57%。アマゾンになれた筈だが、百貨店に拘り破綻するに至った。
・ダーウィンの指摘は組織にも当てはまる。生き残るには適応するしかない。
・業績が好調に推移している最中に、両利きの経営に舵を切って成功した企業は、IBM、富士フイルムとか。余裕のあるうちに次を考える。
・コツは、既存事業の影響や支配を受けずに、その一方で既存事業の持つ資産(含む情報、ノウハウ、人材他全て)にアクセス可能な状況で長期的に次のビジネスに取り組ませること。経営陣が短期的成果に執着すると、目先の業績にマイナス影響を及ぼす新規事業は没する。トップの理解は必要不可欠。
・そのためには、顧客の視点に立って、自社のコアコンピタンスを多少無視して、戦略を考えるアプローチも必要。
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・Exploitation(深化・有効活用)と、Exploration(探索・開拓)
・両利きの経営の能力ー既存事業の深化で競争しながら、新規事業を探索することができれば、変化に直面しても組織は生き残っていける。
・両利きの経営の付加価値は、成熟事業の貴重な資源を、新規事業に適用できる所にある。
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■両利きの経営とは
以下2点をリーダーシップを持って推進していくこと。
・知の探索
自身や自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうとする行為
・知の深化
自身や自社の持つ一定分野の知を継続して深掘りし、磨き込んでいく行為
既存事業の影響や支配を受けずに、一方で既存事業の持つ資産(含む情報、ノウハウ、人材など)にアクセス可能な状況で長期的に次のビジネスに取り組むこと。
成熟事業の貴重な資源を新規事業に適用できるところが両利きの経営の付加価値となる。
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新規事業担当には必読の1冊。知の探索と知の深化。世の中でも皆気が付き始めていることだとは思うが、具体例も豊富に交えて解説してあり頭の整理になる。
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もともとエンジ会社の技術開発にいて、新しいことに対してリスクを冒さない会社の体質にうんざりしていた。
会社の本業である実行部隊に異動して、これまで言われてきたことが少しづつ理解してきていた中、この本を読んだ。
実はどちらも重要で、考え方としては矛盾するため、切り離して整理していかないと、理解できない。また、理解したとしても実行するためには多くの困難が待ち受けている。
ではどうするという回答までは導き出せるまで至らなかったが、ベースの考え方を学べた。
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探索と深化。変化と進化。アマゾンの箇所が一番読みやすかった。凝りかたまりせず、柔軟に状況に適応していくことと、頑固に極めていくことと、その両方がバランスよく持てるのか、。
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イノベーションのジレンマに陥らないためには、「深化」と「探索」の両立が必要。そのためには、探索する事業が競争優位性を持つような、組織的アセットやCapabilityを持っていること、経営陣が「探索」する事業への監督含めコミットすること、既存の「深化」事業と適切な距離を置くこと。物理距離も含む、が大事。また、「深化」「探索」横断でシナジーが生まれるようなビジョンの構築も必要
IBMが衰退していた時、実は次の市場を創出するような事業アイデアはたくさん資料に存在していた。ただ、実行に至らなかった。実行するための組織改編やアセットの再配分、ができていなかった。
「探索」していく上で組織間のコンフリクトや調整は必ず生まれる。トップがこのコミュニケーションにどこまで粘り強く入れるか、が重要
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クリステンセンのイノベーションのジレンマから時代が過ぎ、新規事業ユニットはスピンアウトすべし、という考え方から一転、成熟事業の組織能力を活用すべし、という戦略に変わった。
アマゾンの事例やその他、本戦略をとって成功した企業のストーリーは非常に参考になる。
ただ、目線が経営者の目線であり、その他のマネージャー層で何ができるかはなかなか難しいと思わせられる。
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深化と探索 二つの矛盾するケイパビリティを組織に内包するには、どうしたら良いのか、具体例を示しながら非常に分かり易かった。
①探索と深化が両方必要である事を正当化する明確な戦略的意図
②経営陣によるベンチャー育成、資金供給への関与、監督、潰そうとする人々からの保護
③深化的事業から十分距離を置くとともに、深化的事業が持つ重要な資産、組織能力に容易アクセスできるよう、組織的インターフェースを注意深く設計する。
④探索ユニット、深化ユニットにまたがる共通のアイデンティティをもたらすビジョン、価値観、文化による仲間意識の醸成
このフレームワークは新規事業、イノベーションの創出にとどまらず、既存事業における事業変革においても当てはめることができると思った。
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最近よく聞く両利きの経営のオリジナル。事例が多くて読むのは大変だが、既存事業を持つ企業が新規分野を探索するには、既存事業とある程度分離しつつも強みとリソースを活用できる組織設計がポイントでそれをできるリーダがいるかどうかが成功と失敗を分ける、ということを再認識。
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長く生き残る企業は現業のExploitationと将来のためのExplorationをバランスをとってやっているとの論。またそのためには二つをある程度別組織にして、トップのビジョンと庇護をで同じ屋根の下にかろうじて収まっている程度のコントロールと、Explorationの方のシステマティックな進捗管理が推奨されている。たくさんの成功・失敗事例が出てくるが、その時の環境と経営者のベットの当たりはずれが要因じゃないか?と見えるものも多く、理論というより逸話の集合体のようにしか個人的には思えない。経営学とはそういうものなのかもしれないが。
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クリステンセンの「イノベーション・ジレンマ」で理解したが、実行力の構築が困難だ、と感じていた人にとっての良書です。
現業強化の深化、新事業の探索の両立に関する考え方のフレームワークの例があり参考になるはずです。
しかしながら、もう1歩踏み込んだ事例解説にならないと、既存事業が強い組織での実行力を作るにはイメージがしづらいと思います。
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『両利きの経営』=探索(自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうという行為)と深化(探索を通じて試したことの中から成功しそうなものを見極めて、磨き込んでいく活動)がバランスよく高い次元で取れていること。
既存組織・サービスで限界まで突き詰めながら、全く新しい領域まで手を伸ばさないと企業は生き残れないということを、様々な事例で紐解く。
日本人には富士フィルムの成功例が理解しやすい。
必要なのは探索と進化を両立させる組織体制と、それを実現しドライブするリーダーシップといったところか。
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ジャンルを超えてきた競合との、新たな競争に晒されるなか、成熟企業には「探索」と「深化」、共にマネージできること、すなわち「両ききの経営」が求められる。両立は不可能、せめてスピンアウトを、との論調が一般的なところだが、筆者は構造的には分離させつつ、接点をマネージしながら、運命共同体としての共通の報酬制度を通じ「統合」することを説く。
成熟期の日本企業の方向性はこれかと合点した。
“どちらか一方”をとれない、思い切って変わらないことが弱点でもあり、美徳でもある日本企業にとっての得意技ではないかと思う。
ただ具体的なアクションとなると、私たち日本人の苦手な、「ベンチャーの育成と資金共有に関与」し、「その芽を摘もうとする人々から保護するような強いリーダーシップの発揮」と、「基本的課題である実行力(※戦略は実行あってのもの ガースナー)の発揮」が必要で、これらが私たちにとっての最大で困難なチャレンジになるはず。
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202004/
ベゾスの考えでは、小売業者は二つのタイプに分かれる。より多く課金する方法を探す小売業者と、より安くする方法を見つけようとする小売業者だ。アマゾンが常にめざしてきたのは後者であり、「きわめて低い利益率で、私たちは常に非常に心地よく事業運営を行ってきた」という。
アマゾンの売上高は2000年には27億ドルとなり、書籍販売から、ベゾスの言葉を借りると「買いたいものを探せば見つかる場所」へと変貌を遂げた。/
アマゾンの戦略を説明する際にベゾスが指摘するのは、顧客志向を打ち出す企業は多いが、そのうちの大半がそうなっていないことだ。その理由として、「企業はスキルを重視する。新しい分野に事業を広げようと考える際に、最初に考えるのは『なぜこれをやるべきなのか。自分たちにはその分野のスキルがない』点だ。こうなうと、企業の寿命は有限になる。というのは、世の中は変わっていくため、かつては最先端スキルだったとしても、すぐに顧客には不要なものとなるからだ。それよりも『自社の顧客には何が必要か』から始まる戦略のほうがはるかに安定している。この問いかけをした後で、自社のスキルとのギャップを調べていくのだ」。/
USAトゥデイの事例から学べること
第一に、カーリーが戦略的意図(「新聞ではなく、ネットワークになr」)をはっきりと打ち出し、探索ユニットと深化ユニットがいずれも同じ組織の一員として協力し合うべき、正当な理由を示した。
第二に、組織全体に適用される共通の価値観(公正さ、正確さ、信頼性)という形で、共通のアイデンティティを与えている。
第三に、最終的に配下の上級幹部チームが足並みを揃え、新戦略に尽力するよう徹底させ、熱心でない人は参加意識の高い人と交代させた。
第四に、探索と深化の両部門を構造的に分離させつつ、重要な接点のマネジメント(日次の編集会議)と運命共同体としての報酬制度を通じて、しっかりと統合が図られている。
最後に、カーリーとそのチームは、新組織を推進する勇気を持っていた。紙媒体の資源を転用して、新しいウェブプロジェクトに資金を回すといった意思決定は物議を醸したが、諸々の反対意見に屈しなかったのだ。/
経営陣が果たすもう一つの重要な役割は、新規事業と成熟事業の間のインターフェースを管理して、必ず起こってしまう対立を解決することだ。両利きの経営の付加価値は、成熟事業の貴重な資源を新規事業に適用できるところにある。リーダーシップが介入しないと、こうした事業は孤立したユニットとなり、ある事業から別の事業へとスキルや学習を有効活用する機会が持てなくなる。
しかし、最善の意図があったとしても、新規ユニットと既存ユニットの間には対立が起こるものだ。そこで経営陣が間に入らないと、ほとんどの場合、成熟事業が幅を利かせ、スタートアップは不利益をこうむる結果になる。少なくとも、新規ユニットが生き残れる事業だと証明できない限り、そうなるだろう。/
第三の重要な共通点は、探索ユニットを大組織から分離させることの重要性だ。既存の施設を使うことの効率性については議論が分かれるところだが、前述の事例はいずれも、���ユニットを本社組織から物理的に切り離していた。古い構造やプロセスから解放され、新しいスタートを切るうえで、こうした分離はきわめて重要だったと、新規事業のリーダーたちは協調している。このように距離を置かないと、古いマインドセットから生じる惰性によって、新規事業の成長に必要な焦点がぼやけ、熱量の低下を招きかねないのだ。/
最も成功している企業がイノベーションストリームを構築し、両利きの行動をとっていることはもう明らかなはずだ。深化ユニットでは重視されるのは漸進型イノベーションと絶え間ない改善だが、探索ユニットでは実験と行動を通じた学習である。探索ユニットはスピンアウトせずに、深化ユニットの中核となる資産と組織能力を探索ユニット内で活用する。内部的に矛盾をはらんだ探索ユニットと深化ユニットを共存させるには、包括的で感情に訴える抱負、基本的価値観、幹部チームの強い結束力が必要になる。/