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久しぶりに川唯センセ。やっぱり好みの登場人物と世界観に大満足で何度も読み返してしまいました。
街のビストロを舞台にした、ソムリエとシェフのおいしそうでちょっとじれったいお仕事ものです。
ボリュームたっぷりのページ数だけど、5年分の掌編連載が詰め込まれていて読みやすいスタイルに仕上がっていました。次巻待たなくても結末まで読めて、描き下ろしも入っているから一気読みして「神!」って叫んでまた読み返してしまったり。
ビストロのお仕事ものって、飯テロ以外の何物でもありませんよね…登場するご飯が全部おいしそうでここも注目ポイントですよね~
それを作る近森は口は悪くて愛想も悪いけど、実は天才シェフで根はとってもかわいい性格なのです。もうほんとに素直じゃなくて、でもそこがたまらなかったです…!
そんな近森をさり気なくサポートする梶が、めちゃくちゃカッコよかったです。わがままシェフに嫌な顔一つせずにとことんお世話しちゃうイケメン。
近森の作る料理に心酔していて一目置いてるというのもあるけど、結局胃袋つかまれちゃったわけですね…!
でも、恋心には疎くて鈍感でおまけに人タラシだから、知らないうちに近森をグルグルさせて恋におとし入れていた超罪なオトコなのです。
この二人の恋模様のデリケートなところがすごく上手く描かれていて、心わしづかみにされてしまいましたよ…
ツンデレな近森がたまに見せるデレがかわいい…!嫉妬して火傷しちゃったり一緒に働きたくないとか言い出したり、何が飛び出してくるかわからない危うさです。
そんな近森の想いに気づくの遅すぎる梶だけど、自分の気持ちにも気づくの遅すぎで、そういうイケメンとのギャップ感がツボど真ん中でした!ちょっとムード作りもヘタクソなところもいいw
なのに、スーパーポジティブなところが最高です。
「うちのシェフ」から「俺のシェフ」っていう思考が攻様としてすばらしいです。
描き下ろし「K氏の密かな悩み」が個人的にたまらなかったです。
昼は暴君シェフで絶対君主なのに、夜のベッドではめちゃ無自覚なドM~!!!
わかってないから、超負けず嫌いなセリフを吐いているのだけど…これは梶でなくともS心が湧いちゃいますよね。
川唯センセがあとがきで葛藤されていたと書かれていて、それでもこんなに何度でも読みたくなるような作品を送り出してくれて、感謝しかないです。
『雫 花びら 林檎の香り』がセンセの作品の中で一番好きなんですが、これも負けず劣らず良いなと思えるお話でした。