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SFだけでなく、その周辺領域としてのマンガやアニメ、幻想文学やファンタジー、さらには現代アートや演劇まで戦後の様々な出来事が網羅されている。
それだけに、書名にある「SF事件史」からはかなり内容が拡散してしまっている印象は否めない。どちらかといえば、副題の「日本的想像力の70年」の方が本書の主題と内容を的確に表しているといえよう。
前作『日本SF精神史』が面白かった(評判も良かったようだ)だけに、散漫な感じの本書は残念。SFに絞るか、日本的想像力に主眼を置くか、どちらかに力点をおけば良かったのではないだろうか。
【2012/2/22 追記】
現在の「想像力の欠如」状況に至った過程とその理由が考察されていないのは残念。
著者は80年代以降に隆盛を極めているTVゲーム(とその派生である携帯ゲーム)について触れていないが、安易に攻略本に頼る傾向と併せて、それこそが「想像力の欠如」に至る一因なのではないかと愚考する。