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鬼鉄刀の「刀の試し」で残酷な真実が突きつけられる4巻である。
武士として刀の試しをすんなり成功させた小次郎とは違い、武蔵は刀から拒絶され、全身から黒の棘を発現させる「忌人」だったことが判明する。
ただ、そこにはある種の物語的な秘密が秘されていて、武蔵のような人間を捜し求めていた伴天連風の男・犬飼四郎との再会と、彼による罠によってそのことが明らかにされている。
穴に落とされ、溶岩の焼かれるか刀の試しを行うか選択を迫られた武蔵は、黒曜の女神と称される身中の何かと対面する。
そこでもまた残忍な、あまりに心を砕く過去が武蔵に突きつけられる。ちょっと武蔵痛めつけられすぎな感があるのに、それでも全然折れてない武蔵がハンパない一巻であった。
ある種の貴種流離譚的な、特別な何かを秘めているらしい武蔵が描かれた一巻である。
まだまだ物語の謎解きは途上であり、物語も犬飼の小次郎への襲撃を助けに向かう武蔵の姿でクローズする中途の展開だ。
その辺も加味して、ここでは星四つ相当と評価したい。犬飼と再び対面する武蔵がどんな言葉を吐くのか、次巻が楽しみである。