人生に向き合おうと思える作品
2019/10/01 20:25
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投稿者:ルカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
あかつきマーケットのマスコット「あかつきん」は逃亡後、たまに出没し善行しているという噂が。
一面だけを見て、その人を決めつけてはいけない。良い所もあれば悪い所もある。
小さなきっかけで立ち直れることもある。
人生に向き合おうと思える作品。
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確かに朝が明るいのも、夜が暗いのも、それは自然ことで特別な事ではなくて、だからこそ生きていられるんだとは思う。どれ一つとっても思うようになる事は限りなく少ない。それを生きぬいていくと、いうのが人生の自然なんだろう。夜は暗い、だけで終わらない。その逞しさをあかつきんは見ていたのかもしれない。要はそれぞれで、良いことも悪いことも、抱えながらどうにかやっていくのが人生だと。優しかったり、優しくなかったりするけれど、最後はとても穏やか。良い作品でした。#NetGalleyJP
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「夜が暗いとはかぎらない」寺地はるな
短い短い短編が13。
そこには日常が書いてありました。
大阪のあかつきマーケットのある町に暮らす人々。
あかつきんちゃんは私の乏しい想像よりも、
装幀でなかなかのパンチ力のある
キャラクターと判明。
人はみんなどこかで自分の「あぁ⤵」と思う気持ちに
折り合いをつけたり、
ちょっと片目を瞑って落としどころを見つけています。
そんな当たり前だけど、
結構しんどかったりすることが書かれていました。
大きな事件も驚くような好運もないけれど、
その人にとってはもちろん大事な出来事です。
一生懸命、暮らしていこうと、
そう思いました。
#夜が暗いとはかぎらない #NetGalleyJP
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驚くエピソードや奇跡や物語はないけれど、この商店街で生きている人達一人ひとりが、その時をしっかり生きている、そんな物語。特に『バビルサの船出』に感動…。読んで良かった、そんな本。朝が明るいとはかぎらない…そうだよなぁ。
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閉店が決まったあかつきマーケットのマスコット『あかつきん』。
その周辺に住む色々な人たちの繋がりや心の内が描かれていました。
表紙の『あかつきん』に惚れ込んで?、そしてストーリーにも惚れこみました。
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あかつきマーケットに関わる人たちの人間模様。
1朝が明るいとはかぎらない
リヴァプール、夜明け前
蝶を放つ
けむり
赤い魚逃げた
声の色
ひなぎく
消滅した王国
はこぶね
2昼の月
グラニュー糖はきらきらひかる
青いハワイ
バビルサの船出
生きる私たちのためのスープ
3夜が暗いとはかぎらない
閉店が決まったあかつきマーケットのマスコットキャラクター・あかつきんが失踪し、街中に出没する噂が流れる。
あかつきマーケットに勤める人や、買い物する人、あるいはその友人など、世間の普通や常識というものに、心なしかとらわれ、息苦しく生きている。
みんなが正解と思っていることが、自分にとって正解とは限らないことを肯定してくれるエピソード。
最初、あかつきんのキャラいる?と思ってましたが、詳しく言及されないあかつきんが、後々、物語の象徴のような役目を果たし、今までと違った読後感でした。
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寺地はるなという作家が好きだな。
デビュー作であるビオレタを初めて読んだときではなく、今、強くそう思う。
私は本を読むのが好きだ。それはもういつからとかどうしてとか理由とかはじまりを覚えていないくらい本は私の生活の一部だった。
(今は活字の日に生を受けたからだと後づけでかっこいい理由をつけている)
今の私は本を読むことの何に楽しさを見出しているのだろうと考えてみて、寺地作品を読んでいてようやくすっきりする答えを見つけられたように思う。
私は物語に気味の悪い美しさとか理想は求めていなくて、安心したいのだろう。(自分の捻くれた性根からして間違いない。)
奇跡も美しさも垣間見られない退屈で窮屈な現実世界と続いているところで物語を読みたい。
こんな毎日を生きてるのは自分だけでないと安心したい。
余裕がなくなって簡単に誰かを傷つけてしまったり、周りが見えなくなったり、誰かの理想を押し付けられて息苦しくなったり、家族とうまく話せなくなったり、『夜が暗いとはかぎらない』のそこかしらに「私」がいた。
そして、ぐさりと胸を抉られるような痛みと同じくらい安堵も覚える。
そうか、私だけではないのだな、と。
作中に、多くのお気に入りの表現を見つけたのでいくつかご紹介したい。
“だけど、朝が明るいとは限らない。どんなことがあっても、時間がめぐれば朝は必ずやってきてしまう。”
これすごいなぁ。朝がやってきてしまう。確かに私にもそんな後ろ向きな気持ちで迎える朝はある。(たとえば毎週月曜日とか)
それを小説の中で言ってしまえるその潔さがかっこいい。そうだ、朝がいいものだなんて、誰が決めたの?
“その人の好きは、その人だけのものです。わたしたちの『好き』はわたしたちのものです。世間にすでに存在するパターンに当てはまらないからって、ほんとうに人を好きになったことがないなんて決めつけられたくない。”
もうここ太字でマーカー引いて、「はい、ここテストでるからね!」と声高に言いたい。昨今の私たちはどうにもいろんな気持ちを既存のパターンに嵌めたがる。そんなものくそくらえだ!と、首がもげるくらい頷いてしまった。
“ひとりでも楽しそう、というのが柳田を好きになった理由だ、と言ったら、弟は納得してくれるだろうか。もし明日私が姿を消しても、柳田は平気で私と知り合う前の日常に戻っていくのだろうという気がするから安心してつきあえる。君なしじゃ生きていけない、などと言い出す人はあぶなっかしくてこわい”
これには本当にノックアウトされた。まさに自分がそうだからだ。わかる。わかるよ、瑛子!弟くんが納得してくれなくても私はわかる。瑛子ちゃんとビール飲みたいよ。そんな危うい男など好きになれないよな!!(うるさい)
挙げたらキリがないほどに私の琴線に触れる表現に溢れている。どのエピソードにも自分が見え隠れしていて、時に読むのが辛くなる。それもまた、本を読む楽しみではないか。しみじみ。
『夜が暗いとは限らない』に奇跡は起こらない。誰の目にも見えるような大きな変化も、全米を泣かすほどの感動もない。しかしながら、多くではなく少数の人間のハートを深く強く揺さぶる。
そしてそういう物語は必ず誰かの本棚の10年選手になるだろう。
BOOKOFFの棚ではなく、私のようなごく一部の人間の本棚の大事な場所にずっとずっと居座ってくれるのだ。
寺地はるなという作家はきっとそういう作品をずっと書き続けてくれる。そう期待してしまう。
最後は作中のとあるキャラの台詞でしめようかな。
『心のバランスが崩れたことがない人なんているの?』
そんな人なんていないから。誰もがそうだから。
だから、『私も』、今日を、明日を、生きていく。
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すごく好き。
出てくる人みんなが生きていた。劇的ななにかがあるわけではない。日常での不満や不安や心残り。それでも生きていく。そんな日々の積み重ね。些細なことやふとしたことで、すこしだけ心を軽くして、でも同じような悩みにまだぶつかって。
読み終えたら、とりあえずやんなきゃな、というすこしだけ前向きな気持ちになれた。
多分、少しでいいんじゃないかな、て。
ただそこにある、いる、だけ。
覚えていても忘れていても、それは変わらない。知らず知らずに、だれかに溶け込んでいる。思い出さなくても。そういう考え方がとても好き。
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タイトルにひかれて読んだ本。
心温まるような話から、ゾワッとする不穏さを孕んだ話など多岐に渡っていてその緩急がよかった。
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閉店してしまう暁月マーケットとそのマスコット、あかつきん。
マーケットにゆかりのある人たちの連作短編集。
出てくる人たちはみんな、仕事や子育てなど、頑張っているのに上手くいかなかったり、家族や友人などの関係に悩んでいたり。みんな誰もが悩みを抱えて生きている。周りの人との細やかな繋がりの中で、「頑張っているんだよ」と励まされ、自分を肯定していく様子は、読んでいて、私自身も励まされている気持ちになる。
行方不明になり、街に出没し、人助けをするあかつきん。あかつきんの秘密にも励まされる。
自己肯定感が低くなったり、気持ちが塞がったり凹んだときに何度も読み直したい。
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寺地はるな作品 初読み
大阪の片隅にある あかつきマーケットのゆるキャラ「あかつきん」
閉店もうわさされるマーケットのキャラクターが突如 失踪。
でも SNSでは街のあちこちに出没しているらしい。
同じ街に住んで、「あかつきん」に関わる街の人達 ひとりずつは知っているようで
それぞれが自分の想いがあり、生活があり、事件があり・・・・
何気ない日常だけど みんな悩んで、考えて・・・・・いきている
沢山の人のエピソードが ビーズのネックレスのようにつながっていく。
オムニバス小説
私は「昼の月」のバビルサの船出・・・・好きです。
自転車屋のおじいちゃんとその孫の話
ひと世界の中で生きていくのに 少し心疲れている方 おすすめです。
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15編から成る短編集。
それぞれの日常のエピソードが何だかとても心に沁みる。3つの章の中では「昼の月」がよかった。もう一度ゆっくり読み返したかったけど、返却期限が…(^^;)
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『夜が暗いとはかぎらない』うーん、深い!『明けない夜はない』とか『やまない雨はない』とかは言いますが、『夜が暗いとはかぎらない』ですよ。
この物語を読むとそのタイトルの意味することがよくわかります。ここでその解説を述べるのはちょっと違うと思うので、そこはスルーしておきますが。
さて、私ごとですが、かなり久しぶりに小説を読みました。久しぶりに読むと、この連作短編集にちょっとビックリしたりします。この人がこうで、えっ!?この人はなんの人だっけ?っていう風に頭がこんがらがったりします。
でも、新しい発見がありました。連作短編集って、今までは当たり前のように読んでましたが、これって、物語のリレーみたいですね。各章でそれぞれ違う登場人物がいて、それぞれの登場人物がその章では主役になって頑張っています。そして、この寺地さんが描く登場人物はみんなが魅力的で、その各章が終わるたびに凄く寂しい気持ちになります。
いやぁ、本当にどの章も面白かったし、優しかった。寺地さんが描く物語で共通しているのは、優しさでしょうか。嫌な奴だなと思っていた人も、他の章でその人のいい部分が見えたりします。
どの章も面白かったんですが、最後は誰が主役になるのかなぁ?と思って読んでいくと、やっぱりこの人ですよね!そして、各章で活躍した人たちもみんな出てきて凄い贅沢な最終章。
『夜が暗いとはかぎらない』。どの章にもその意味が隠されていると思います。久しぶりに読んだ本がこれで良かった。
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読み終わったばかりだが、もう一度読みたいと思った。(若干出てくる人が多くて混乱したし…汗)
あかつきマーケットを舞台に、丁寧な描写でどんどん繋がっていく人達。(そもそも住んでいる場所が近いから、どこかでは繋がっているのだろうけど。)
どの人も訳ありな事情を抱えていて、でもそれが直接的ではなくても、いろんな場所でほころびが縫い直されていくような、心が温まる内容だった。
特にこの人が、というわけではなく、みんなが愛おしくなるような作品。
良い作品と出会えた。
生きていくって本当に大変。
自分もどこかの誰かの心に散りばめられたいなぁ…。
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閉店が決まった、あかつきマーケット。
そこで働く人、そこを訪れる人々が抱える悩みや思いが綴られた連作短編集。
私には合わなかったかな。
ただ、この作品の中に登場するトキワサイクルのおじいさんは、なんだかいいな❤︎と思った。