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いつか読もうと思っていた本。
ル・コルビジェ設計の西洋美術館。こんな熱い想いがあって美術品が集められてきたとは。絵画に心を奪われ、いつか日本の若者たちにも見せたいという気概。夢を託された人々が戦争の中で必死に守り抜き、ついには日本にやってくる。まさに美しき愚かものたちのタブロー。
パリの情景も目に浮かび、熱い想いもヒシヒシと伝わってくる。
なにかに一生懸命な姿は清々しい、そして美しい。
アートは生きていくうえで必ずしもなくてはならないものではないが、人生を豊かなものにしてくれる、人生に味わいを与えてくれる。そんな言葉が身に染みます。
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【いちぶん】
それがなくても生きていける。それがなければ何かが変わってしまうというわけじゃない。けれど、それがあれば人生は豊かになる。それがあれば歩みゆく道に一条の光が差す。それがあれば日々励まされ、生きる力がもたらされる。
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西洋絵画を日本で観れるのは松方幸次郎や、その協力者の構成であることを知ることが出来る一冊。本文中、ひたすら絵画への愛が溢れていて、その世界観に没頭してしまう。絵画好きも、そうじゃない人も、国立西洋美術館に行きたくなるはず!
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上野の西洋美術館の松方コレクション展に合わせた
小説。
まだ、見に行けてないのですが
モネの水連、水連、柳の反映。
ゴッホのアルルの寝室
ブラングィン 共楽美術館構想俯瞰図
マチス
を見たいと思います。
小説としては、もっと絵を見せてほしかったかなと。
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日本に美術館を創るという情熱を持った松方幸次郎と、その思いを支持し尽力してきた男たちの物語。
今、日本で西洋絵画を見られることの裏には、このような歴史があったのか…
絵画に情熱を注ぎ、動き、守ってきてくれた人々がいるから、こうして目にすることが出来る。
これから西洋美術を見る際には、今までよりも有難みを感じながら見るに違いない。
そして、つい頭で絵画を見てしまう時があるのだけれど、心を解放して、味わって、対話して見たいなと思った。
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松方コレクションに纏わる秘話。
ロンドン、パリを奔走し
「絵画(タブロー)」を 集め
大戦の惨禍から逃れそれを 守り
取り戻すために奔走した人々の物語。
■帯より
「いつか日本に美術館を創る」松方幸次郎
「全力で守ります」日置釭三郎
「松方さんの夢を叶えたい」田代雄一
「取り返そうじゃないか、この国に」吉田茂
4人の男たちと松方コレクションの命運
ほんものの絵を見たことがない日本の若者たちのために、
ほんものの絵が見られる美術館を創る!
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さすがの絵画は原田マハ。
膨大な資料を読みこなして書かれた内容には説得力がある。
松方コレクションはいかに集められ、いかに守られたか。
松方幸次郎氏の人生と、美術で彼を収集支えた人たちの並々ならぬ苦労と最高の芸術に巡り合った時の感動。
そしてゴッホやモネやルノワールがドイツ軍からも守られた経緯は奇跡だ。
国立西洋美術館に行かねばなるまい。
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1953年6月、主権を回復し「敗戦国」から脱却したばかりの日本から、パリに特命交渉人として送り込まれた田代。彼の目的は、「松方コレクション」と呼ばれる数々のタブロー(絵画)をフランス政府から日本のもとに取り戻すことでした。
本作は、松方コレクションが辿った数奇な運命と、タブローに魅せられた男たちの物語です。
基本的には史実に忠実なお話になっているようです。
力作だとは思いますが、うーんどうなんだろう、ちょっと実際の出来事に縛られすぎている感があり、また前半部分で説明調になっている箇所が多く、物語や登場人物の心情に入り込みにくかった印象です。
世間一般の評価は結構高いみたいですが、ドラマチックな展開に翻弄された傑作『楽園のカンヴァス』と比べると、個人的にはちょっと物足りなかったかなあ。
相変わらず絵画に対するマハさんの愛情は十分に伝わってくるんですけどね。
でも、後半の日置視点の章はとても良かったと思います。むしろ一冊丸々日置の物語で読みたかったくらい。
上野の国立西洋美術館で開かれている「松方コレクション展」、せっかくなので行ってきました。
有名な絵をいっぱい鑑賞できて楽しかったです。本書のおかげで知見が広がったのは収穫でした。
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あの松方コレクションの、そして西洋美術館黎明期のストーリー。原田マハさんの美術モノは間違いなく面白い!
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この本を読む前に松方コレクション観に行ったけどやっぱり感動した。
本当に絵が好きになったのはそれから。
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直木賞候補作。
どこまでがファクトで、どこからがフィクションなのだろうか。それが気になるということは、どちらかに寄せても良かったのではないかと思う。
日置氏のエピソードについて、彼の功績が最も地味で、最も困難で、かつ最も大きな功績なのではないだろうか?松方幸次郎や田代を中心にするなら、いわば「影」の重要人物たる日置の生涯をもっと丁寧にするか、もしくはいっそ書かなくても良かったのではないかと思う。むしろ日置が中心に描かれていれば、もっと面白かったように思えてしまった。。
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美術館を作りたいと夢を語った松方。
そしてその夢にほだされた田代。
だけどそのためには、フランス政府に没収されたコレクションの返還が不可欠だった。
戦後の不利な日仏関係のもとでの返還交渉、これは間違いなく熱いストーリーになる。
…と思いきや、返還交渉のシーンまでは100ページ弱の距離がある。
そしていざ返還交渉が始まったかと思いきや、物語は過去の回想シーンへと潜っていく。
気がつけば、松方の回想シーンに没頭している自分がいた。
そしてさらに回想は、日置のパートへと移っていく。
松方以上にアートに疎い彼の自問自答が印象に残っている。
ー 我々はなぜタブローに運命を狂わされるのか
ー ダブロー(絵画)とは一体何なのか
だけど松方も日置も、信じた使命を貫いた。
芸術に明るくない彼らが、それでも芸術の力を信じてバトンを渡していく。
抽象化されたアートがその意味を失って、純化された使命の色を帯びていた。
ここに原田マハの新境地を見た想いだった。
この小説のテーマはきっと芸術である必要はない。でも芸術だからこそ面白かった。
(支離滅裂な感想だけど、きっと読了した人なら分かってくれるはずw)
そして物語はその終結である美術館の開設へと至る。
返還交渉の直接的な描写はほとんど無かった。まんまとやられた。全く別のアプローチから書いてみせるとは…。
原田マハの美術小説は、読み終わったあとに絵画を見に行きたくなる。
そして「美しき愚か者たちのタブロー」は、美術館に行きたくなろうような本だった。美術館自体に対して、全く違った見方ができそうだ。
物語の舞台が「たゆたえども沈まず」と少しだけリンクしている(よね?)のも、ファンとしては嬉しいところ。
と言っても、時代も場所もが少し重なっているだけだけど。だけど林商会という名前につい口元が緩んでしまったw
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日本に美術館を、若い人達に本物のタブローを見せたい、の思いに活躍した人達。中でも富を持って買い続けた松方、パリにて一緒にタブローを探した田代、その絵を守り抜いた日置、この人達の情熱と努力をもって、戦後ようやくタブローが日本にやってくる。今や、沢山の美術館で世界各国のタブローを鑑賞する事が出来るか、そのために奮闘した人達がいた事を忘れてはいけない。
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日本に美術館をつくるために尽力した実業家・松方幸次郎をメインに、彼やコレクションに魅せられて集まった人々の、史実を元にした松方コレクションの物語。
あれだけのコレクションがいかに集められたか、そしてあれだけのコレクションがいかにして戦争という難局を乗り越えて日本にもたらされることになったか、こんなにも激動であったということを全く知らず、関わる全ての人の思いが一本の糸のように紡がれていてただただ感動。
松方本人は美術のことは全くわからんで通していたらしいが、画廊のオーナーや美術家など人が好きで美術を購入していたところが美術の中に人間臭さを醸し出していて、美術への敷居を低くしていて誰でも楽しめるものしているのだなぁ思わされる。
そういえば9月まで「松方コレクション展」やってたはず、かなり混んでるのだろうが行かねば。
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松方コレクションと、国立西洋美術館誕生の裏話。フィクションとは書いてあるけど、とてもリアルで、史実でわからない人と人とのやりとりを筆者が埋めていっているんだろう。タブローへの関係者の想い。共通するものがあると感じる。タブローを私たちが見られるようになっていることが、当たり前に思えるが、コレクターの思いと、返還のために動いた人々の思いあってのことと、感謝の気持ちになる。美術の美しさを誰と共有し合えているのか。その誰かがまた広がって、美術館めぐりも楽しくなりそうだ。