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不気味の谷の話は非常に面白い。
ロボットが「ロボット」として、動くときにはなんの感情も抱かないが、人間的な動きでありながら、不自然な動きをするとき、そこに不気味さを感じる。
ロボットと人間の間で、我々人間が認知するなにか、特別な物がある。
人間には心はない。
心があると信じているだけ。
私たちは自分が怒っているのか、楽しいのか、わからなくなる時がある。
ただし、他人については、よくわかる。喜怒哀楽は自分については説明できない、よくわからないこともあるので、それを心があるとは決していえないのではないか。
ロボットに心があると思うときがあるのは、他がそうだであるように、
喜怒哀楽を判定しうるような行動や表情などの反応を示すときかもしれない。
~~
この本は、非常に科学者的な仮説、実験、結果、さらなる仮説・・・というように論が展開していく。彼の実験にはすべて意味があり、その意味を探ることを実験を通して、理解する。この実験において「人間とはなんなのか?」を求める実験をロボットを研究することで行っている。
ロボットと人間の境界線をめぐる「認知学」が非常に面白い。
なるほど、と思わせる。
そして、彼の性的情動に関する事件へのジレンマなどの記述さらに笑わせてくれる(深刻な話で重要なことで、だけれど、こう真面目に書かれると笑ってしまう)
海外ではアーティスト扱いだそうだが、その日本と海外とのギャップなどもおもしろいかもしれない。
エピソードとして、
「先生、最近、ロボットに似てきましたね」と声をかけられることがあり、
変わり続ける自分が、変わらないロボットに近づくという不可思議な認識が学生の中に起こることに、興味をおぼえた節などが面白い。
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ロボットからはじまって、人間とは何かまでの哲学まで
たどる非常に面白い本です。
いくつか興味深い考察があるので、追って引用します。
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2010.01.24 朝日新聞に掲載されました。
「人は何か」という問いに迫る(朝日新聞掲載文より)
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ロボット=理系というイメージがあったが、そのイメージは崩された。
ロボットを用いることにより、人間の心や人間社会について考えるというアプローチは、とても興味深かった。
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読みながらうなずけるところがたくさん。
研究の難しいことはわからないけど、すごい可能性を感じさせてくれる。
機械と人間の境界がますます曖昧になっていく。
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http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20091208/1260217453
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自身をモデルにした遠隔操作型アンドロイド「ジェミノイド」を開発し、世界中の注目を集めた著者。
9章からなる本書は、例えば実験で、ジェミノイドの頬を突っついてみるとジェミノイドを遠隔操作する方も自分の頬を突っつかれる感覚をもった。当時4才の自身の娘さんのアンドロイドも作り頬を近づけると「娘のにおいがした」しかも、アンドロイドに接したほとんどの人が同じ感想を述べたとか。
ロボットと人間の役者が共に舞台で演じるロボット演劇という試みなど。
さらに、ロボットと人間の未来へと夢はひろがる。
こうして、ロボット開発の研究の過程で、たどりついたのは「人間とは何か?」「自分の心は何処にあるか?」「心とは何か?」というような問いかけであったと・・・・。そんな興味深い話満載の一冊!
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ロボットとは何か。人とは何か。とても分かりやすい言葉で本質に迫っていく様に、著者の研究者としての姿勢にものすごく心打たれた。そしていつの間にかロボット研究が不気味の谷を越えつつあることにびびった。
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★ロボットを媒介とした人間論★ロボットの技術論ではない。「なぜロボットの見た目に気を配らないのか」と著者は強調し、ロボットを利用するには見た目とそれに反応する人間の心が重要だと指摘。人間そっくりの見た目のロボットを作ってきた。技術的にもすごいのだろうが、著者の関心はそれを見る人間の意識へと移るようで、人を人として成り立たせるものは何かを追求する。何があれば人と認識されるのか。顔なのか、目なのか、会話、ゆらぎ‥。あくまでロボットをツールとし、人間研究へと変わってきた。
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研究内容やロボットの説明に終始するかと思ったが、荘でもなかった。
論文として書かれることを、わかりやすく示されてあった。失礼だが読みやすかった。
ロボットに心はあるのか。そもそも人はなにを持って心を感じるのか、そこからきちんと議論されてる。
一応ロボットに携わったことのある自分のだが、多くのことを知った、考えさせられた。
う〜む
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著者は、自分自身と生き写しのロボット=「ジェミノイド」を開発した人物として知られる。
コンピュータビジョン(画像認識)で博士号を取った著者が、そこからどのような動機や問題設定を積み重ねて、やがてジェミノイドの開発に至るのか。本書は書名どおり、最初から最後までロボットの話が続く本だ。
ところが、本を開いてすぐ、私たちは著者がロボット開発の出発点に据える問いかけに虚を突かれる。すなわち、それは「心とは何か」「人間とは何か」という、きわめて哲学的な命題なのである。
単に工場で作業をする工作機械ではなく、人間と同じような外観を持ち、同じように行動するロボットを作ろうとした途端、では人間が人間たる所以はどこにあるのかとの問いと、著者は正面から格闘することになった。
他者との予測不可能な関わり合いの中で、縁に触れて瞬時に移ろう人の心の妙。人間酷似型ロボットのジェミノイドへと至る研究は、まるで仏教でいう「観心」のように、わが生命を内省していく。
興味深いのは、人間とは何かが先に解明できてロボットを作り得るのではないのだ。ロボットを作っていく中で、そのロボットという〝鏡〟に、人間生命の不可思議が浮かび上がってくるのである。
科学の究極への探求は、研ぎ澄まされた宗教的省察と、必然的に交差することになる。
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人間でないものを通じて人間を理解しようとする試みとしてのロボット研究のありようを,解説している。僕が院生の頃書いたレポートで展開した思考実験に似た記述を見つけた時は,失ってはいけない魂を再確認できた感があります。福岡伸一氏のような技巧的な文章は特に見当たらないですが,研究者の姿勢であるとか,その哲学を持つに至る来歴とか,学ぶことが多い一冊だと言えます。
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ジェミノイドの動きを見て、本人は「これは自分の動きではない」と感じたのに、周りの人が「動きもそっくりだ」と言うのに衝撃を受けたというくだり。
吉野朔美のエキセントリクスを思い出す。
双子の片割れが問う。「あんた達は常に間違った自分を見ていることに恐怖は無いの?」この台詞の意味が実感として分かった。
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感想を書いてしまうと、話の核心をついてしまいそうなので
(ネタばれしてしまいそうなので)
敢えて書きませんが
この本を読むと、ロボットに対する考え方が変わると思います!!
私もこの本を読んで、将来ロボットは心も持てるようになるかもしれない・・と思いました。
ただ、皆さんがハリウッド映画などから想像されている形とは違うでしょうが。
また、科学だけでなく、工学、心理学、哲学・・・と分野の境を越えて
人間の根源的な問いを研究されている石黒先生の姿は
昔のデカルトやダヴィンチのように思えて、すごいと思います。
一読の価値はあり!!
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大阪大学大学院教授で、人間酷似型ロボット(アンドロイド)研究第一人者の著者は、「ロボットも心を持つことができる」と主張する。心は人間固有のものじゃなかったの?! ― 本書を読むと、ロボットには踏み込めないと考えていた心の領域が、実は不確かなものであったと気付かされる。心があるから人間なのではなく、心を知りたいと考え続けるのが人間なのだと、教えてくれる。
心の仕組みは、脳科学や認知科学でも解明されていない。そこで著者は「先にまずロボットやアンドロイドを作ってみて、そこから人間を知る」というアプローチ(構成論的アプローチ)をとる。科学の知見を取り込んで、まずロボットを作る。人間のまばたきや仕草、容姿など細かなところまで再現。ロボットと接した研究者らがどのような感情を抱いたかを分析し、「人間らしさの再現」に迫るという。
研究者らに、アンドロイドと対面してもらう。遠隔操作しているアンドロイドと会話をしてもらう。また、平田オリザさんが脚本・演出するロボット演劇も企画する。立ち位置や間の取り方をプログラムした男女のロボット2体と、2人の役者が「人間の心の葛藤とロボットの心の葛藤が交差する」物語を熱演。演劇後のアンケートではほとんどの人が「ロボットに人間のような心を感じた」と感想を述べたという。
このような研究や企画から「人間は、相手の表情や仕草、口調から感情を単に想像しているだけである。ただ単に想像して、あの人は怒っている、悲しんでいるなどと思い込む」と感情の本質を説く。
「心とは、感情とは、人間が人間同士や、人間とロボットの相互作用を見て感じる、主観的な現象である。そして、それは優れた直感を持つ演出家の力を借りれば、十分にロボットでも再現可能なものである。
また、加えて大事なことは、人間は自分に心があるかどうかは分からないが、他者は心を持つと信じることによって、自らにも心があると思い込むことができることである」
僕は感情の起伏が激しい。極力オモテに出さないようにつとめているけれど、言葉で説明できない何かが胸元から飛び出してくる感覚がある。尊敬する先輩と刺激的な会話をかわしているとき、素敵な女性が隣にいるとき、いかにもなチンピラにからまれたとき…ワクワク、ドキドキ、ハラハラする。反省、後悔、悦に入ったり、嗚咽をもらしたり。自然と溢れてくる、そんな何かをすごく大切なものとして扱っている。
心は人間の専売特許ではない。けれど、その人だけの感情は必ずある。著者がいうように、アンドロイドが日常のいたるところで活躍する日が遠くない将来にくるのだろう。そうなっても、余計な恐怖心や不気味さを抱く必要はなく、自分の心と付き合っていけばいい。「ロボットを鏡とする」ことで、より自分と向き合えるかもしれないと思った。